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2025-07-12

ジェノサイドで儲ける世界的企業

未だに止まないイスラエルによるパレスチナへの攻撃。そのなかには病院や学校、子どもまで標的にした明らかに国際法に違反した攻撃が多い。食料の配給場所に集まった住民に向けてのイスラエル兵士による発砲まで行われている。

国連のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者が、イスラエルによるパレスチナへの攻撃を可能にしている各種技術や情報の提供元を報告書で明らかにした。

2025年7月1日付の報告書「From economy of occupation to economy of genocide(占領の経済からジェノサイドの経済へ)」である。

そのなかで名指しされている主な企業の名前をあげる。多くは米国の企業だ。

🌑 軍需・防衛関連:
    Lockheed Martin
    Boeing
    General Dynamics
    Leonardo
    Oshkosh Corporation

🌑 重機・建設機器:
    Caterpillar

🌑 テクノロジー&クラウド:
    Microsoft
    Alphabet Inc.(Google)
    Amazon
    IBM
    Palantir Technologies
    HD Hyundai

🌑 航空宇宙・部品:
    Israel Aerospace Industries (IAI) 

🌑 金融・資産運用:
    Allianz(PIMCO)
    Barclays
    BlackRock
    BNP Paribas
    Pimco
    Vanguard

🌑 ロジスティクス:
    Maersk

🌑 コンサルティング:
    Boston Consulting Group

🌑 エネルギー:
    Chevron

🌑 航空・誘導兵器関連:
    Honeywell

米国の主要な軍需・防衛企業が登場するのは予想どおりだが、アマゾンやグーグル、マイクロソフトまでもかと・・・。ボストンなんたらというコンサル会社の名前も見える。報告書の中、日本企業ではファナックの名前が挙げられている。

https://www.theguardian.com/world/2025/jul/03/global-firms-profiting-israel-genocide-gaza-united-nations-rapporteur

https://www.reuters.com/business/aerospace-defense/lucrative-business-deals-help-sustain-israels-gaza-campaign-un-expert-says-2025-07-01/

https://www.bbc.com/news/articles/cx2039xpv87o

https://www.nytimes.com/2025/07/10/us/politics/gaza-francesca-albanese-sanctions.html?searchResultPosition=1

2025-07-11

あなたはどこまで「ファースト」か

今回の参院選で気になる動きの一つが「日本人ファースト」といった排外的な考えを前面に打ち出した党の台頭と、それを支援しようとする有権者たちである。

どの政党を支持するかは、それぞれの有権者の自由。ただ、「日本人ファースト」という考えを支持している人たちには、自分が「ファースト」として本当に処遇される側にいられると思っているのか問うてみたい。

「オレたち」と「アイツら」を二分することで人々の帰属意識をくすぐり、集団の傘の元へ引き寄せるやりかたは為政者による人心をつかむための常套手段である。

万が一、そうした考えに沿って日本にいる外国人を排斥したあと、何が起こるか考えた方がいいと思う。きっと次に起こるのは「エリート・ファースト」「富裕層ファースト」「既得権者ファースト」、つまるところは「権力者側の身内ファースト」だ。

「日本人ファースト」を政策とする政治家がやりたいことは、決して日本人すべて(1億2千万人の人口)をファーストな存在として取り扱うことでなく(そもそも不可能)、対立の構図をつくり人々を煽ることで自分たちに目を向けさせたいだけ。

外国人排斥に気持ちよさを感じるような人たちは、「日本人ファースト」で自分がファーストな扱いを受けられると思って歓迎しているのだろうが、次はそうした連中に向かってブーメランの先は向かっていく。 

2025-07-06

「なんでそうなるの」

今朝の日経新聞、その一面トップ記事に首を傾げた。

企業の経営計画を取り上げ、「数年単位の中期より10年以上の長期目線で経営に取り組む企業の方が、 利益の伸び率が大きいことが分かった」と書くのだがーー。

記事の書き手は、根拠として2024年にあずさ監査法人が行ったという調査をあげている。その調査結果では日本企業を将来の計画への時間軸の長さで区分けし、1年、3年、6年と答えた企業より10年以上としている企業の方が業績(過去5年間の営業利益の平均伸び率)が良かった(前者が18%、後者が52%)と述べている。示されているのは相関関係である。

だが記事は、10年あるいはそれ以上の長期的目標を設定する方が企業は高い業績をあげられると結論づける。目標を中期ではなく長期的に持つことによって、長期的な人材教育や投資が可能になるからだと説明しているが、理屈が通っていない。 

これって、因果関係の説明が逆転してるのではないか。データの範囲内で解釈を試みるなら、幸いにして過去5年間の業績(営業利益の伸び率)が好調だったからこそ、長期的な目標設定をすることが可能な経営状態にあるというのが実態ではないのか。

そしてそれほど儲かっていない企業は、まずは3カ年程度の収益目標をたて、それをどうきちんと実現させるかに注力せざるを得ないのが実状だろう。

そもそも、それこそ10年以上前から10年超の長期計画を目標にしてきた企業と、従来の中期を目標にしてきた双方の企業群の業績を10年間遡って比較してみなければ記事が言っていることは証明できないはず。だが、そうした検証は行っていない。

