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2024年11月22日

Tシャツにジャケットは似合わない

先日なくなった谷川俊太郎さんは、いつもTシャツ姿だった。自宅でくつろぐ姿はもちろん、講演会などでも同様。Tシャツ以外ではスタンドカラーのシャツ、あるいはハイネック。ぼくは、彼がワイシャツのような普通の襟の付いたシャツを着ているのは見たことがない。


どういった考えがあったのかは知らない。聞いたことも、読んだことがないから。ただ、谷川さんにはTシャツがよく似合っていた。彼のその存在のあり方そのものだった。

ところでTシャツと云えばいつからだろうか、ジャケットの下に直接Tシャツを着る人たちが現れた。圧倒的に若い男性が多いように思う。あるいは、若さを気取っているそれほど若くない男たちも。

とりわけ、起業家を自称する男たちやネット系ビジネスの経営者たちは、まるで決まったようにジャケットの下はTシャツのインナーである。しかも足下を見るとストレートチップの革靴だったりして。スタイルというものがまるでないみっともなさである。

Tシャツの持つカジュアルさを若さを示す記号として使い、その一方でジャケットを着てビジネスマンとしての「きちんとさ」も年配者相手に示さなきゃという、どうにも中途半端な折衷思考だ。

何を着ようが人の勝手なんだけどね。ただ、ぼくには彼らの首すじあたりが汗臭く、昔から不潔に見えてしかたない。

スティーブ・ジョブズは黒のTシャツかタートルネック(スタンドカラー)が決まりだったが、決してその上にジャケットを羽織るなんてダサい着方はしなかった。

2024年11月20日

谷川俊太郎さんが亡くなった


先週、谷川俊太郎さんが亡くなった。92歳。ひとは生まれ、ひとは死ぬ。いつかはと思っていたが、いつかはと思っていたが。5年ほど前、横浜で彼が話をするのを聞いたのが最後になった。

 
谷川俊太郎&武満徹「死んだ男の残したものは」

2024年10月19日

立って読むか、座って読むか

地中海にあるマルタ島で行ったレストランのトイレ。

男性用と女性用がふつうに並んで設置されている

よく見ると、扉のピクトグラムに新聞らしきものを持った人物が描かれている。

なかなか難しい姿勢だ

こちらは問題なし


トイレの中では新聞にちゃんと目を通せ、というメッセージかね。

2024年9月13日

演歌歌手がソウルを歌ったらすごかった

ふと聞こえてきたアレサ・フランクリンの "Think"。だが、アレサじゃない。アレサに似たドライブ感・・・。

なんとそれは、日本の演歌歌手の島津亜矢だった。びっくり。彼女が Aya Shimazuの名で出したアルバム「Aya's Soul Searchin' - Aretha Franklin -」からだった。


さっそくアルバムを聴いてみたところ、「Think」「Respect」「A Natural Woman」などアレサの初期の曲が中心に組まれていた。いやあ、ほんとに驚いた。着物姿しか思い浮かばない演歌歌手がこれほどソウルフルな歌を聞かせてくれるとは。

だが考えてみれば、演歌は日本のソウル。それを長年唄ってきているのだから、ソウルを愛する歌心と歌唱技術があれば、確かに唄いこなせるわな。

それにしてもお見事。

https://tatsukimura.blogspot.com/2021/11/blog-post_13.html

2024年9月10日

大手銀行の対応について思うこと

高速道路を走っているトラックに狙いを付け、その車がパーキングエリアに入ったところで「飛び石で高級車が傷ついた」とか 「ボルトが飛んできて当たった」 などと運転手に言いがかりをつける。

そして、彼らの運転免許証をスマホで撮影しては、それを使ってクレジットカードを偽造することを続けていた3人組が捕まったというニュース。

トンデモナイ連中がいたものである。

この事件を受け、警察はむやみに顔写真や住所の入った身分証明書の撮影に応じないように注意を促しているらしい。

それで思い出したのが、先日の三井住友銀行新横浜支店でのできごと。

口座開設のために訪店し、店内の案内係に用件を告げたところ、身分を証明できるものがあるか聞かれたので免許証を出した。「そこに座ってお待ちください」と言われ、しばらく待たされた。

