講談社がインドで出版社を設立すると発表した。
彼らはその目的として2点をあげている。ひとつ目は「(インドの)全人口は14億6300万人以上、そのうち10代〜20代のいわゆるZ世代だけでも約3億7000万人もいる」であり、二つ目は海賊版対策だという。さてその通り、うまくいくか。
講談社は以前からインドに社員を置いているが、同社の今回の発表内容を読む限り、それでもってインドのことを分かっているとはあまり思えない。
確かにインドの人口は中国を抜いて世界一の14.6億人という途方もない数だ。しかし、インドは一つの国というより、その文化や言語の観点から見れば28の州がそれぞれ異なる別個の国のようなもの。
言葉だけで数百の言語・方言がある。もっとも多く用いられているのはヒンディーだが、全体の半分に満たない。
ヒンディー語(約43.6%)
ベンガル語(約8.0%)
マラーティー語(約6.9%)
テルグ語(約6.7%)
タミル語(約5.7%)
その他
英語が曲がりなりにも読める層は全体の1から2割と推定される。そして、現地でいま講談社の漫画を激安の海賊版で読んでいるのは、その英語層(英語版読者)だ。
出版社が版権を売った米国の出版社が発行した漫画雑誌がインドに輸入され、その店頭価格が高い(読者にとって)のですぐ海賊版に化けてる。もとの一冊をスキャナで読んでデータ化するだけなんだから、誰だってやれる。
おそらくインド政府はマンガの著作権(それも外国のIP)の保護などさほど関心はないだろうし、スキャンする人たちのモラルや読者の懐具合(小遣い)といった状況も合わせて考えれば、講談社の担当者がいくら「手に取りやすい価格で正規品を売ることで海賊版を減らしたい」と言っても、その撲滅は絶望的に思える。マンガに正規品も海賊版もないから。
しかも、講談社がインドに設立する新会社は「紙」で出版すると宣言している。だからなのか、あるいはその方策の理由なのか、大日本印刷が共同設立者として名前があがっている。
あえて自分の手足を縛った、デジタルをやらない(できない)体制で出版事業を現地で興す発想が分からない。
紙のマンガ雑誌(もの)をどうやって毎週毎週、広大なインドの書店やキオスク(そうしたものがあればの話だが)に配本するのか。ちなみにそれは日本のように返本可能か、それとも売り切りか。
コンテンツ開発、ターゲット設定、商流管理など不安要素しか浮かばないのだけど、講談社の経営者は何か秘策でも持っているのだろうか・・・。
同日、キッコーマンとカゴメがそれぞれインドでのビジネス強化を進めるという話を聞いた。こちらは期待が持てる。















