2014年8月2日

酒は背筋を伸ばして呑みたい

今朝の番組ゲストは、先週に引き続き「獺祭」の旭酒造社長・桜井博志さん。


今週は、酒を何でどう呑むかについて話を聞いた。桜井さんによると、磁器よりも陶器、さらにワイングラスが優れているとか。酒の温度をそのまま感じるためには、唇にあたるところは薄い方がよい。

パリに出す店では、有田焼作家の14代今泉今右衛門さんに獺祭オリジナルの杯を造ってもらっている。そうしたこだわりが桜井さんらしい。

店で日本酒を頼むと、小振りのグラスをマスのなかに入れて持って来て、客の前でそこに酒を注ぎこぼすというのをよくやれられる。グラスいっぱいに注がれた酒を客は持ち上げるわけにはいかず、背中を丸めてまずは少しすすり呑むようになる。

こうした飲み方が好きな人もいるのだろうが、僕は嫌いだ。だから、グラスの入ったマスを持ってこられると、マスなしで大ぶりのグラスに同じ量だけ入れて持って来てくれと頼む。最近では、行きつけの店はいちいち言わなくても僕には他の客とは違ったグラスを出してくれるようになった。

桜井さんもそうした大の男が背中を丸めて、グラスに注ぎこぼされた酒をすする姿がみみっちくて嫌いらしい。だから、その意味でも今のところはワイングラスがいちばん相応しいと考えている。

今日の選曲は、リンダ・ロンシュタットの「シンプル・マン、シンプル・ドリーム」。彼女のアルバム「シンプル・ドリームス」からの一曲。



2014年8月1日

花火と雨音

富士山のふもと。湖畔で今日花火大会が行われている。
小雨の中、かすかな雨音と花火の音が聞こえる。



2014年7月30日

頭を白紙にすることも大切

大学院で9月修了予定者のための口述試験があった。僕の担当の学生でこのタイミングで修了するメンバーはおらず、他の学生の修士論文の審査を片手分ほど副査として行った。全員が英語コースで学ぶ留学生である。

ビジネススクールの学生ということもあって、その内容や研究アプローチは固定的でなく、きわめてオーソドックスな学術研究タイプの修士論文から、事例研究やら企業への提案書のようなものもある。

ある学生の書いたものは、ある特定の企業に関するビジネスレポートとビジネスプロポーザルの中間のようなものだったのだけど、内容的に明らかに必要と思えるパート(章)が欠けていた。

口頭試験ではそれを指摘し、なぜ書かれるべきだったその章を書かなかったのか問うたところ、もの凄く強い口調でその企業は位置づけがユニークだからそれは必要無いと返ってきてちょっと驚いた。

すべての企業はそれぞれユニークであり、それが理由にはならないと説明したのだが、ユニークだとかスペシャルという返答で、結局、回答らしいものは返ってこなかった。

気になったのは、その学生の挑んでくるような返答の仕方。何が何でも自分がやった研究を守るんだというある種の闘争心のようなものを感じた。

2時間半ほどですべての審査を終え、会場を出た時に目に入ったのは、会場の部屋の前に据えられた"Room for Oral Defense" という文字。僕は学生ではないので想像するしかないが、これがOral Examinationだったら彼らの気持ちの持ち様は違っていたんじゃないだろうか、なんてことを感じつつ、トルストイのある言葉を思い出していたのである。
どんなに愚鈍な相手であっても、頭を白紙にして聞いてもらえるものなら、この上なく難しい問題を説明することはできる。しかし、どんなに聡明な相手であっても、その相手の頭の中に、すでに一片の疑問もなく事を知り尽くしているという固定観念が宿ってきた場合、この上なく素朴な事柄すら伝えることはできない 
口述試験では、こうすればもっと良くなるよ、というのがわれわれ審査する側の質問の通常の意図なのだが、どうも相手の留学生はそうは思ってくれなかったらしい。せっかくの自分の研究にケチをつけられたと感じたのか、あるいは "defense"という言葉から何が何でも「防衛」しなければいけないと信じていたのか。

2014年7月26日

日本酒には、大きな可能性がある

今朝の「木村達也 ビジネスの森」は、純米大吟醸酒で一躍全国的なブランドになった獺祭(だっさい)を醸造する旭酒造社長の桜井博志さんをゲストにお招きし、お話をうかがった。