手渡した免許証が気になり、近くにいた行員に免許証を返すように言ったら、「いま奥でコピーを取っていますのでお待ちください」と。 

本人にコピーをとって構わないかと確認することもなく、人の免許証を勝手に複写していたのである。

その支店においてはそれ以外にも首を捻らないではいられないおかしな対応がいくつもあった。近頃の銀行の支店では、こんなことを平然とやってるのかね。

気になって支店長宛にこの件について親展で手紙を送ったが、知らんぷりである。

2024年8月17日

衣料と靴の耐用年数

リサイクル素材を積極的に用いるなど、衣料廃棄物の問題に取り組んでいるという英国のアパレルブランドが発表したデータによると、人が生涯で必要とするシャツは23枚、ズボンは22本、ジャケットは13点、靴は63足だとか。

これらの数字は、それぞれの耐用年数に基づいている。それらは、シャツは2.74年、ズボンは2.81年、ジャケットは4.58年、そして靴は1年とされている。

つまり、人が生涯に渡って衣料や靴を利用する年月は63年間と考えられているわけだ。

毎日同じシャツを(飽きずに)着て、2.74年たったら新しいものに交換する。靴も同様、毎日同じ靴を(嫌がらずに)はき続け、耐用年数に達する1年後に新しい靴に換える。実際は、世の中にそんな着方、履き方をする人はいないと思うけど。

そもそも、先のシャツや靴などの耐用年数は、どうやって編み出したのだろう。その5倍近く使い続けている僕は、物持ちが良すぎるのかね。

2024年7月8日

魔法のような90フィート

野球にはほとんど興味がない。が、ドジャーズの大谷翔平選手の活躍は、ついつい気になる。彼の人並みはずれた能力だけでなく、あの個性は魅力的だ。

昨日のブルワーズ戦で、大谷選手は今季20個目の盗塁を決めた。彼は足が速いことに加えて、自分がピッチャーだから投球フォームから盗塁のチャンスをつかむのも上手いんだろう。

盗塁する大谷選手(7月7日)、AP通信

盗塁って見ていて面白い。バックネット裏からのカメラ・アングルだと、手前に送球するキャッチャーと打席のバッター、画面なかほどにピッチャーが、そして画面奥(画面上方)に右から左に全力で疾走する一塁ランナー、 ランナーが向かう先にボールを捕球する体勢で構える2塁手。この構図はとても絵になる。

大谷の場合、先に書いたように足が速いしスタートも上手いから首尾よく盗塁成功となることが多いけど、多くはきわどいタイミングでセーフだったり、アウトだったりする。

野球のベース間の距離って上手く設計できていると思う。調べたら、その長さは90フィート(27メートル43センチ)。もしこれが91フィート、あるいは89フィートだったらどうだったろう。

わずか30センチほどの違いだけど、野球の面白さが大きく変わっていたんじゃないかと思う。誰が決めたんだろう、90フィート。

昨日の東京都知事選挙で小池知事が3選を果たした。ホームランとか、でかいヒットを打ったわけでなく、たくさんの盗塁(48億円かけたプロジェクション・マッピングなど)をかさねて点を稼いで勝ったという印象だった。

2024年7月4日

僕がGメールをやめた理由

2020年に、プライベートのメールアドレスをgmailからfastmailに変更した。fastmailの運営会社は1999年に設立されたオーストラリアの企業である。(米国企業でないところが肝心)

変更の理由は、gmailは無料でかつ良くできた便利なツールだが、プライバシーの点で大いに懸念があるから。いや、懸念があるどころか、すべて覗かれ、彼らに利用されているのが実状。

プライバシーについては、個人が気にするかどうか。ぼく自身はgmailを使っていたとき、自分のメールが常に覗かれ、記録されている感覚があって気持ちが悪かった。

最初、そうした気持ちの問題でfastmailを使い始めてみたのだけど、特に最近便利だと思うのがfastmailのMasked Emailのサービスである。

これはいわば、覆面アドレスである。日常、各種のサイトへの登録時にメールアドレスの記入を求められる。だが、よほど信頼できるもの以外は、Masked Emailのアドレスで登録する。

fastmailは、それをいくつでも使える。すごく簡単。また不要になったら、すぐ抹消できる。運営母体がセキュリティを最優先している企業だからだろう。

fastmailは、gmailやYahooメールのようなフリーのサービスではない。どうでもいいやり取りは、そうしたフリーメールを使えばいい。ただ、個人的なプライバシーが少しでも含まれるコミュニケーションは、信頼できるシステムを使った方が安心できる。