記事を書いた人物は、経営者には長期的な視点こそが重要であり、長期的に人材教育を施し長期的な視点で将来へ投資する企業こそが成功する、と言いたいようだ。彼(女)はファクトではなく、自分がそう思う(思いたい)ことを書いている。そして、最近では中期経営計画は廃止する企業が出始めているとしている。

しかしそれは、未来を確実に予見できればの話。今後10年先に市場がどうなっているか、顧客がどこにいるか、主要な競争相手がどこか、さらには世界経済はどうなっているかなど、そうした種々のことが明確に分かっていれば超長期目標でやればよい。

だが、常識的に考えればそれはムリ。もしできるのなら、どうやって予見するのか教えて欲しい。超能力でもあるのか、あるいはAIが教えてくれるとでもいうのか。 

書き手の思い込みと誤った推論をもとにした典型的な記事である。

2025-06-21

問題の本質は、マスクでなくマスキング(隠蔽)にある

安倍政権が2020年に全国に配布した「アベノマスク」に関し、業者との契約過程が不明だとしてそれを明らかにするよう神戸学院大の上脇教授が求めた裁判が、原告側勝訴で確定した。

業者との契約過程を記した文書の不開示決定の大半が取り消され、国に賠償金の支払いを命じた大阪地裁の判決に対して国は期限までに控訴しなかった。

地裁の判決はというと、マスクを調達する業者との記録が文書1枚、電子メール1通すら作成されないまま事業が行われたとは考えがたいとしたものだった。

今後、われわれが注意を向けるべき点は、彼らが「ない」と言っていたはずのどんな文書が出てくるかということにまして、原告側の開示要求に対して国が一貫して「記録は一切ない」と突き放したウソの回答をしていたことにある。

裁判に訴えた原告だけではない、すべての国民をなめていないか。 

日本全国の5,600万世帯へ配布するマスクの調達と発送を、コロナ時において業者と文書1枚、メール1通かわさないで(すべてを口頭だけで!)手続きするなど、小学生が考えてもオカシイのはあきらか。

そうなんだけど、国側はこともあろうか裁判の場でもそう言い放った。なぜか。その理由は簡単で、役人はこれまでも市民からの問合せに対して「そうした記録はない」と突き放して、それで済ませていたからである。

それが彼らの常套手段であり、突き放された市民側は「記録はない」と言われて引き下がるしかなかったから。いくら「それはおかしい。あるはずだ」と主張しても、役人側が「ないものはない」と譲らなければ、市民側はそれ以上は手の出しようがないからである。

これが役人の手口。強弁を続けてしらばっくれれば、やがて相手が引っ込むと思っている。だが、裁判ではそうはいかなかった。当たり前だけどね。 

役人にとっての常識が、いかに市民にとって非常識かが浮き彫りになったひとつの例だ。

だいたい、市民からの情報公開請求に対して役所がさっさと応えればすむものであって、裁判で争うようなものじゃないと思うんだが。 

2025-06-08

同質性メンバーが生む集団思考が招く失敗

東京電力の旧経営陣で、今回株主らから裁判で責任を問われた被告について調べたら、実に似通った4人組だった。

元会長・勝俣恒久(故人)
元社長・清水正孝
元副社長・武黒一郎
元副社長・武藤栄

これら4人はいずれも年配の日本人男性。東電への入社は4人のうち3人(勝俣、清水、武黒)が1960年代、1人が70年代前半。概ね同世代である。出身校は4人のうち3人(勝俣、武黒、武藤)が東京大学、1人が慶応大学。それぞれが上記の役職に就いたのは3人(勝俣、清水、武黒)が2008年、1人が2010年。4人とも新卒入社で東電一筋のキャリア。

これだけでも、彼らが極めてホモソーシャルな集団であることが分かる。そうした同質性の高いグループは、一般的に米国の社会心理学者 A・ジャニスがいうところの集団思考に陥りやすい。そして、集団思考という思考停止の結果、組織は失敗する。

ホモソーシャルなだけではない。4人の中には明確な上下関係(入社年度)があり、そのなかで各自が保身のために生きていた。 

そのような集団では合理的かつ独自の判断は求められない。既存の秩序とルールを決して乱さないこと、全体の流れから逸れないこと、そのために「変化」を起こさないことが最良の生存戦略になる。

目は組織の内部にしか向いておらず、自分たちの事業が兼ね備えているはずのリスク、たとえそれが人々の命にかかわることであっても「本気で」考えることなど及びもつかない現状維持バイアスで脳みその大半が埋め尽くされたサラリーマン経営者たち。 

このことは当時の東電だけではなく、多くの日本の大企業が今も同じである。 

2025-06-07

原発を東京に

東電旧経営陣の責任を問う株主代表訴訟の判決で、東京高裁はかつての経営者4人に対し13兆円強の賠償を命じた東京地裁の1審判決を完全に翻し、無実とした。 

ポイントは、津波を予見できたか否かの判断であり、その元となった国が行った地震予測の長期評価をどう扱うかだった。

東日本大震災の9年前に国の機関が公表した地震予測「長期評価」では、三陸沖から房総に至る地域でマグニチュード8.2級の大地震が発生する可能性があると言及されていた。