旭酒造では、以前は獺祭以外にもいくつかブランドを持っていたが、いま扱っている銘柄はこれだけ。山田錦米だけをつかい、原料を磨き込んだ純米大吟醸一本に絞り込んでいる。

どのくらいあるのか知らないが、日本国内には数えられないほどの日本酒銘柄があるはず。消費者に覚えてもらい、継続的に店頭で購入してもらう、あるいは飲食店で注文してもらうためにはまず名前とその味の特徴を覚えてもらわなければならない。ブランド・マーケティングの基本である。

たとえば大関株式会社の「大関」というように、社名と主要製品ブランド名が一致するものもあるが、そうではない方が多い。さらに、多くの酒蔵は複数のブランドを持っているのが一般的である。

消費者が店頭で酒の銘柄を選ぶ際の情報は多岐にわたっている。つまり、会社名と製品名に加え、純米だ、吟醸だ、絞りたてだ、辛口だ、、、という感じでその種類、製法、性格などもラベルに製品名のように記載されたものを「解読」させられることになる。

桜井さんのところは、まずは獺祭という1つのブランドに絞り込んだところが分かりやすい。これは、顧客視点から考えればすぐに分かるとおり、シンプルでありながら大切なポイント。

その酒を桜井さんのところでは、通年を通じて仕込む(四季醸造という)。しかも杜氏は使わず、社員たちがデータとマニュアルをもとに、科学的に行う。地酒でありながら、大量に製造する(それでも生産が間に合わない)。

海外にも早くから進出している。そのひとつの理由は、地元の岩国ですら四番目だったからこそ、大きな市場を目指して東京へ、そして世界への進出を考えた。

さらには、この40年以上にわたって毎年販売量が減少している国内の日本酒市場にとどまっていられず(40年間で市場規模は3分の1になった)、世界に目を向けるようになった。

日本食が世界的なブームという波にも、いまは上手に乗っている感じである。

今日の番組に挿入した曲は、英国のブルース・ロックバンドの先駈けともいえるフリーのサード・アルバムに収められている「オール・ライト・ナウ」。この曲が発表されたのは1970年で、当時、バンドのメンバーの平均年齢は20歳。それでいて重厚かつ奔放な演奏と気迫のこもったボーカルは、恐るべきものだった。


2014年7月22日

しっぽ村のくろべえ

わんこの里親、探しています。 福島県の北保健所からしっぽ村に移ってきて2ヶ月ほどの雄犬です。彼は清川しっぽ村では「くろべえ」と呼ばれています。歳は4歳から6歳くらい。中型犬(小柄)です。



すごく元気で疲れ知らず。散歩ではドンドン歩きます。四本とも足の先が白くなっている。白いソックスを履いているみたい。連絡先は、http://ameblo.jp/ananan223/

2014年7月19日

トイレは狭いが、世界へ拡がる広大な空間である

今朝の「木村達也 ビジネスの森」(FM79.5 NACK5)は、先週に続いてTOTO相談役木瀬照雄さんをゲストにお招きした。


TOTOはトイレだけでなく浴室、洗面所、台所といったものも扱っているのだけど、どうしてもついついトイレ(ウォシュレット)の話が中心になってしまう。

中国は所得の伸びに伴い成長著しい。また新築住宅が多いのが追い風になっている。ハイエンドの製品を中心に売上を伸ばしている。人口の1割が利用してくれるようになっても、日本の人口にあたる市場だ。

米国はなかなか難しいとのこと。文化風習の要因が強いらしい。欧米の石とコンクリート造りの建物は、設置するための工事が日本のように容易ではないことも影響している。

ウォシュレット(温水洗浄便座)の源流が米国の医療器具にあったというはなしは初めてうかがった。

トイレにもいろんなお国柄がある。

今日の番組挿入曲は、ジョニ・ミッチェルの「チェルシー・モーニング」。彼女の2作目のアルバム『Clouds』(日本語アルバムタイトルは『青春の光と影』)に入っている。彼女のオープンチューニングによる独特のギターのサウンドが特徴的だ。


2014年7月13日

観蓮会

今朝は朝から雨模様である。こうした日はどう過ごそうかと考えていたら、家人が「季節だから蓮を見に行ったら」と。そこで花園駅の近くにある法金剛院へ出かけてみたら、昨日から観蓮会が始まったばかり。