タダほど高いものはない、というのは今も揺るぎない真理だから。このあたりをどう考えるかは、それぞれの価値観の問題。

タダの代わりにプライバシーを渡しているわけだが、そう気づかせないよう巧妙にやられちゃってるのが悩ましい。

2024年6月27日

本読みについて

本読みについて書いたら、コメントが送られて来た。

そのなかに、小学校でやっている始業時間前の「朝読」(朝の読書)と似てるという意見があった。朝に行う、時間を区切って行う、読みたい本を読む、集中して読む。なるほど、似たようなものかもしれない。

ほかに、20分といえども朝の忙しい時間帯には難しいという意見も何人からか。

そうした人は、こうしてみればどうだろう。出かける時にはバッグに必ず本を1、2冊入れるという、これもいたって簡単なこと。

で、通勤や移動で電車に乗ったときには、すぐに本を取り出す。ポイントは、意味もなくスマホを取り出し、いじったりしないこと。

これだけで本読みの時間は確実に確保できるはず。

むかし、帰りの電車の中でのこと、読み始めた本が面白かったので目的の駅についても下車せずにそのまま読み続けたことがあった。残りのページ数の半分を読み終えたところでいったん下車し、それから反対方面の電車に乗って帰宅した。

電車の中は読書に向いている。

2024年6月24日

泥棒猫

背中に載せるなら、海老天丼。これなら許せる。どこかの軍隊のような、人殺しのための機関銃なんか見たくもないからね。

香港出身のイラストレーター、黒山キャシー・ラムのThief Cat 

2024年6月9日

またもや顧客を無視したグーグルのやり方

グーグルからメールが来た。

Google Domainsで私が取得(購入)したインターネット・ドメインが、他社に管理が移管されたという。利用者(所有者)に対して何の事前連絡や説明もなくだ。

移管先の企業はどうせ子会社なんだろうが、自分たちの都合で勝手に物事をすすめ、金を支払っている利用者をゴミだと思っている。

・・・かと思いきや、いま調べて見ると企業としての親子関係での移管ではなく、金銭譲渡のようだ。グーグルのサイト上には以下のように、Squarespace社がグーグルの「顧客アカウントを買収した」とある。

https://domains.google/intl/ja_jp/から
 
つまり、グーグルは我々の「顧客アカウント」を転がして金を儲けているわけだ。こうしたやり方に対しての法律上、倫理上の問題はないのかね。

2024年5月21日

非実力派宣言

俵万智『サラダ記念日』を読み直した。1987年の初版本である。みずみずしさに心が浮き立つよう。80年代の青春である。

ついでに近くにあった筒井康隆『薬菜飯店』(新潮文庫)のなかに収められた「カラダ記念日」も併せて再読。こちらもケッサクである。

そうやって、短歌っていいなあ〜、おもしろいなあ〜(筒井のパロディが短歌かどうかは別として)、としみじみ思っていた矢先だったので、ふとテレビで「NHK短歌」にチャンネルを合わせたところ・・・。

番組の司会は尾崎世界観とかいう若いミュージシャンで、ゲストが中村壱太郎という歌舞伎役者(わたしはどちらもよく知らない)。その番組の冒頭、尾崎が中村を「ゲストの中村壱太郎さんは、上方歌舞伎を継承する実力派女形として活躍されています」と紹介。

言葉尻を取るつもりはないが、わざわざ「実力派〇〇」と紹介する理由はなんだろう。実力派という「派」があるのかね。実力派があれば、非実力派ってのもあるのか。つまり、中村某を実力派女形と言うなら非実力派女形の役者もいるってことになるけど、それは誰なの?

