東京五輪が終わり、まもなくひと月になろうとしている。その後のコロナウイルス感染拡大と収束、そして緊急事態宣言の解除などで、五輪のときの騒ぎは人々の意識から消えてしまったようだ。
だが、大切なのはこれから。膨大な予算と時間とエネルギーを国家レベルで注ぎ込んだ大イベントなのだから、しっかりとした総括がなされなければ。
例えば、9400億円という巨額な公費(税金)を結果として注ぎ込んだ、その内訳が隠さずに示されるかどうかが問われることになる。
でもおそらくそうはならないと思わせる報道があった。五輪の東京招致をめぐってJOC(日本オリンピック委員会)が賄賂を使ったとされる裁判で、捜査を受けている前JOC会長の竹田恒和の弁護士費用としてこの3年間ですでに2億円が支出されており、けれど公開用の理事会議事録からはその記載が削除されているという。
内部の限られた関係者だけが知り得る情報となっていて、すでに外部からはこうした金の使途がわからないようにされているのだ。
会場となった施設で大量の弁当がそのまま廃棄されていたとか、オリンピック村の食堂でこれまた大量の食事が無駄に捨てられていたニュースは表に出ている通りだ。もちろん五輪事務局が公表したのではなく、メディアが内部関係者から聞き取りを続けて調査した結果、あきらかになった事実である。
弁当や食堂の件は氷山の一角だろう。自分の懐から出る金ではないということで、コスト意識を持たない連中が行ったさまざまな施策は公共心の欠如の表れともいえる。
さて先の賄賂裁判だが、3年の時間と2億円の弁護士費用を注ぎ込んでいまだ無罪となってないということは、「やった」と見るのが普通だろう。JOC会長だった竹田は、フランスの司法省から訴えられて即座にその立場から辞任している。無実なら、そうやって逃げる必要はなかった。
日本政府は色んな方面から圧力を、あるいは懐柔策をフランス司法省やフランス政府に対しておこなっているかもね。フランス側がどう判断するかが見物だ。
この手の有象無象の話がどこまで透明性を持って表に出てきて、事実関係がちゃんと検証されるかが、この国の今後のカタチを決めていく重要なポイントになる。