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2024年3月21日

シンガポールは、買い物地獄である

かつてシンガポールは、ショッピング天国などと言われていたらしい。今はまったく様相が異なる。

とにかく何でも高い。いや、例えば食事を現地の人たちが普段行くような店で済ませば、その点はそうでもないかもしれない。だが、ちょっと贅沢をしようと思うと、別のモードに入る。

スーパーマーケットに並んでいる商品を見ても、アルコール飲料といった生活必需品以外のものはとても高価。例えばスーパーの棚にあったコッポラのカベルネ・ソーヴィニヨンが、59シンガポールドル(日本円で6600円)だった。日本では2800円だから2.3倍である。

ただし、これはシンガポールに限った事ではない。対米ドルでもユーロでも同じだ。日本政府と日銀がずーと円を安く、日本を安く誘導してきた結果だ。インバウンドと呼ぶようになった外国人観光客を国内に呼び込むのには格好だが、確実に日本人は外国に出て行きづらくなった。

為替レートの推移(SGD対円)
 
政府が短期で懐を膨らませ、大手企業や一部の富裕層をいっそう太らせるには良いのかも知れないが、長期的には国の成長を間違いなく妨げる施策。本来の「成長」を忘れた愚策の結果である。

2024年3月10日

この国のダイバーシティ(多様性)は、多様か?

用語としての「ダイバーシティ」がいつから僕たちの生活に入って来たのか検索してみた。朝日新聞のデータベースでは、初めて「ダイバーシティ」の用語が登場したのは1997年。「ILO(国際労働機関)ダイバーシティワーク研究会」なるものを紹介した記事だった。そこではダイバーシティワークを「多様な働き方」と定義し、在宅ワークや短時間の勤務形態などのことを示していた。

次に「ダイバーシティ」が登場するのは2002年。その年には3件の記事が掲載されている。ひとつはオランダの例を引きながら「ワークシェアリング」を紹介している。それと、企業が社員に提供する福利厚生の多様化についてももの。そして、アメリカでの白人、黒人、ヒスパニック、アジア系などの人種多様性を紹介した記事である。

つまり、その時点から「ダイバーシティ(多様性)」の議論は多様なのである。

ところが今の日本では、というか、最初からだが、ダイバーシティ=女性の管理職登用と思い込むきらいがある。そして女性を管理職に登用することで、「女性ならではの感性をいかした経営を実現」などという浅薄で単純な議論がいまも大手を振っている。

その背景には、企業において見ただけでも、採用から教育、配属、評価、昇進、報酬などすべてに渡って男女の間で差別が存在しているからだ。そこは分かる。是正されなければならない。だが、そのこととダイバーシティ論議は分けて考えることが必要。

ダイバーシティが、「男か女か」といった外形的なことなら、人種、年齢、出身地などの属性をもとに機械的に多様な人材を登用すればいいということになる。

そうではないだろう。大切なことは、外形的な見た目では分からない考え方や価値観の多様性だ。その結果として、異なった(マジョリティ、つまりおじさんから見ての、だが)考えや価値観を持った人の中に女性だったり、外国籍の人だったり、自分たちの半分ほどの年齢の人がいるかもしれない、ということ。そこに目を向け、耳を傾けること。それが肝である。

Diversityの同義語には、difference、distinctiveness、diverseness、heterogeneity、multiplicity、range、varietyなどいろいろある。つまり、ダイバーシティ(多様性)とは本来多様なのである。それを忘れてはいけない。 

2024年3月8日

診察券

歳をとるとは、財布の中の診察券の枚数が増えていくことだと知った。

2024年2月8日

学びたければ、退職すること

「退職は一番のリスキリング(学び直し)」という言葉を新聞に見つけた。なるほどそうだな、と膝を打った。

転職などで辞めていく同僚の姿を見ていたのがきっかけで2020年に退職、その後起業し経験を積み、22年にメルカリに再就職したという女性の話が載っていた。

彼女は、会社を離れていたときに多くの事を学んだ、と語っている。そして、いまは充実した気持ちで日々の仕事に打ち込んでいる。

何をやってようが毎月給料をくれる会社というありがたい場所を辞めるのは、誰だってそれなりの覚悟がいる。不安もあることだろう。だからこそ、それを押して辞めたとなれば、ぼんやりとはしていられない。自分を見つめ直しつつ、何をやるべきか高速で考えるようになる。