1989年の森高千里のアルバム「非実力派宣言」を思い出した。森高のラディカルさと気持ちよさにこのミュージシャンは果たして対抗できるかナ。

2024年5月20日

60年前、「天国にいちばん近い島」だった南の島

先週、南太平洋にあるフランス領ニューカレドニアで、選挙制度をめぐって暴動が起きた。

背景には、政府に対する先住民の長年の不満や南太平洋で影響力を高める中国の存在があるとされている。

暴動で空港は閉鎖され、夜間外出禁止令が出された。フランス政府は「緊急事態宣言」を発令したと言うからただ事ではない。 

このニュース、日本で報道されるときには決まって「あの、天国にいちばん近い国であるニューカレドニアで・・・」と語られている。

『天国にいちばん近い島』は、作家の森村桂がニューカレドニアを旅したときの経験をもとに書いた旅行記で1966年に出版されている。1980年代、原田知世主演で同名の映画が公開されたが、内容は別ものである。 

200万部を超えるベストセラーになった森村の本で「ニューカレドニア」という島を知った日本人は多かったはずだが、いまだにニューカレドニアをメディアが語るときに「天国にいちばん近い島」と形容するとは。

一度付いてしまったイメージというのは、時間が経っても引き剥がせないものである。

それにしても、この本のタイトルの副題は「地球の先っぽにある土人島での物語」とある。土人の島ときたもんだ。今なら無理だろう。まさに時代を感じる。

jal.co.jpのサイトから

2024年5月16日

米国企業が占める定額サービスを考え直す

クレジットカードの利用明細を詳細に目ることなどあまりないのだが、たまたま今回、個々の支払いを眺めていてふと気になったのがDropboxの利用料金。あれ?こんなに利用料が高かったかなと・・・。

引き落としされていたのが20,754円。元の請求額が131.87ドルで、157.388円の為替レートで円換算されている。この機にと思い、Dropboxの契約内容を確認した。

2020年からずっと年額131.87ドルを支払っている。その前は106.92ドルだから、一気に23パーセントの値上げがされている。そして近年の円安である。

データ保存のためのクラウドサービスは他にも利用している。また、映画などのストリーミング・サービスも複数契約しているし、音楽のストリーミングもやっている。どれもアメリカ企業が提供するサービスだ。全部でいくらはらっているのだろう?

こうしたビジネスは事業を開始するための初期投資は多額だが、顧客ベースさえ順調に拡大できればやがては多額の利益を継続的に生む。アメリカ人はこうした金儲けの仕組み作りが得意だ。それを後押しする法律や社会の制度もあるし、市場の受容度も高い。

かたや、日本企業は形のある、つまり手に取れるモノづくりには得意だが、形のないサービスに関してのビジネスを構築するのがなんとも苦手。結果、日本人の金はどんどん継続的にアメリカへ流れていくのは間違いないだろう。

今後、AIによってさらに新手のサービスが登場してくることを考えると、その傾向は強まる一方である。 

その前にできれば不要なサービスの購入は中止したいが、どのサービスもうまく設計されていてなかなか手放しがたいのが悩ましい。

2024年4月28日

機械ができることは、機械にやらせればいい

 最近、24年問題という言葉をよく耳にする。

今年の4月から時間外労働、つまり残業の条件規制が導入され、とりわけ建設業や物流業で人手不足に悩んでいると言う。それがここでいう2024年問題である。

稼働できるトラックドライバーが不足し、そのために物流が滞ったり、必要なものがこれまで通り届かないことが心配されている。

残業規制をかけることで、トラックドライバーの安全や健康が確保される一方で、これまで通り商店の棚にモノが並ばなくなる場合が発生すると言うのだ。

トラックドライバーたちは、これまでは走れば走るほど給料が増えると言う労働環境の中で働いていた。そのため今回の規制により体は楽になるが、手取りが減るのが心配だと言う声が多い。そして彼らの労働時間には、荷物の積み下ろしのための待ち時間等も含まれる。まさに働き方改革がその中身が問われる領域だと思う。

車の自動運転はその後どうなっているのだろう。最近、あまり聞かないが。

長距離の物流運搬を担うトラックは、主に夜間に走行する。その方が交通量が少なく、時間あたり遠くまで効率的にものを運べるからだ。夜間に高速道路を走る際には自動運転はできないものだろうか。歩行者はおらず、信号もない。
 
