電通がマーケティング調査を仮想空間上でできるようにするらしい。
仮想空間上と云ったのは、生身の人間ではなくAIがこしらえた仮想顧客(仮想人間)のことで、これまでの調査で必要だった被験者のリクルートが全く不要になる、らしい。
これまで調査でもっとも大変だったのは良質なサンプル(回答者)をタイミングに合わせて適宜集めることだった。コストもかかった。
早く、安くできると謳うネット調査は形式だけで、残念ながら調査といえる代物にはない。ましてや経営判断に用いるのは危うすぎる。
https://tatsukimura.blogspot.com/2023/03/blog-post_6.html
それをすべてヴァーチャル顧客に切り替えちゃおうというわけだな。
電通は、彼らの説明によればこれまで収集した顧客に関するデータをもとにAIが750種類の人格を作成し、それをもとに顧客調査ができまっせと。
彼ら、というかそれらは生身の人間じゃないから「質問や聞き直す回数に上限はなく、持病などの悩みから広告などに関するネガティブな感想まで、聞きづらい本音も回答を得られる」のがウリだとか。
だけどね、ちょっと考えてみようよ。例えばだけど、持病や性癖、家庭状況、自分が抱えている悩みやコンプレックスといったプライバシーに関わるようなことでも、感情を交えずあっけらカーンと答えてくれる被験者が被験者たり得るのか。
どうも違うんじゃないのかね。だって、そんな人間、ふつうどこを探してもいないんだからさ。
それと、電通は750種類の人格をそれぞれ1つのサンプル(ペルソナ)として課金する商売を考えているんだろうけど、AIがつくり出した仮想顧客なんだから、本当はひとつ(1人)で済むはず。
1人で750の人格を備えている多重人格者、といったら分かりやすいか。ダニエル・キイスの本で『24人のビリー・ミリガン』というのがあったけど、それと同じような感じだ。
仮想顧客の被験者「電通太郎」さんは男であり女であり、大人であり子どもでもある。都内の金融機関に通勤するサラリーマンであり、田舎の田畑で毎日汗を流す農家でもある。つまり、電通太郎は750人分のペルソノが備わっている解離性同一症の人物と考えれば分かりやすいだろう。
だとすると、調査はすべてn=1で済む。その1は<電通太郎>だ。でもそれじゃ商売にならないから、生身の人間のイメージに合わせて個々に切り分けて料金設定するのかな。
今後、マーケティングのやり方はドラスティックに変わっていき、本来の意味でのマーケティング・オートメーションが実現するように思う。
1人か2人の人間がAIエージェントを自由に扱ってすべてのマーケティング・サービスを提供するといった広告会社あるいはコンサル会社のイメージだ。
企業側は何十人といったマーケティング担当者を抱える必要はなくなる。マーケティング・センスがあるトップ・マネジメントがいて意思決定ができれば、それで済むのだから。
夢物語ではなく、近い将来、現実になるだろう。













