閲覧数(サイトへのアクセス)を不当に水増しして、それで不当な広告費をだまし取る広告詐欺(「アドフラウ」と呼ばれている)の被害が以前にまして深刻化している。
今日の新聞が社会面において7段抜きで報じた。
米国の広告監査機関が調査したところでは、日本のネット広告における広告詐欺の割合は世界の主要20ヵ国のなかでも最悪の状態であることが分かった。不正の割合が主要20ヵ国の平均値に比べて約4倍、米国と比べて約2倍だった。
ひとつの理由として、広告主(企業)側の姿勢が指摘されている。自分たちの広告がどういったサイト(メディア)に掲載されているかという質への関心にまして、どれだけ安い単価でより多く配信されるかを重視しているがために足下を掬われているということ。つまり、広告主側のマーケティング意識の欠如だ。
もうひとつは、そうした広告主の考えを逆手にとったネット広告業界側の不正行為の継続である。典型的な例は、とにかくアクセス数を増やすことを目的にしたボットを使った不適切で無意味なサイトへの重点的アクセスだ。
いつまで経ってもこうした不正がなくらならないだけでなく増加する要因としては、根本がおかしくなっているネット広告業界の構造的な問題がある。
2000年を過ぎてから、企業による広告媒体の利用が従来のマスメディアからネット利用へと大きく変化してきたが、そろそろ現状の問題の深刻さに気づいた広告主は本格的な再考を始めている。