そこに意味ある学び直しが存在する。会社組織に身を沈めながら言われたことをやってるようでは、本当に何を学び、どう自分を高めていけばいいかなんてそう簡単に分かるものではない。それが一般的な会社ってものだ。

成長したければ、勇気を持ってリスクを取る。多少の賭けにすら出られないようなら、どうせ今いる組織の中でも大したことはできやしないんだから。

2024年1月29日

電話に勇気は必要か

作家の青山七恵さんが書いた「電話の贅沢」と題するコラムを読んだ。その中に、こんな1節があった。

・・・私はいま、電話が好きだ。電話には、スリルがある。一度つながってしまったら、やぶれかぶれでも一発勝負でどうにか乗り切るしかないという、綱渡り的、即興劇的なスリル。同じ意思伝達の手段であっても、何度でも書き直しができるメールとはぜんぜんちがう。

やぶれかぶれの一発勝負とまで力まなくてもと思うが、気持ちはよくわかる。電話にはそれなりの緊張感がある。相手が出るのか、出ないのか、話しやすい状況か、そうでないか、機嫌はいいか悪いか、そうした思いが頭を巡る。相手が電話に応えるまでわからない。

若い人たちはもう電話はしないという。理由は、相手にとって電話は突然なので失礼だからとか。それはそうだが、それが電話というものである。

実際のところは、相手のことを考えているようで、自分のことを考えているんじゃないのか。電話をかけられた方が迷惑に思うことがあれば、自分が気が利かない人と思われるのが厭なだけじゃないのかな。

そのうち、「昨日、〇〇に電話したらね・・・」なんて言ったら、相手から「あなた、勇気あるね」と感心されるようになるかもしれない。

確かに電話は突然かかってくる。だから、出られるときは出る、出られないときは出ない、でいいんじゃないのかね。メールではうまく伝えられないことだってあるはず。電話をまったくしないという人たちは、そうした思いを何も持っていない人たちなんだろう。

2024年1月27日

哲学本

哲学本が人気だ。ビジネスマンを中心に、そうしたジャンルが今売れているという。ただし哲学書そのものではなく、哲学とは何かをさらっとエピソードや身近な問答を通じて分からせる入門本だ。

どこまで深く入って行くかは別として、哲学に興味を持つのは悪くない。そうした読者がどういった層なのかは詳しく知らないが、みんな悩んでいるのだ。そして、彼らはその答えが<哲学>にはあるのではないかという強い期待感というか、そこにすがっている感じがする。

「哲学って何」かを囓ることで、悩みの解決法を手にできれば楽なんだろうけど、実際それは無理な相談だ。哲学書を数々読みあさっても無理。哲学者自身がそれを分かって、しかも読者を救済するために書いているのではないのだから。哲学者は精神分析医ではない。

タモリは「教養なんてのは、大人のおもちゃである」というようなことを言ったらしいが、それはかなり正鵠を射ている。哲学は悩む人がすがりつくロープでもなく、天から垂れ下がった蜘蛛の糸でもない。

大人にとっての哲学というのは<おもちゃ>くらいの軽い気持ちで付き合うのが正しい付き合い方なのである。そうすると、とても楽しい。

2023年11月23日

Fitbit v. CASIO

使っているFitbitのバッテリー性能が急激に弱ってきた。バッテリーの残量が35%くらいになると一気に減り始め、やがて画面が消える。使い始めたばかりの頃は1週間はもったように思うが、今は3日くらいだろうか。

3日はもつ、と考えるか、3日しかもたないと考えるかだ。そうした時期にアマゾンのブラック・フライデーが始まった。買い換えようかどうしようか悩む。

今使っているFitbitはスマート・ウォッチだが、トラッカーも含めて数えれば、これまでに購入した台数は5台。1日の歩行距離が分かったり、メールやシグナルの着信をバイブレーションで教えてくれる機能が役に立っている。