その間、ドライバーは車の中で休むことができるのだから、機械ができることは機械にやらせればいい。最初慣れるまでは、ドライバーたちは心配でおちおち寝てなんかいられないのだろうけど。

2024年4月14日

Eメールを有料化したらいい

口座を持つある銀行から、

【重要なお知らせ】公共料金の未払い料金請求を騙るフィッシングメールにご注意ください 

と題するメールがきた。これまでも他銀行から同様のメールを受け取っているし、また銀行のサイトを開いたときにも多くの場合、同様の注意書きが赤字ボールドで記されている。

口座番号とパスワード、あるいはカード番号と有効期限、セキュリティコードを盗み取ろうとするものだが、どうも世の中全体でこうした詐欺および詐欺未遂が増える一方のようだ。

ある法律事務所のサイトには、フィッシングメールが成功している確率は低いが、0.001%の確率で成功すれば犯罪者には割に合うと示されていた。「10万人に1人が引っかかれば、めっけもの」というわけか。

だが、そもそもネットでのメール送信にはコストはまったくかからない。ということは、10万件に1件であろうが100万件に1件であろうが、フィッシングメールに対して1件でも狙った反応があれば、奴らとしては儲けになるわけである。

フィッシングを仕掛けるのに、難しい技術はいらない。パソコンが1台あればできる。どこからでも奴らは「仕事」ができる。しかも、不正な手段でパスワードなど取得して警察に掴まったとしても、1年未満の懲役または50万円以内の罰金である。しかも、実際に摘発された話はとんと聞いたことはない。

このままでは、フィッシングメールは絶対になくならない。たとえば、8,000万人が利用登録しているというLINEの個人情報は中国に筒抜けになっていて、データがかの国に流出した可能性がきわめて高い。

https://bunshun.jp/articles/-/70027

本人がLINEを使っていなくても、LINE利用者の「連絡先」に登録されていた人の名前やアドレス、電話番号なども一緒に抜かれているはず。

フィッシングメールには政府や警察も注意喚起をしているし、法改正もなされているが甘々である。抜本的な対策が必要とされている。ひとつの考えは、規制を一気に厳格化すること。だが、これにはリスクも伴う。

もう一つの案は、フィッシングメールの送信が割に合わなくすること。そのための対応策は、メール送信を有料化することだ。実際に詐欺を働こうとしている奴らがどのくらいの数のメールを送信しているのか知らないが、それが割に合わなくすればいいのである。

たとえば、メール1通につき1円の費用が発生するようにする(その支払い方法や支払い先、徴収した金の使途は別途考える)。教育関係や公的組織などは無料にする。企業などは自社内のイントラネットを用いるようにすればいい。

詐欺犯どもが、もし100万通の詐欺メールを送ればその費用は100万円である。さてそれでも奴らはフィッシングメールを送り続けるかどうか。費用を睨んで送信を踏みとどまるのではないか。

ただし、それだけコストがかかるとなると、これまで以上に手の込んだ内容のフィッシングメールが登場してくるかもしれないが。

我々みな、メールはタダなのが当たり前だと思っている。だが、それを変えてもいいんじゃないのかね。フィッシングメールが激減するだけでなく、世の中のつまらぬメールも減って少しは快適な社会になる。

本当に必要とするメールなんか限られている。

2024年3月29日

アルジャジーラ

ホテルにもよるが、僕が泊まり歩いている宿ではCNNもBBCも映らない(契約していない)ことが多い。英語でニュースが聞けるチャンネルがないか探すと、ABCかアルジャジーラ(Al Jazeera)に落ち着く。

契約チャンネルにCNNもFOXもないけど、ABCは映ることが多い。CBSやNBCは映らない(だからSNLは見られない)。

そうした状況の中では、ニュースでは断然アルジャジーラが見応えがある。中東カタールのドーハに本拠地をおく放送局だが、イスラム寄りの放送局ではない。僕が見る限り、極めて高い中立性を保っているニュース専門局だ。