池一杯に蓮が拡がり、ピンクの大きな花を咲かせていた。




その後、妙心寺を抜けて龍安寺へ。さらに、仁和寺にも足を伸ばした。小雨日和でそのぶん人も少なく、静かな散策を楽しむことができた。





2014年7月12日

京都・祇園祭

祇園祭のクライマックスが近づいている。今日は、鉾建てと曳き初めが行われた。

僕も四条通の月鉾を曳かせてもらった。




トイレから人の暮らしを考える

今朝の「木村達也 ビジネスの森」は、TOTO相談役の木瀬照雄さんをゲストにお迎えした。


TOTOといえばトイレ、ウォシュレットを連想するが、彼らが扱っている領域は浴室、洗面所、台所など水回り全般に及ぶ。それらはどれも、僕たちの暮らしに欠かせない。だからこそTOTOは、健常者だけでなく身障者をはじめ誰もが快適に使えるようにするための研究と開発を続けている。

TOTOのUD(ユニバーサルデザイン)研究所はこの夏ぜひ訪ねてみたい。

今日の挿入曲は、グレン・キャンベルの「ウィチタ・ラインマン」。ジミー・ウェッブ作。グレン・キャンベルは、古き良きアメリカらしいシンガー。ニール・ダイヤモンドと並んで昔から僕の大好きなアメリカン・ミュージシャンである。
http://tatsukimura.blogspot.jp/2012/10/blog-post_13.html


2014年7月6日

入谷朝顔市はじまる

今日から下町の入谷で朝顔市が始まった。I夫妻と茅場町駅で落ち合い、日比谷線の入谷駅へ。改札を抜け、地上へ出ればそこはもう朝顔市の会場。

言問い通りが車両通行止めになり、根岸一丁目の交差点に向かって左側にはずらーと朝顔を売る店が並んでいる。反対側には、たこ焼きや焼きとうもろこしを売る屋台が。

この市では朝顔の値段はどの店でも同じ。4色の朝顔が植えられたあんどん造りなどが二千円で、琉球朝顔が三千円。琉球朝顔は宿根で、そのままで毎年咲くらしい。それぞれ一鉢ずつ購入。






鬼子母神もお参りしたかったが、長蛇の列に諦めて、浅草方面へ行くことに。浅草寺手前の浅草花やしきに立ち寄る。

実は中に入るのは初めて。ひとり千円の入園料を払って園内に。江戸時代末期にでき、すでに160年の歴史をもつ由緒ある遊園地である。あっという間に園内を一周できる狭さが微笑ましい。



暑気払いを期待し、お化け屋敷へ。このお化け屋敷、以前は建物の1階部分にあったのが、改装して2階になったとか。改装オープンが2011年3月11日の大震災の日、オープン当日にできたビルのヒビが残っていると係のお兄さんが教えてくれた。

会場の出口近くで飛び出てきた「お化け」

お化け屋敷というと、アルバイトの学生たちが張り切っておどろかせてくれるものとばかり思っていたのだけど、今ではほとんどが機械化されていた。

2014年7月1日

プレゼン巧者には注意?

帰りの車中、雑誌に掲載されていたコピーライターの仲畑貴志とアートディレクターの箭内道彦の対談を興味深く読んだ。「オレ、プレゼンでしゃべるの嫌いなのよ。すっごく下手で、気恥ずかしくなるの、しゃべるとき。で、照れて、暴言を吐く」中畑は言う
おかしいよ。ターゲットがこうだからとか世の中がこうだからとか、神の視座からのように、なんだかんだ言うんだけど、ちょっと引いてみたら、すげえ滑稽な感じがする。

だってプレゼンのうまいへたがあっちゃいけないと思わない? プレゼンのうまい人の表現が、効果がある表現ではないだろ? 新聞広告の15段の横に企画書は置けないんだから。
プレゼン(ここでは表現テクニック)が上手くて企画が通ることはよくない・・・肝心なのは企画内容そのものなのだというのが彼が言いたいことだ。

日本でもっとも「プレゼンテーション」に馴染みが深い業界は、仲畑や箭内がいる広告業界だろう。そこでは、広告というコミュニケーションに関する仕事を、他の広告会社と競って提案で勝ち取っていくことが日常だ。

そうした業界のなかに長くいる仲畑にとっては、「プレゼンだけうまくやりやがって」というシーンがこれまであまたあったに違いない。はったり、あるいは見かけ倒しと言い換えることができる。