それにしても、これまでもどのFitbitもバッテリーが弱ったため買い換えてきた。おそらくこれは、彼らの生産管理上で意図的に仕組まれたものなのだろうと思う。

他にも腕時計はいくつも使っている。そのなかのひとつ、CASIOのソーラー電池時計は購入してから30年ほどになるが、いまもまったく問題ない。普段使いで長年愛用しているにもかかわらず、機能的にも外見も一切問題ない。

そうした工業製品としての出来の良さにつくづく感心するとともに、ビジネスを考えると一旦購入した客はめったなことでは買い換えないだろうと少し気の毒になる。

カシオを例に挙げるまでもなく、海外メーカーとの比較で言えば、こうした日本メーカーの真面目なモノづくりが日本企業の儲けを削っているのだろうとすら思えてくる。

2023年11月20日

退会する客は、離脱客とは異なる

NHKオンデマンドを先月退会した。ここ数ヵ月、まったく利用してなかったので、一旦退会しようと思ったのだ。

ところが今月、クレジットカードでそのサービスの利用料金の引き落としがあった。なぜかと考え、そういえばサイト上で退会の手続きをしたにもかかわらず、何も連絡がなかったことを思い出した。

ひょっとしたら、手続きが未完了なのかと思い電話してみた。例によって「ただいま電話がたいへん込み入っており・・・」というメッセージが流れる。通話をスピーカーホンに切り替えて、別の作業を始める。

10分ほど経ってやっと応答したので、先月の退会手続きのことと利用料金の引き落としについて確認を求める。電話に出たそのオペレータいわく、月末処理の翌月請求をしているので、退会した翌月、場合によっては翌々月まで引き落としが発生することがあるとの説明。

なるほど、と思ったが、なぜそうした大切なことを退会者に退会時に知らせないのだろう。それを訊いたら「そうしたことはしないこになっているので」との返答だが、回答になっていない。ぼくは「なぜか」を訊ねているのに、自分たちの方針を当たり前のように語る。

NHKオンデマンドの利用開始をメール履歴で調べたら、2013年6月だった。かれこれ10年以上契約していたことになる。10年前の視聴開始時には「申し込みを受けた」との確認メールがNHKから届いている。当たり前だが。

ところが、退会時には「一切知らんぷり」が彼らのデフォルトの対応となっている。本来なら、というか多少なりともビジネス・マインドがあれば、まずは(永きにわたっての)利用を感謝し、また機会があれば是非利用して欲しい旨を語り、支払いは退会月以降も手続き上発生することをメールで案内するだろう。

そうすることで、一旦退会・解約した客もチャンスがあれば復会するものだ。だが、そうした基本的なことすら分かっていないようだ。やめる客はもう客ではないという、間違った認識を持っている。

2023年11月10日

初秋のキャンパス

キャンパス内の緑がしだいに色づいてきた。大学構内が、その趣を一番感じさせる季節である。大隈講堂の時計台をバックに、大隈重信候の銅像を両側から包み込むように木々が茂っている。

2023年11月7日

日本のB&B

先日、一般の日本人が外国に行きづらくなっていると書いた。日本の経済力の低下がその主たる要因である。

と思ったら、行きづらくなっているのは外国だけではなく、日本国内の観光地も同じ状況になっているようだ。例えば、このところのホテルの宿泊費の高騰が指摘されている。

2019年と今年(2023年)を比較して、ホテルの宿泊費は京都で1.9倍、東京は1.8倍、大阪は1.3倍、福岡は1.3倍、那覇は1.2倍に上昇している。

日本人でも、いわゆる富裕層はホテル代が2倍になろうが3倍になろうが関係ない。だが、一般庶民は気にしないではいられない。これまで家族で年に1、2度出かけていた宿泊を伴う旅行なども行きにくくなるだろう。

それを解決するためには、安価で合理的なB&Bタイプの宿泊施設が求められる。日本のB&Bといえば昔からある民宿が連想されるが、そうではない。今どき、貧乏学生でも民宿は敬遠する。

贅沢さはいらない。シンプルで清潔で、安全であればそれでよい。あとは、プライバシーと最低限のホスピタリティ。誰かその日本版B&Bのプロトタイプを開発して、全国展開してもらえないかと思っている。きっと需要はある。

2023年11月4日

データ漏洩はなくならない?