そして、地震が起こった場合、福島第1原発は最16メートルの高さの津波に襲われると東電は計算していた。実際に東日本大震災が起こる3年前、2008年のことだ。

しかし、東電の当時の経営者らは対応策を施さなかった。なぜか? 「そんなもん、めったなことじゃ起こるはずない」という希望的観測だ。あるいは「自分が在任中に起こらなきゃ構わない」といった経営者の考えがなかったと言えるか。

国の機関による地震予測に対応する対策を東電がとっていれば、最悪の事態は防げたのが今になれば残念でならない。

結果、2011年に大地震と大津波が発生し、冷却水を取るために海岸沿いに設置された福島の原発が爆発したのである。

事故の発生リスクを知っていながら策をとらなかった。これは明らかに経営ミスであり、それゆえに1審の東京地裁はその責任を認めた。

ところが、東京高裁は一転無実とした。地震発生の長期評価の信頼性が不十分だと結論づけたからである。裁判官は科学者でもないのに。

地震発生について、その規模やタイミングを完璧に予測することはできない。当時も今も、おそらく将来的にもそうだろう。

だが、それは当時のトップレベルの専門家がまとめた見解だった。無視していいことにはならない。無視するのであれば、そもそも国の機関によるそうした報告書自体がまったく無意味ということだ。

高裁の木納敏和裁判長は、評価委員会の結果を信頼できないものであって、対応を取らなかった東電の経営者が言った「巨大津波は想定外だった」という言い訳を丸呑みしたわけだ。

ちなみに、東電の勝俣は原発事故の7年前、東電の地域住民モニターだった町議の女性から「原発の非常用発電機を地上に移して欲しい。大津波に襲われるから」と訴えられたとき、「コストがかかりすぎるから無理」と回答していた。津波が想定外だった、なんての噓っぱちで、金がかかるからやんないとはっきり明言していたじゃないか。 

リスクといっても、もしそれが発生した場合、企業の売上が減少するとかの話ではない。万一それが発生した場合、多くの人命が失われ、その地域も国全体も長年にわたって被災し続けることは分かっていたはずだ。にもかかわらず、4人の経営者はリスクを看過した。 

世界を震撼させた東電福島第1原発の爆発事故からまだ14年しかたっていないのに、国は「原発回帰」に舵を切った。今回の東京高裁の判決は、まさにそれを忖度し支持するものである。 


そもそも、原子力発電がかかえるリスクを電力会社の経営者が知らないはずはない。だからこそ、原発は電力需要が最大の東京ではなく地方の福島や新潟、大阪ではなく福井や石川に置かれている。

私たちも原発のリスクを過小評価しすぎ。たとえそのことを分かっていても、すぐ忘れるし。理性的に考え続けるのはたいへんなのだ。 

2025-05-28

政治や行政にたかる心根は日本人共通か

関西のあるテレビ局が緊急調査と称して神戸・元町で県民100人に「兵庫県知事は辞任すべきかどうか」についてインタビューした。

結果は「続投すべき」が37人で「辞任すべき」が63人だった。調査結果と言っても統計的な意味はない。

だから、こんな意見もあるのか、といった参考程度にしかすべきではなのだが、その中にちょっと気になったものがあった。

20代だという兵庫県立大学の卒業生が、「(斎藤知事は)続投すべきで、僕らの世代からしたら若者への支援が充実していると感じる。自分らが直で受けた授業料の無償化が大きかったので、特に辞任っていう意見はない」とコメントしていた。

僕はこれを聞いて、実に厭な気持ちになった。

授業料を無償化してくれたことを理由に斎藤は辞任する必要はないと言っているが、これって国からの補助金を受け取っている農家がそれを理由に自民党の議員を支持するのと何ら変わらない。

政治にたかる心根は地方の高齢者だけでなく、20代の若者も同じなのだと改めて知った。

2025-05-27

事実か、認識か

内部告発をした元県民局長(昨年7月に自殺)の私的情報を元総務部長を通じて外部へ漏洩させた指示は、斎藤兵庫県知事(および元副知事)による可能性が高いと結論づけた調査報告書を第三者委員会が発表した。

それに対して、当事者の鉄面皮斎藤は「私としては、あらためて漏洩に関する指示はしていないという認識に変わりない」と語った。


どこまでもずる賢いなあ〜と感心する。「指示はしていない」と明言するのではなく、「指示はしていないという認識」についてしか語らない。

「指示はしていない」と言い切ったら、あとでウソがばれたときに言い訳ができない。だから、斎藤はあくまで「事実」ではなく「認識」にこだわり続ける。

つまり、これは「指示をした」という事実があることを含んでいるととれるのだが。

その時が来たら、この御仁、今度は「認識は事実に及ばず」とでも言い始めるのだろうか。 

◉ 認識(にんしき):人間が何かを知覚し、理解し、判断する心の動き。つまり「主観的な理解」
◉ 事実(じじつ):人間の認識とは無関係に実際に起きている現象や状態。つまり「客観的な現実」

