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2022年10月1日

これは、羊をめぐる冒険だ

横浜で「LAMB/ラム」を観た。劇場は思った以上の混雑。週末ということと、月の初日で鑑賞料が安く設定されていたのもあったのかもしれない。

「ラム」は不思議な感触の作品だった。ホラーか、スリラーか、ミステリーか、おとぎ話かヒューマンドラマか。どれだっていいのだが、僕はビターなコメディーと受け取った。 

舞台はアイスランド。山間に住む夫婦のもとに不思議な生き物がやってくる。彼らが飼っている羊が産んだのだ。なんだそれは、と思うかもしれないが、そうしたストーリーなのだ。

妻の名前がマリア(イエス・キリストの母の名)なのは、なにか示唆しているのだろうか。 

登場人物は、人間3人(夫婦と夫の弟)と不思議な生き物だけ。限られた台詞。全体に青みを帯びてとらえられたアイスランドの風景。舞台は彼らが暮らす家とその周辺の農場が中心。背景にはアイスランドの山々が連なる。羊少年(少女)や羊男の造形がおもしろい。そのあたりのこだわりは、本作の監督が「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」などでの特殊効果をこれまで担当してきたコバルディミール・ヨハンソンならではだ。

いまだにこの映画のテーマが僕にはよく分からないのだけど、イソップの寓話と村上春樹の世界と手つかずの自然に覆われたアイスランドの風景をシェイクしたらこの映画ができた、といった印象。

アイスランドには古くからトロールといった怪物(妖精)と人間の合いの子が存在しているという伝説が残っているのも、この映画の舞台としてふさわしい。
https://tatsukimura.blogspot.com/2016/09/blog-post_4.html
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それと、僕が気になったのは白夜だ。アイスランドは北緯64度とかなり北極圏に近いので、夏のあいだはほとんど陽が沈まないはず。この映画では夜の時間や夫婦の寝室シーンが頻繁に描かれる。だが、いつだって明るく、ぼんやりしている。

日が暮れず、朝も昼も夜も明るい世界での物語は、なんだかずっと白昼夢を見ているような気分に。映画の最後の場面で流れてきたヘンデルのサラバンドが、うまく不思議な映画の余韻に溶け込んでいた。

2021年12月26日

立ち上がる女

映画「たちあがる女」は2019年作のめっぽう元気で、気が利いたアイスランド映画である。

主人公ハットラを演じるハルズ・ゲイルハルズドッテルを見ていて、「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドを連想した。

現代のアイスランドを舞台に、その環境破壊を食い止めるために立ち上がった一人の女性を描いたユニークな作品で、自然にあふれたアイスランドの地にも環境汚染の波が押し寄せていることが分かる。中国資本が注がれたアルミニウムの製錬工場である。

アルミニウムの製錬には大量の電気を必要とするが、アイスランドは火山の国、すべての電力は地熱でまかなわれていて電気代が安い(タダ)からだ。

平原に延びる送電線をショートさせ、鉄塔を一人で爆破する彼女は一人で立ち上がり、戦いを続けている。

警察などから追われる彼女を赤外線カメラで執拗に追うドローンは中国の象徴だ。姿を捉えられないように死んだ羊の皮をまとって逃げるハットラ。途中、彼女を追うドローンをハットラが弓矢(!)で仕留め、手に握った石で叩き潰すシーンは「これが私たちのあんたへの回答よ」と聞こえた。その時、彼女は彼女のヒーローであるネルソン・マンデラの写真で作ったお面を被っている!

彼女にはオルガンと太鼓、スーザフォンの謎の3人からなる音楽隊が寄り添っていて、時に彼女の気持ちを象徴するように、時に彼女を励ますかのようにリズムを刻む。さらに3人の若い女性からなるコーラス隊もあちこちのシーンで登場する。不思議なユーモラスさを醸し出している。

映画のなか、自転車でアイスランドを旅するスペイン人の若者が方々のシーンで登場する。彼はその都度、ハットラが巻き起こす騒動に巻き添えを食わされる。気の毒だったり、情けなかったり。でも可笑しい。

太古の土地が残り、原始性豊かな自然のなかで暮らすアイスランドにも、外国からの資本が容赦なく流入し経済発展の名の下で環境破壊が行われていることへ、この映画は警告を発している。快作である。

2016年9月8日

湖へ

何度目になるだろうか。レイキャビクに来てから、朝となく夕となく、時間があるとホテルから歩いて10分くらいのチョルトニン湖の周辺を散策するのが日課のようになっている。

日本語のガイドブックには、チョルトニン湖と書いてあるけど、現地の地図ではチョルトニン・ポンド、つまり湖でなく池。それに何かびっくりするようなものがある訳じゃないんだけど、ただその周りを散策してるだけで幸せな気分になる。なぜだろう。

