2021年10月5日

グラフは言葉よりストレートに語るから

昨日、おかしな調査結果について少し書いたが、今朝の日経に別の意味でおかしな調査が掲載されていた。プレゼンテーション(表現)についてである。

以下の3つのグラフには、いずれも1980年以降の労働力人口を表す2本(全年齢と64歳以下)の曲線が示されている。

図A


図B

 

図C

図Aは、高齢者雇用についての記事に添えられていた図だ。このグラフをパッと見た限りでは、直近での64歳以下の就業者数と65歳以上の就業者数がほぼ似通ったボリュームと印象づけられる人が多いかもしれない。理屈で考えて<おかしいぞ>と思った人は、グラフの目盛りを見て納得することになる。5000が基点になっているからだ。

同じグラフを試しに5500から初めてみたのが、図Bだ。新聞社が図AをOKとするなら、図BもOKとなるはずだ。むしろ、ここまで見え方をデフォルメすれば、ほとんどの読者は目盛りの付け方に目を向け、意味を正しく理解するかもしれない。しかし図Aなら、ビミョーなところだ。

図Cは基点を0で作図してみたもので、これが本来のグラフである。

人は直感で印象づけられ、それをもとに容易に判断に向かう。グラフは多くの場合、言葉(テキスト)より饒舌で、かつストレートに語る。だからグラフの見せられ方にはつねに注意しないとね。