今回、漏洩させたと証言を変えた元総務部長は「職責として正当業務を行ったに過ぎない」と述べているが、それもまた納得できるものではない。

彼の言の変遷は事態の流れを読んで計算した結果なのだろうが、個人のプライバシーに関わる情報の漏洩はどうやっても違法なわけで、私は上(知事)から言われたからやっただけです、では済まされない。

上から言われようが、やっちゃいけないことはしなきゃいい。

この総務部長は自分が停職処分に処せられたことに対し、「審査請求及び執行停止の申し立てを行い、正当性を主張したい」ともコメントしたという。正当性という言葉に首をかしげる。

元部長さん、そうした手続きも結構だが、まずは社会の常識を頭にたたき込むことだ。

兵庫県庁から退職する職員が増えているとの報道があった。一般的に、県庁職員や市役所職員ほど定年まで辞めることがないサラリーマンはいないのだから、こうした状況はよくよくのことなんだろう。

上が逆ロールモデルばかりの組織では、そこにいては自分も腐っていってしまうと考えるのは無理もない。つくづく残念な組織である。

2025-05-24

DXのお手本

「誰がどこからいくらもらっているかが分からないと、是非も評価できない」と、議論の前提を提供することを目的に、一人の民間人が政治家の収支報告書のデータベースを構築した。https://political-finance-database.com/

政治家の名前を入れるだけで、受け取った企業献金の支払い元や金額などが分かる。企業名からの検索もできるし、寿司とか商品券といったキーワード検索も可能。一覧表で見ることができる。

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現状、国の対応はどうなっているか。報告書自体はネットで公開されてはいるが、紙をPDFにしてあるだけなので一覧性がない。これは調べる方からすると手間がかかり過ぎて致命的。

また、議員による報告書の提出先は、総務省と都道府県の選管に分かれているため、それぞれのサイトから探さなければならない。しかも、議員が複数の政治団体を持っている場合(そうしたケースが多い)、関係の団体名を調べるのだけでも大変である。

つまり形式的には政治家は報告書を提出し、それはサイト上で見ることはできるが、それらは利用価値が低く(というか、それを狙ったものとしか思えなくて)機能しているとは言いがたい。

それらへの不満や強い改善要求をもとに昨年末の政治資金規正法改正で、国もやっと2027年から報告書のデータベース化をすることが決まった。ただし、データベース化に取りかかるのが27年中だとすると、国民がそれを使えるのはもっと先ということになる。

今回、西田さんという人がデータベースを作成した。これならジャーナリストや研究者などはもちろん、一般の人たちも簡単に政治資金収支の内容を知ることができる。政治の議論が高まり、監視の目が強まると同時に本来あるべき政治に少しでも近づいていけるかもしれない。

以前ほど耳にすることはなくなったが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が盛んにささやかれた時期が合った。デジタルならではの特性を利用して効率性を急速に高めたり、問題解決に進むための考えだ。

DXというのであれば、これこそがそのお手本だ。

ただ、データベース構築に当たっては、もとのデータが紙(PDF)なのでそれを専用のOCRで読み込んで作成している。国や自治体は、さっさと議員の報告書の提出を紙ではなく、デジタルによるものにすべきだ。

なぜ今も政治家に紙で提出させているのか。デジタル庁は足下のそうした状況を当然知っていながら、見て見ぬふりをしてきた。政治家のご都合主義。

2025-05-21

「コメを買ったことがない」 じゃあ、何を買ったことがあるのか

江藤拓農林水産大臣が政治資金パーティーでの演説のなかで「(私は)コメを買ったことがない。支援者がくれる。売るほどある」と調子放いて、結果、更迭された。

このおっさん、頭の悪さは一流だが、それにしても65歳になるまでどういう生き方をしてきたのだろう。

首相官邸のホームページに彼の紹介が載っていた。なんといっても大臣だからね。

おっさん、24歳で大学を卒業し、それから2年半後、衆議院議員である父親の秘書になっている。その間、なにをしてたんだろう。

今回の農水大臣の交替を、れいわ新選組の山本太郎が「マヌケな大臣が辞任しても、次のマヌケが大臣になるだけ」とコメントしていたがそうなった。

コメントと言えば、国民民主党の玉木ンタマ代表は、石破総理の脳薄い、いや農水大臣交代の決定を「判断が遅い印象は否めない」と評したが、おととい記者団に答えた話とずいぶん違う。

そのときは江藤大臣の進退問題に関して問われ、「辞めるような話ではない」と玉金玉は語っていた。

どっちやねん。

確固たる自説を持たず、その時その時で周りを見て言うことを変える嘘くささとご都合主義がこの男の本性のようだ。

2025-05-07

人を不用意に脅迫者呼ばわりしてはいけない

毎月、「かながわ県のたより」と題する県からの月報が配布される。普段そうしたものを読むことなどないのだが、GW中に古新聞をかたづけるついでにめくってみたらある記事が目に付いた。


