2026-03-22

捨てられた赤飯

3月は卒業式のシーズン。そのめでたい卒業式を毎年、赤飯で祝っている福島県いわき市内の中学校5校で給食用に用意された赤飯が,すべて廃棄された。

事の始まりは、たまたま今年の卒業式が3月11日、つまり東日本大震災が起きた日と重なったことだった。そんな日になぜ赤飯を出すのかという保護者からの指摘が学校にあったという。

そして、市の教育委員会が赤飯を出すのをやめることを決定し、用意されていた約2100食の赤飯が廃棄されることに。そんなニュースを聞いて、情けなさに愕然とした。

確かに3月11日は、誰もが知る東日本大震災の発生した日である。しかし、卒業式とはそれは別の話だ。赤飯を用意したいわき市の給食センターは、卒業していく子供たちの門出を祝って毎年赤飯を提供しているらしい。

たまたま卒業式が3月11日にあたったことから、そのことに疑問を呈してきたという保護者はなんなのだ。 

またそれを受けて、生徒たちへ給食の赤飯を出すことを取りやめ、準備された赤飯を廃棄することを決めた教育委員会の委員たちはどういう思考をしているのか。

さらに、いわき市の5つの中学校の校長や管理者たちは、それに対してどのように反論をしたのか、あるいはしなかったのか。

赤飯による卒業生徒への祝意が震災被害者の追悼を損なうという屁理屈。それが通ってしまう不可思議さ。 

批判されたくない、責任を問われたくない、そのため赤飯を給食に出すことを取りやめて、廃棄することにした大人たちの判断の仕方。

自分の頭で考え、判断し、責任を取るということを卒業していく中学生たちの前できっぱりと放棄してみせた。これが行政と教育者たちのやることだろうか。

3月11日が震災の日と重なったから赤飯を出すのをやめたわけだが、そんなことを言えば、一年365日、どの日だって誰かの命日であり、歴史を掘り返せば、どこかで災害が起こった日に違いないのだ。

廃棄された赤飯、2100人分。ああもったいない。