夕暮れ後、うす闇の光のなかのチョルトニン湖

2016年9月7日

9月でもオーロラ

レイキャビクから北へ2時間半ほど行ったところ。周りに何もない高原(らしき場所)でオーロラを追う。まだ9月なのでほとんど期待していなかったが、幸いに深夜0時頃オーロラのダンスが天空に現れた。風が、凍えるように寒い。

右から2人目が僕。寒かった

2016年9月6日

東京都中野国

現在滞在しているアイスランドの全人口は、わずか33万人。所沢市(埼玉県)や前橋市(群馬県)、郡山市(福島県)の人口とほとんど同じである。また都内の新宿区、中野区、北区のそれぞれの区民数も似たようなものだ。

つまり、中野区に相当する数の住民が、北海道よりいくらか大きな土地に暮らしているのがアイスランドという国だ。ただ、内陸部のほとんどは人が住めない氷河や火山地域のため、33万人の国民のほとんどは沿岸部のいくつかの地域に集中して暮らしている。

そんな「小さな」国だが、当然ながら議会も行政府も裁判所もある、れっきとした一つの国だ。33万人の国に、大学が7つある。僕たちは、中野区に7つの大学があるのを想像できるだろうか。小学校から高校まで授業料は無料。大学も国立は授業料がタダらしい。

国際線と国内線の航空会社も飛んでいる。テレビ局も2局ある!

日本と同じ島国で、彼らの主な産業は水産業、観光業、アルミニウムの精製(電気代が安いから)といったところ。よく財政がまわっていると感心する。

確かに物価は高い。多くのものを輸入に頼っているから仕方ない。ホテルも高い。食事も高い。観光関係の様々なサービスもとても高い。それらで外貨を稼いでいる。

ドライブインのハンバーガーセットが1700クローネ(約1600円)

観光客としては懐が痛いところだが、だけどだからこそ、貧乏旅行を狙った連中は来ない。そこはいい。一人ひとりの観光客が、しっかりお金を落としてくれる。

いいか悪いかの議論は置いておくが、アイスランドにはファストフードの店はない。コンビニもない(よる11時まで開いている食料品店は見つけた)。飲み物の自販機も見たことがない(安価な電気代を考えれば、アイスランドこそ自販機があってもおかしくないのだろうが)。だから、街の景観が実にすっきりしている。きれいなのだ。

日本が、この極小の国から学ぶことは多い。

レイキャビク市の南に拡がる住宅地。海沿いに広大な芝生が拡がっている。


2016年9月5日

アイスランドは火山と氷河の国だから

朝に夕に、時間があるとレイキャビク市内のチョルトニン湖を散歩している。周りの遊歩道も、方々に拡がる芝生も実に気持ちがいい。

その近くで日産リーフの充電スタンドを見つけた。書かれている説明はアイスランド語なので読めないが、専用のカードで簡単に充電できるようだ。



アイスランドは電力供給の3割を地熱で、残りは水力だ。電気代はとても安い。

2016年9月4日

トロールはトトロの親戚だろうな、きっと

アイスランドのスナイフェルトネス半島へ。あいにくの天気で山頂の氷河は眺められなかったが、海岸近くで石積みの巨大な立像を見つけた。トロール(トロル とも発音する・・・トトロみたいだ)と呼ばれている、怪物(妖精)と人間の合いの子で、この地を洪水から守っていた守り神のような存在とされているとか。

スナイフェルトネス半島へ

朝食もそこそこに、スナイフェルトネス半島へ出かけた。レイキャビクから4時間ほどの距離。ここは、ジュール・ヴェルヌが小説『地底旅行』の舞台として描いた場所。数々の奇岩の風景に、地底世界の入口がここにあってもおかしくないような気になる。





2016年9月2日

High Waterfall


氷河に向かう途中、ヘリから撮った "The High Waterfall" と呼ばれている巨大な滝の遠景。アイスランドは、その一部が北極圏にかかっていて森林限界を超えているせいか、地形全体が溶岩でできているせいか、周囲にまったく木々が生えていない。これが地球か、と思わせる風景に息をのむ。


ヘリのフロントガラスまで水滴が飛んでくる。アイスランドで2番目に高い滝らしい。

2016年8月31日

ハットルグリムス教会

レイキャビクでもっとも高い建物がハットルグリムス教会である。ロケット型の独特の形をしている。この街のランドマークだ。

この教会の塔の展望台からは市内が一望でき素晴らしい。




2016年8月30日

レイキャビクの虹

アイスランドのレイキャビクに来ている。ホテルは、街のど真ん中。隣がインフォメーションセンターなので、いろいろと便利だ。

部屋から外を眺めたら、入り江に虹が架かっていた。