その号の特集は「STOP! カスハラ!!  かながわ宣言」。カスハラ(カスタマーハラスメント)はいけない、止めようという趣旨だが、目を通していて、あれっ!と思ったのは、そこで紹介されていたカスハラの事例だ。

さて、これのどこが<脅迫>なのだろう? わざわざ赤字で印刷されているところが<脅迫>にあたる、つまりカスハラだと指摘しているのだろうか。

何を「インターネットで流す」と言っているのかがはっきりしなければ、判断はつかない。その日の電車が遅延したこと、そのため接続先の最終便に間に合わなくてタクシーを使ったこと、その後、タクシー代を電鉄会社に請求したが「負担できない」と相手の会社から言われたこと。

これらは事実であり、そのことを誰に話そうが、ネットで書こうが問題はない。プライバシーの侵害や中傷誹謗ではない。もちろん<脅迫>などと言われる筋合いはない。

「ネットに流す」と言われるだけでビビり、そのことを「脅迫」と受け取り、「カスハラ」だと騒ぐのは馬鹿げてる。

そうしたビビり企業は、何かやましいことがあるからと見られてしまうものだ。 

もしネット上の内容が事実に反していればそれを指摘し、毅然と訂正を求めればいい。内容が中傷や誹謗であれば法的措置を執る。それらは面倒だけど、いまの社会的環境の下では避けられないコストだ。

「社長もよく知ってるぞ」というこの客の発言を<脅迫>だと断じるのもどうなのか。この場合、電鉄会社が自分たちの判断が適切だと思うのであれば、そのことを会社の社長であろうが誰であろうが伝えられたって構わないだろうに。

全般的に言って、顧客からのこうした要求をスグに<脅迫>とか、<カスハラ>と決めつけたがる精神構造の方が大いに問題だ。このようなやり方で客を安易に<脅迫者>と呼ぶのは、人権上の問題すらある。

これでは、顧客と企業の良好な関係性構築など望むべくもない。

タクシー代の支払いは拒否されてしかるべきだが、電車の遅延による乗客の損害(タクシー代など)は免責されていることをきちんと説明はしたのだろうか(鉄道事業法だか鉄道営業法に定められているはず)。「タクシー代は負担できない」とただ繰り返すだけでは相手は納得せず、顧客対応としては明らかにお粗末だ。

同紙(かながわ県のたより)で県知事の黒岩裕治氏(あのバナナ黒岩だ)が、県庁内の4割がカスハラの被害にあっていると書いていた。それ、誰がどうやってそれを測定したのか? 職員が「被害を受けた」というケースを個々に調べて客観的に判断したのか。しちゃいないだろう、アンケートへの回答数をもとに言っているだけに違いない。

意図的かどうか分からないが、同紙はカスハラを特集テーマにしていながら、カスハラの定義が紙面のどこにも示されていない。

ネットで調べたたら、神奈川県は県庁サイト上でカスハラを次のように定義していた。それは、「県民等からの言動のうち、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものであって、職員の就業環境が害されるもの」。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/bd4/20250319.html

きわめて抽象度が高い。

参考まで東京都と厚労省のカスハラ定義を見てみる。

東京都の定義

「カスタマーハラスメントとは、①顧客等から就業者に対し、② その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、③就業環境を害するものをいう」

これら①から③までのすべての要素をみたすものがカスタマーハラスメント(東京都カスタマー・ハラスメント防止条例)(令和6年発令)

②について:
著しい迷惑行為とは、「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為をいう」と規定している。
③について:
「就業環境を害する」とは、顧客等による著しい迷惑行為により、人格又は尊厳を侵害されるなど、就業者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものと なったため、就業者が業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じることをいう。 

具体例として挙げられているカスハラ行為例:
    ・暴言・暴力・威嚇行為
    ・土下座の強要や人格否定的な発言
    ・長時間の拘束や同内容の繰り返し要求
    ・社会通念を逸脱した過剰なサービス要求
    ・SNS等での誹謗中傷による従業員の精神的圧迫

厚労省の定義

厚生労働省は、「カスタマーハラスメントを明確に定義することはできません」としたうえで「顧客からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」がカスタマーハラスメントと考えられるとしている。

いずれの定義に照らし合わせても、神奈川県庁が指摘した先の乗客の例は、脅迫やカスハラには該当しないことが分かる。

神奈川県の知事室は、県内442万世帯にこうした問題のある記事を掲載した「県のたより」を配布し、県民を「牽制」しているつもりなのだろうが、これは大いなる税金のムダ使いとしか思えない。

そういえば、こんなことがあった。2023年10月、東京23区のある区で区立小学校の改築計画を巡って区役所が地域住民に対して説明会を開いた。その際、住民からの質問や要望が途切れることなく出て、会議がずいぶん長引いた。後日、そのことを区の幹部が「カスハラ」とほのめかす発言をした。

役所は、とにかく「自分たちが迷惑」と感じたことはカスハラにしてしまいたいようだ。

2025-05-03

さて日本人は、どこまで無感覚でいられるか

5月2日付のロンドン発の記事だが、アイルランドのデータ監視機関であるデータ保護委員会(DPC)は、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反したとしてTikTokに5億3,000万ユーロ(約870億円)の罰金を科した。
https://www.theguardian.com/technology/2025/may/02/tiktok-fined-530m-for-failing-to-protect-user-data-from-chinese-state

