2022年8月2日

掛け声倒れ、いや、掛け声にすらなっていない

IMDが調査、発表している各国のデジタル競争力ランキングで、日本は64ヵ国中の28位。3年で6つ下がった。


昨年9月1日にデジタル庁が設置され、多額の国家予算が割り振られたうえで、官民を挙げてDX推進の大合唱がなされた挙げ句である。掛け声倒れになっていないかとの批判の声が多い。

原因はどこにあるのか? 

大企業の役員や管理職を対象にした調査では、7割以上がデジタル化とDXの違いを「説明できない」と回答したとあった。

これって、すごく象徴的だ。

DXが「デジタル・トランスフォーメーション」の略だということくらいは、先の調査対象者は知っているはず。なのに、なぜデジタル化との違いすら自分で説明できなかったのか。

それは、自分の言葉になっていないものを人は理解しないし、できないからだ。デジタル化とDXの違いを「説明できない」と答えた被験者に、トランスフォーメーションって何?って聞いてみると分かる。彼らはまた、う〜ん、と唸るだけだ。

言葉が分かっていないのだ。だから、本来の意味が分かるはずもない。意味が分からなければ、説明できるはずがない。

じゃあ、どうするか。僕からの提案はすこぶる簡単。<横文字を使うのを止めてみる>に尽きる。DXだ、トランスフォーメーションだ、なんて聞かされた段階で、ほとんどの人は本人が意識しないうちに思考停止になっている。

だからこそ、苦労してでも日本語で言い換え、表現する。そこでやっと彼らはそれが何なのか理解できる。少しずつだろうが、問題や課題を自分のものにしていける。

よく聞く「DXが掛け声倒れになっている」という批判は、批判になっていない。実態は掛け声にすらなっていない、そして何も届いていないのが現実だからである。

訳も分かっていない役人や経営者や半端者のコンサルがDXだGXだ、SDGsだESGだなどと口先で吹聴している風潮を笑い飛ばすことから始めるしかないんじゃないかと思っている。

そのほかにも、パーパスだ、ウェルビーングだ、リスキリングだなど、薄っぺらい横文字をありがたがって振り回していても何も始まらない。