共同通信社のサーバーに不正侵入があり、4300人強の職員の個人情報が漏洩した。7月下旬にサーバーで不審な動作があり、サードパーティーに調査を依頼していたという。

気になって、自分がこれまで設定したパスワードが大丈夫かチェックしてみた。すると「セキュリティに関する勧告」で 60以上ものパスワードが「このパスワードはデータ漏洩で検出されたことがあるため、このアカウントは危険にさらされています」と出た。それらの半分程度は、いまはもう使用していないアカウントだけど、日々使用しているものも多数あった。

具体的にどれだけのリスクに晒されているかすら分からないのが厄介であり、重要なものから早速変更していくしかない。

ネットの扱いに関しては、かなり保守的な方だ。信頼できそうにないソフトやアプリは絶対にインストールしないし、怪しいサイトにはアクセスしない。検索はGoogleはなるべく使わず DuckDuckGoを利用し、メッセージ・アプリはSignalを主に用いる。LINEはもちろん使わない。セキュリティソフトは毎日アップデイトする。

そうやって自分の側では慎重にセキュリティ対策をしているが、それとは別に個人情報はいつどこから漏洩するかは分からない。今さらながら、ネットの世界には安全はないと心した方がよさそうだ。あとどのくらい、こうした「無法の時代」が続くのだろうか。

2023年10月24日

人でなしの国

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ 

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ

イスラエル軍は、ガザへの空爆をやめろ

人でなしども。

2023年10月15日

休日の新宿の夜の風景

天気予報では今日は雨。が、午後からは雨はあがり、新宿へ。初台の新国立劇場で鴻上尚史演出の芝居を観るためである。

第三舞台の芝居を劇場で観たのは、彼らが初めて海外公演をした1991年のエジンバラ公演以来だ。

今回の出演は竹下景子、鈴木福、松村武の3人。Netflixの「離婚しようよ」での竹下の演技が良かったので、観に行くことに。休憩なしでちょうど2時間。70年代のギャグが懐かしい。

終演後、新宿駅まで歩き、昔懐かしいアカシアで食事。開店から今年で60年になるロールキャベツ・シチューの店。店構えの印象は、僕が学生だった頃とほとんど変わっていない。 

その後、同じ区画にあるイーグルへ。昭和の雰囲気がそのまま残る、天上の高い地下のバーである。ウエイターのおやじさんも昔のままだ。ただ、客層の雰囲気はずいぶん変わったと思っていたら、帰りしな、「今日は日曜日ですので、若いカップルが多いんですよ」と言われた。さすが、客の心の中を読んでいる。

駅へ向かう途中、アルタの前を通ったら、画に描いたようなストレッチのlimoが駐まっていた。中をのぞき込んだら運転席でドライバーがシートから半分崩れ落ちるような感じで眠っていた。 

休日の新宿の夜の風景である。

2023年10月2日

26刷

見知らぬ編集者からメールが来た。何かと思ったら、23年前に出した書籍の増刷が決まったらしい。26刷である。

25刷まで連絡をしてくれていた担当編集者はどうしたのか。訊いたら、今年の春に定年退職されたとのこと。月日の流れを感じた。

2023年9月19日

懐かしのコピーライター養成所

コピーライターから出発し、小説家として一家を成し、昨年からは日大の理事長でもある林真理子氏がある出版社のサイトに書いていた。

コピーライターの養成所に通っていた頃、講師をやっていた大手広告代理店勤務の人と2人で飲みに行ったら、「ホテルに行こう」と誘われたのです。 

今はその瞬間に「アウト!」という時代ですが、当時の私がまず思ったのは、「へー、私なんかを誘うんだ……」ということでした。さすがに「ありがたい」とまでは思いませんでしたが、「どうもどうも。恐れ入ります」みたいな感じで、全然腹が立ったりはしなかった。