この罰金はEUがGDPRを施行してから最大級の金額と言われている。

なぜアイルランドかというと、ダブリンに本拠地を置くDPCが欧州経済領域(EEA:EU加盟27カ国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含む)におけるTikTokの規制を担っているからであり、今回、TikTokがユーザーの個人データを不適切に中国に移転していたと判断したのだ。

TikTokは「中国政府から欧州ユーザーのデータ提供要求を受けたことはなく、提供したこともない」と主張しているが、アイルランド当局によればTikTokは最近になって一部データが中国国内のサーバーに保存されていたことを認めている。

EUがGDPR(General Data Protection Regulation)を施行したのは2018年5月だから、すでに7年前になる。EU域内のすべての個人に対するデータ保護とプライバシーの強化を目的としたもので、規制内容は日本はもちろん、米国などよりはるかに厳しい。

GDPRが適用されているEU域内ですらこうなのだから、データ保護やプライバシー規制について法規制対策が現況に追いついていないわが国ではどうなのか。

TikTok利用者のデータは、ほぼ間違いなく中国に流れているとみていいだろう。そんなこと自分は気にしない、という向きは勝手だが。

2025-04-26

指導に足る専門性があるのかな

文部科学省は、私立大学の再編を目的に100校に対して「経営指導」を強化するという。現時点で対象としていたのは42校だった。

文科省が設置した「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」とやらが提案したプランはこうだ。


不思議でしょうがないのは、文科省が大学に対して指導・助言を与えて、改善しない場合は大学を罰する(大学の規模縮小や撤退)という発想だ。

どうも自分たちが行う指導・助言は絶対的に「正しい」ものであるという前提でいるようだが、なぜそう思えるのか。逆に、上図内の「3〜5年間かけて指導・助言」の中身が現実離れしたトンチンカンなものだったために(そちらの方が大いにあり得る)状況のさらなる悪化を招いた、という場合はいったい誰が責任をとるのか。

これは、十分に考えられること。文科省の官僚は単なる役人で、大学での教育の専門家でも研究の専門家でもないのだ。

農林水産省の役人は、漁師にむかって上手な漁の仕方を指南したりはしないだろう。林業従事者に植林の仕方を教えたりしないし、農家に田んぼの耕し方を助言したりしない。自分たちは政策の立案・実施が仕事であって、現場のスペシャリストでないことを知っているから。

だが文科省の役人は、自分たちを教育の専門家だと思って平気で口だしする。そうした勘違いはどこから来るのだろう。たまたま自分たちが学校で勉強ができたという経験からか。それとも天下り先の確保か。

「大阪IR(カジノ)、行きたいですか?」

「万博会場の隣接地で5年後に開業が予定されているカジノに行ってみたいですか? 行ってみたくないですか? その理由も聞かせてください」

というアンケート調査を一般社団法人サービス総合研究所が行った。対象エリアは全国で、回答者の性別や年齢などの制限はなし。

結果は、行ってみたいと思わない95%、行ってみたい5%だった。

行ってみたいと思わない理由は、「カジノに興味がない」が圧倒的だった。他には「ギャンブルはきらい」「胴元に(賭けで)勝てるわけないのが分かっているから」「博打ごとは怖い」など。

行ってみたい理由は、「一度のぞいてみたい」「関西地域に住んでいるから」「カジノを経験してみたい」など。

5%のカジノ肯定者も決してレジャーとして認めているわけではなく、好奇心から一度くらいは、といった感じである。

国や大阪府は今からでも遅くない。カジノを中心に据えたIRの建設計画を根本から再検討するのが賢明な策である。

2025-04-25

カリフォルニア v. 日本

今朝のBBCの報道によれば、カリフォルニア州の2024年の経済規模(名目GDP)が4兆1000億円(米国全体の14%)で、日本の同時期の4兆200億円を抜いた。
https://www.bbc.com/news/articles/cly80zlk1lyo

カリフォルニアは国ではないが、GDPの順位で米国、中国、ドイツ、加州、日本となった。

カリフォルニア州の人口は3900万人だから、日本のおよそ三分の一。この数字だけを見るならば、日本人の生産性はカリフォルニア州民の三分の一しかないことになる。

その衰退ぶりに、わが国はすっかり世界から置いてけぼりをくい、経済の面で注目されることも急激に少なくなった。日本はこのままどこまで凋落を続けるのか。

経済的な退潮であれば、人口減少や国民の老齢化という現実に即して、それは致し方ない面もあろう。ただ、そうした日本において、「経済波及効果」なんて嘘まみれの用語をかざしてカジノを作ろうという関西の一部政治家の脳天気ぶりにはつくづく呆れ果てるしかない。