プレゼンで選ぶか、プレゼン抜きの企画書(ドキュメント)だけで選ぶか、なかなか難しいところだ。提案の受け手にとっては、プレゼンしてもらった方が情報量は多くなるので、普通に考えるとより適切な意思決定ができるはず。しかし、企画内容ではなく、その場の雰囲気やプレゼンのテクニックに惑わされることも考えられる。

要は、受け手の判断能力なのだ。まったくウブな担当者はプレゼン抜きで企画書のみで判断した方がいいかもしれない。また、十二分に経験もある優れた担当者には別の意味でプレゼンは不要であり、企画書だけで(企画書の出来がちゃんとしていればだが)判断が下せる。で、そのどちらでもない中間的な人たちにとっては、プレゼンテーションが必要になってくる。

新入りのような全くの初心者が大きなプロジェクトの意思決定を任される機会はまずないので、そうすると対象は中間層かベテランかということになるが、仲畑が示唆しているのはベテランが少ないという企業の現実の一面である。

2014年6月30日

日本酒のバーへ

先日、新聞に日本酒「獺祭」の経営者である桜井氏のことが紹介されていた。


この山口県岩国の酒蔵は都内の京橋にバーを持っているらしい。そこで、夕方4時開店の一番客として訪ねてみた。

ここで扱っている銘柄はすべて獺祭だが、原料米(山田錦)の磨き度合いによって5割、3割9分、2割3分、さらにもっと磨いたものとスパークリングがある。


獺祭という日本酒はすっきりしていて、たいへん飲みやすい。これなら和食はもちろん、白ワインが合う料理ならどのような料理にも合わせることができる。

まずは5〜10銘柄の日本酒を選び、それらを先兵に「日本酒」を世界に拡げ売っていくことを考えてみてはどうか。いまこそ、日本酒のマーケティングが求められている。

2014年6月29日

しっぽ村のコテツ

清川しっぽ村へ。お陰様で、先日紹介した、真っ黒なワンコ(サスケ)の里親が決まりました! こうした場合のネットの拡散力のおかげかなと驚いてます。今日は、3 週間ほど前にそのサスケと一緒に草むらで雨に打たれていたところを保護されたコテツ(と呼ばれている牡犬)と散歩。彼は、サスケとはおそらく兄弟。


2014年6月28日

「ここには何もない、があります」

今朝のNACK5「木村達也 ビジネスの森」にお招きしたのは、千葉県の房総を走るいすみ鉄道の社長、鳥塚亮さん。


彼は5年前に社長公募に応募して、ローカル線の経営者になった。いすみ鉄道は、駅数14、路線長26.8キロ、日本の典型的なローカル線である。沿線には全国的に有名な名所旧跡があるわけではない。内陸部を走るので、太平洋の風景が眺められるわけではない。

けれど、そこにはのどかな日本の里山の風景がいまも残っている。それを無理をせずに、分かってくれる人たちにだけ訴えかけている。

「ここにはなにもありません」というポスターを駅や電車に貼ったらしい。以前、都会から来た観光客が駅で「せっかく来たのに、ここには何もないじゃないか」と怒っているのを目にしたという。すみませんと頭を下げているのは、ボランティアで鉄道を支援してくれている地元の方々だった。

それを見て、これじゃあいけないと思ったのがきっかけだったとか。地元の方が、地元のあるがままの姿を観光客に否定されたり、なじられたりすることの間違いを起こしてはいけないと思われたのだろう。

そこで、彼が考えたのが、「ここには何もない、があります」という逆転のポジショニングである。すばらしい!

9割の人が無視しても、1割の人が興味を持ってくれればいい、そしてそのまた1割が年に1度きてくれればいいと。自分たちの身の丈を知っているのである。「いすみ鉄道なんて、たいした鉄道ではありませんから」と、はばかることなく公言する。しかし、それがファンを引きつけ、長くじっくりと愛される秘訣。戦略的なのである。

事実を曲げたり、あるいは針小棒大に語って集客に成功しても、そんなものはすぐにばれるものです。一時でも客さえ集まればいいというのは、よい経営ではないことを鳥塚さんはよく分かってらっしゃる。



彼が以前つとめていた航空会社(ブリティッシュ・エアウェイズ)は、僕の昔の職場でもある。彼は成田空港で運行部長として、僕は都内でマーケティングの仕事をしていたのだけど、番組の打合せ時には共通の知り合いの話で大いに盛り上がった。