局のモットーは「一つの意見があれば、もう一つの意見がある(the one opinion and the other opinion)」というもの。オルタナティブの重要性を示すもので、これはすごくいい。

アルジャジーラのニュース番組

それにしても、こちらで視聴できる「NHKワールド」は、一体誰に向けて放送しているつもりなんだろう。編成担当が何を考えて制作しているのか、まったく分からない。これじゃ、誰も見るわけないな。いや、とにかく日本語が恋しくてしょうがない日本人が見るか。

アルジャジーラと比べて、あまりに番組のクオリティが低いのは予算のせいか、制作能力のせいか、やる気のせいか。ともかくNHKの国際放送は、あんまりみっともない番組を外国で流すのは止めた方がいいと思う。

2024年3月21日

シンガポールは、買い物地獄である

かつてシンガポールは、ショッピング天国などと言われていたらしい。今はまったく様相が異なる。

とにかく何でも高い。いや、例えば食事を現地の人たちが普段行くような店で済ませば、その点はそうでもないかもしれない。だが、ちょっと贅沢をしようと思うと、別のモードに入る。

スーパーマーケットに並んでいる商品を見ても、アルコール飲料といった生活必需品以外のものはとても高価。例えばスーパーの棚にあったコッポラのカベルネ・ソーヴィニヨンが、59シンガポールドル(日本円で6600円)だった。日本では2800円だから2.3倍である。

ただし、これはシンガポールに限った事ではない。対米ドルでもユーロでも同じだ。日本政府と日銀がずーと円を安く、日本を安く誘導してきた結果だ。インバウンドと呼ぶようになった外国人観光客を国内に呼び込むのには格好だが、確実に日本人は外国に出て行きづらくなった。

為替レートの推移(SGD対円)
 
政府が短期で懐を膨らませ、大手企業や一部の富裕層をいっそう太らせるには良いのかも知れないが、長期的には国の成長を間違いなく妨げる施策。本来の「成長」を忘れた愚策の結果である。

2024年3月10日

この国のダイバーシティ(多様性)は、多様か?

用語としての「ダイバーシティ」がいつから僕たちの生活に入って来たのか検索してみた。朝日新聞のデータベースでは、初めて「ダイバーシティ」の用語が登場したのは1997年。「ILO(国際労働機関)ダイバーシティワーク研究会」なるものを紹介した記事だった。そこではダイバーシティワークを「多様な働き方」と定義し、在宅ワークや短時間の勤務形態などのことを示していた。

次に「ダイバーシティ」が登場するのは2002年。その年には3件の記事が掲載されている。ひとつはオランダの例を引きながら「ワークシェアリング」を紹介している。それと、企業が社員に提供する福利厚生の多様化についてももの。そして、アメリカでの白人、黒人、ヒスパニック、アジア系などの人種多様性を紹介した記事である。

つまり、その時点から「ダイバーシティ(多様性)」の議論は多様なのである。

ところが今の日本では、というか、最初からだが、ダイバーシティ=女性の管理職登用と思い込むきらいがある。そして女性を管理職に登用することで、「女性ならではの感性をいかした経営を実現」などという浅薄で単純な議論がいまも大手を振っている。

その背景には、企業において見ただけでも、採用から教育、配属、評価、昇進、報酬などすべてに渡って男女の間で差別が存在しているからだ。そこは分かる。是正されなければならない。だが、そのこととダイバーシティ論議は分けて考えることが必要。

ダイバーシティが、「男か女か」といった外形的なことなら、人種、年齢、出身地などの属性をもとに機械的に多様な人材を登用すればいいということになる。

そうではないだろう。大切なことは、外形的な見た目では分からない考え方や価値観の多様性だ。その結果として、異なった(マジョリティ、つまりおじさんから見ての、だが)考えや価値観を持った人の中に女性だったり、外国籍の人だったり、自分たちの半分ほどの年齢の人がいるかもしれない、ということ。そこに目を向け、耳を傾けること。それが肝である。

Diversityの同義語には、difference、distinctiveness、diverseness、heterogeneity、multiplicity、range、varietyなどいろいろある。つまり、ダイバーシティ(多様性)とは本来多様なのである。それを忘れてはいけない。