巨額の税金使って建設・運営する予定なんだろうけど、ちょっとはマシなあたまの使い方はできないのか。

2025-04-20

「経済効果」の数字は目くらまし

4月13日、大阪で万博が始まった。その2日後、4月15日付の日経新聞で「万博、経済効果3兆円 訪日客が消費押し上げ」という見出しの記事があった。

そこでは、えらく景気がいい話が踊っていた。関西万博は予想来場者数が2800万人(おかしな予想はよそうよ)で経済効果が2.9兆円。来場者一人あたりにすると、10万4千円となる。経済産業省が作った数字である。

20年の前の愛知万博は、来場者一人当たり12万7千円と試算している。こちらは博覧会協会自体が作った数字。博覧会協会によれば、広域のインフラ整備なども含めれば、その経済効果は7.7兆円に上ったと試算しているので、来場一人当たり35万円の経済効果だとか。

その記事のなか、大阪府のアルバイトとパートの平均時給が東京を上回る伸び率を示しているので「すでに効果が出始めている」としているが、それは経済効果というより、ただの短期的な需給逼迫だろう。

また4月5日の同紙でも関西万博の経済効果についての記事が掲載されていた。そこでは経産省が産業連関表を用いて推定した、大阪・関西万博の経済効果2.9兆円の内訳を示していた。


それらは(1)建設費用(2)運営・イベントにかかる費用(3)来場者が支出する支払う費用である。万博の成否がことさら来場客数の多寡にかかっているように報道されているが、(3)の来場者が支払う金額より(1)と(2)を足した方が大きいのに注目しておく必要がある。

しかも万博はまだ開幕したばかりだ。(3)の数字はあくまで「こうなったらいいなあ」という希望的観測値と考えるべきなのだが、それにもまして国民の視点からはヘンだと思ってしまうのが、土地の取得やパビリオンや各種会場内の施設・設備の建設にかかる費用、各種の運営費用が「経済効果」とされていることだ。

つまり、それらの費用がかさめばかさむほど、「経済効果」の数字は大きくなる。 

例えば今回の万博の会場建設費は、当初予算では1250億円だった。それが途中で1850億円に修正され、最終的に2350億円と言われている。増加した建設費の補填をどこが負担するか、どう按分するかまだはっきりしていないが、われわれ国民の税金がそこに投入されるのは明らかだ。

そうした杜撰な予算作成もふくめ、費用が増せば増すほど、「経済効果」の数字は大きくなるなんて、そんなアホな、であろう。だが計算上はそうなのだ。

そもそも産業連関表が誤って用いられているのではないかーー。以前スタンフォード大で教えていて、今は東大の教授を務める経済学者の星岳雄さんは、先の記事の3日前の4月2日に同紙上で「経済波及効果の計算 産業連関表の誤用やめよ」と指摘している。

大阪・関西万博がもうすぐ開幕する。その経済波及効果は2兆円とも3兆円とも計算されているが、そのような大きな効果は実現しないだろう。計算の前提となる入場者数の予想などが外れるからではない。経済波及効果の計算方法そのものが間違っているからだ。
(中略)産業連関表を使った経済波及効果の計算は意味がない。さらに計算から導かれたありもしない経済効果が政策を正当化するように使われれば有害ですらある。様々な省庁で政策の経済波及効果を計算することが増えているようだが、無意味な計算はやめるべきである。政策がその政策目的を達成するために効果的かどうかの分析に集中すべきだ。(29面)

万博のような立地型建設物主導イベントは、土建屋に支払う費用が増せば増すほど「経済効果」があがると計算され、しかも全体を通じて「効果」にしか目が行っていない。

今回のように、大阪での万博会場建設のために建設資材も人手もそちらに取られてしまったため、地震被災地の能登地域の災害復旧に人も物も回らなくなってしまった「負の効果」のようなものは完全にネグられているのも気になるところだ。

今回の万博開催にとどまらず、先のオリンピックや日本各地での地域開発、インバウンド推進計画などの理由付けとして語られる「期待される経済効果」は、行政によるムダ使いを誤魔化すための言い訳である。 

「経済効果」という耳障りのよい言葉に惑わされず、数字の実態とその背景にある国や政党、特定団体の思わくにしっかり目を向ける必要がある。

2025-04-18

食パン、何枚食べる?

比較分析は、研究法の基本中の基本である。だから正しく行わなければならない。

先日、このブログで僕が食する場合のご飯一杯の値段を示した。

今日のNHKのニュースが同様のデータを示していた。「三菱総合研究所調べ」とかなんとか言っていたが、小学生でも調べられるだろうに。無駄にもったい付けてて笑える。 

比較を行う際にやってはいけない典型例がこうしたものである。というのは、ここではごはん茶碗一杯分と6枚切り食パン1枚を等価と考えているが、その根拠が分からないから。

カロリーが違えば、質量も違う、食べ方も違う。茶碗一杯のご飯と6枚切り食パン1枚を代替可能としている理由が分からない。ご飯は朝でも夜でも食べるが、食パンは朝食べる事があっても夜食べることは通常ない。