 そうして、「一応、講師やってる立場で誘ったりしていいわけ?」「こういうのに乗ってくる女の子もいるんだろうなあ」という興味の方が勝ってしまい、「世の中ってこういうふうに回っているのかー。面白いなあ」と学ばせてもらったものです(一応お断りしておきますが、もちろんついて行かなかったですよ。まったく好みのタイプではありませんでしたし)。

彼女は僕の4つ上。大学卒業後にコピーライター養成所に通っていたという。僕も大学卒業した年にそこに通っていた。林さんとほぼ同じ頃だ。そこで思い出した。

コピーライター養成所で一緒だった同期の仲間たちとは結構親しくなり、銀座で行われていた授業が終わると必ずみんなで飲みに行ったり、終末にはドライブに行ったりして遊んでいた。いっしょに遊びながら、誰が一番最初にコピーライターとして有名になるかというライバル意識もみんな持っていたはず。

ある時、そのなかのY子が、電通のクリエーターで当時その学校で講師をしていたNから誘われて付き合っていると話し始めた。Nは業界ではそこそこ有名人だった。Y子はその後、Nの手引きで電通の関連会社にコピーライターとして入社した。

だが、僕が広告会社にいる間、彼女の話が広告クリエイティブの業界で流れてくることはなかった。彼女はその後、どうなったのだろう。元気でやっているのだろうかと、ふと気になっている。

2023年9月16日

西の人が長寿なのはなぜだろう

敬老の日が間近ということで、厚生労働省が全国の100歳以上の高齢者の概要について発表した。日本の最高齢者は、116歳とか。

人口10万人当たりの100歳超えの人の人数ランキングがあった。

  1. 島根(11年連続)
  2. 高知
  3. 鳥取
  4. 鹿児島
  5. 熊本
  6. 長野
  7. 山口
  8. 愛媛
  9. 宮崎
  10. 大分

九州から4県、中国地方から3県、四国から2県である。長野県を除けば、すべて西日本の県だ。

2023年9月7日

理容室のサイン

街中でよく見る、床屋の店先でぐるぐる回っているお馴染みのサインポールだが、こんな風に2つあると、なんかそれだけで面白い。早稲田通り沿いの理容室。

2023年8月12日

顧客のライフタイム・バリューを見込んだ人質価格戦略

アマゾンプライムの会費が、来月以降年4,900円から5,900円に変わる。2割強の値上げである。4,900円の前は、3,900円だった。

 
例によってアマゾン・ジャパンは値上げの理由を説明していない。だからか、メディアが気を遣って(?)その理由を解説しているのだが、それによると物流コストが上昇したのを吸収するためだと書いてある。本当か? だって、ヨドバシ・ドットコムは会費なんか取らずとも無料で配送してくれてるぞ。

世の中の多くの物の値段が上がっているという風潮への便乗だというのが、僕の見立てだ。新聞記者が、トラックドライバーの「2024年問題」などを引き合い出し、勝手な推量でアマゾンの値上げを容認するトーンの記事を書いているのは違和感が大だ。

プライム・ミュージックにしてもプライム・ビデオにしても、有料版のunlimitedへ強引に誘導しようとしたり、観たい映画に限って有料だったりして、だんだん使い勝手は悪くなっている。だが、アマゾン・フォトに写真を保存している限りは解約することはできない。こうやって「人質」をとって、利用者からカネを巻き上げる価格戦略の典型である。いずれ利用料は1万円あたりまでいくのだろう。

同様のスタイルで値上げしたのが、Evernoteだ。こちらは5,800円だった年会費をこの5月に9,300円に料金改定した。実に60%もの値上げである。大幅な値上げは腹立たしいが、こちらも大量のデータをこのサービスのクラウドに預けている以上はすぐには手を打てない。やはり人質作戦だ。

グーグルはグーグルで、利用者の不利益など関係なく勝手に利用規約を変更している。

確かにどれも利便性の高い、優れたサービスではあるが、利用者が簡単に離脱できないのをいいことに、一方的な値上げを繰り返されるのは本意ではない。いざとなったらこうしたサービスからいつでも離脱できる代替案だけは自分なりに用意しておきたい。