2022年8月11日

財政的幼児虐待

「国の借金」が6月末時点で1,255兆億円を越えた。国債や借入金、政府短期証券の残高は、日本の全人口で割って1人1,000万円では収まらなくなっている。

つまり今の赤ちゃんらは、自分が生まれた時からそうした借金を背負わされているということで、それは「財政的幼児(児童)虐待」と呼ばれる。尋常でない名称だが、そのくらい深刻な状況だということだ。

コロナ対策や東日本大震災への援助、復興のための予算が必要で国債を大量に発行してるのは理解できる。しかし政府は、その後なんでもかんでも国債を発行し、それを中央銀行に引き受けさせれば済むと考えているようにしか見えない。

調子よく引用するMMT(現代貨幣理論)を言い訳にして、国債を打出の小槌と考えている。下図は2001年と2021年の債務残高(GDP比率)を日本と他国で比較したものだ。国名の右の%は、この20年間でどのくらい経済成長したかの数値である。


日本は20年前(東日本大震災もコロナもまだ発生していない)、既に国の借金はGDP比150%と先進国でダントツだったわけだが、それが今では250%を越える。

それだけの借金をしながら、経済成長率は20年たってもわずか12%にとどまっている。経済政策の面だけから云えば、日本は発展性のないことに延々と金を借金して注ぎ、そしてその考えを改める姿勢もない。財務省によると、本年末に国の借金は1,411兆4,000億円まで増える。1人当たり1,130万円強だ。

虐待の度合は、ますます強化され続ける。「こんな国にどうして生まれてしまったのか」と子供たちが将来恨み言を吐くようにならなければよいと願う。