食パンを食べるときに、普通、バターとかジャムとかはちみつなどを塗って食べる人が多いのではないか。それらスプレッドの類のコストは無視されているのも気になる。 

そもそも大人の男が6枚切り食パン1枚で食事を済ますだろうか。番組では米飯が高くなったと言いたいのだろうけど、食パン2枚と比較したら、いまもそっちの方が高いことは一目瞭然。

こんな恣意的な(ばかばかしい)比較はやってはいけない、という見本である。

2025-04-14

米の値段は本当に高いのか

米の小売価格が上がり、「高い高い」という声がテレビなどから聞こえてくる。街の声として「おいしいお米を安く食べたいのに」と訴える主婦などの声が。

だけどね、おいしいものは高いのだよ。当たり前じゃないのか。それは米だけでなく、肉だって野菜だって魚だってそうだろう。それなのに、米だけがおいしくて、しかも安くて当然という考えがおかしい。

小売店で米が2キロいくらとか、5キロいくらでどれだけ値上がりしたかが取りだたされているが、あらためて言うが、そんなに高いだろうか。

以前から買っているあるブランド米は、これまでと同じ店舗で5キロで1000円ほど値上がりした。試しに自分が食しているのが、一食分でいくらほどか計算してみたら100円ほどだった。1日2食の生活をしているのを割り引けば、普通の食生活ではもっと安い計算になる。

安いもんだと思うヨ。外国から日本に帰ってきて、自宅でご飯を炊いて食べるとその旨さに感激する。アジアの各国にいたときは現地で炊かれたライスを普通に食べていたが、それに比べて日本のご飯は格段においしいと思う。

ただ、もっとバリエーションはあってもいいかもしれない。多少味や香りが劣っても価格が安い品種などだ。肉や魚、その他のほとんどの食品に高価な物から廉価なものまであるように、米にももっと価格差が欲しい。 

農水省が長年にわたって作付面積を減らすように仕向けてきた政策は、いい加減方向転換が必要だろう。穫れすぎると価格が下がるから、という理屈だが、穫れすぎた分は海外に輸出したり、人の食料以外の用途(酒や麺などの加工食など)に用いればいい。頭をちょっと使えば解決できる類のことばかりだ。

あとはJA全中が自分たちのあり方を見直すとともに、農業(米作)を志す人たちの扉を閉ざすようなことは止めること。自民党の票田として異常に保護され、政策によって改革が遅れに遅れた分野である。この機会に、そろそろ解き放ってもらいたい。

2025-04-13

観光黒字がデジタル赤字を越えた?

先日、日経のニュースで「デジタル赤字、訪日客で取り返す」という見出しの記事があった。インバウンド(訪日外国人観光客)の増加による収支の黒字拡大のおかげで、デジタル赤字が相殺されるまでになったというのだ。

新型コロナウイルス禍後の訪日客の回復を受け、24年10月以降の旅行収支は6,000億円(月額)前後の黒字で推移しているという。一方、2024年のデジタル赤字は約6.6兆円(財務省データ)だから、確かに数字を比べればその通りだ。

だが、だからといって安心するのは間違っている。訪日外国人が日本国内で消費するもの、たとえば宿泊、飲食、ショッピング、移動に使う支払いと、日本人のクラウドサービスやNetflixなどのストリーミング・エンターテイメントに対する支払いは性格が異なる。

違いはいろいろあるが、ここではその最大のものとして社会的費用を指摘しておく。われわれが毎月クレジットカードから課金される米IT企業への支払いは、そのまま限界利益として彼らの収入になる。すべて実体のない、デジタル上の取引だからだ。

ところが、観光客には実体がある。当たり前だ。だからその出と入りを上手くコントロールしないとオーバーツーリズムをはじめとする各種問題が発生する。たとえば、観光地で住民の人たちが日常の足として使っているバスからはじき出されたり、周辺にゴミを散らかされたり、深夜に騒音に悩まされたり、場合によっては物理的な被害(破壊や犯罪)にあうことすらある。

こうした観光地を中心とした数々の生活環境の悪化、住民らのストレスの増大をどう見るか。インバウンドによる国の収支を語るとき、こうした社会的コストは計算に入れられていない。訪日外国人観光客数の増加を無邪気に喜ぶだけでは、社会の中にひずみが増していっているだけだ。

このままでは間違いなく、「冗談じゃない、何が観光立国だ」という反発がさらに強まるのは必至だろう。

読売テレビサイトから

2025-04-07

沈没する日経225

世界各国で株価が続落している。主な理由はもちろん米国の関税政策だ。トランプは「経済を正常な状態に戻すための『薬』だ」などと言っているが、そんなわけはない。

それにしてもトランプの大統領就任からの世界の株価推移を指数で比較すると、日本(日経225)の値がもっとも落ち込みが激しい。

この理由をどう解釈するか。

トランプ就任以来の株価市場動向 


それはそうと、ジェームズ・オースティン・ジョンソンが扮するトランプが各国に課する関税について説明していた。そこでトランプが唱えるのは、MAGDAだ。そう、Make America Great Depression Again である。これは、先週末のS.N.Lでのはなし。

やることなすこと、まるでマンガの世界をそのまま行っている現在のトランプだが、アメリカのコメディ界は怯むことなくやり返そうとしている。