今回、番組に先だってBA時代の友人に連絡を取ろうとして分かったのは、以前、東京で行っていた日本路線のマーケティングはいまはロンドン・ベースで行われるようになり、日比谷にあった予約センターは香港に移ったということ。日本国内の高い人件費や共同運航便を飛ばす他の航空会社(日本航空)との関係からの判断のようだ。

LCCに代表される価格の安い航空会社の台頭に、伝統的な航空会社は対応に苦慮していることがうかがえる。構造的な問題であり、今後も変化がつづくのだろう。

下は鳥塚さんのブログ。面白い。
http://isumi.rail.shop-pro.jp/ 

今日の挿入曲は、ドゥービー・ブラザーズのロングトレイン・ラニング。トム・ジョンストンが作詞作曲した曲で、彼らのサード・アルバムに収められている。学生時代から聞いていて、忘れられない曲のひとつ。



2014年6月14日

清川しっぽ村

午後から、神奈川県愛甲郡にある「清川しっぽ村」を訪ねた。清川しっぽ村というのは、東日本大震災等によって飼い主を失った犬と猫をあずかり、里親を探しつつ面倒を見ている一般社団法人である。http://ameblo.jp/ananan223/entry-11826656617.html

場所は、東名の厚木ICから30分くらいの自然豊かな山ふところである。いま住んでいる町の最寄り駅でボランティアの人がときおり募金活動をしていて、彼らと話を何度かするうちに一度現地で詳しい話を聞きたくなったのだ。

途中、高速の事故渋滞につかまり、予定より1時間ほど遅れて現地に着いた。スタッフの方たちは夕方の犬の散歩の準備で大忙し。ここに現在身請けもとのない犬が13匹、猫が21匹保護されている。

それならばと、僕も一匹お手伝いがてら散歩に連れていかせてもらった。どの位のコース(時間)をいつも行っているのか尋ねたら、施設の裏にある山につながる路を上り30分、下り20分ほど歩いてきて欲しいとのこと。なかなか本格的である。結局、1時間ほどサスケという名の黒いわんこと散歩をして一汗かいた。

散歩途中のサスケ

犬の朝夕の散歩はもちろんだが、ここでは犬と猫の健康にとても気遣った世話がなされている。餌や水の食器を洗う時は、食器用洗剤できちんと洗ったのち、消毒液につけ、そして乾燥機で乾燥させていた。間違いなく、我が家の食器より清潔である。

食事の量は、一匹ずつ体重に合わせて計量された食事が与えられている。夕方の散歩後、どの犬もご飯を待ちかね、それぞれのところに餌を運んでやるとあっという間にペロリと平らげる。もっとたくさんやればとも思ったが、犬も人間同様にむだに肥満になるのは病気のもとだから。

犬小屋や犬舎などは、とても清潔に保たれている。病気になってから獣医にかかり治療してもらうのではなく、そもそも病気にかからないようにとの対応が施されていた。

福島で保護された牝犬のマロン

犬たちは天気の良い昼間は庭の犬小屋でそれぞれのんびり過ごし、夕食後はエアコンが効いた犬舎に移され夜を過ごす。実は最初、相手は犬と猫なのに甘やかしすぎではないかと思った。しかし、これも犬猫の体調管理と彼らにストレスを極力かけないための方法なのだろう。

また、ここに連れてこられた時点で、どの犬も猫もそれなりにたいへんな目にあっているはずで、それを考えると甘やかしてもらう資格があるのかもしれない。

リーダーシップについて対談

今朝の「木村達也 ビジネスの森」(NACK5 土曜日朝8:15から)は、元スターバックスコーヒー・ジャパンCEOの岩田松雄さんにゲストとしてきていただき、組織においてリーダーがどう生まれてくるかについて、岩田さんご自身のこれまでの経験と経歴をもとに話をしてもらった。

彼が強調されていることのひとつは、リーダーは役割であって必ずしもポジションではないということ。そして、その役割には必ず責任が伴っているということである。確かにマネジャーはポジション(役職)だが、リーダーは必ずしもそうではない。


今朝の曲は、Manic Street PreachersのA Design for Life。

2014年6月13日

グーグル発 マーケティングにできること

いつものゼミは、毎回ふたりづつ、それぞれが行う修士論文に向けてのプレゼンを中心に進めているのだけど、今日のゼミはゲストの講演とそれを受けてのフリーディスカッションを行った。

お招きしたのは、グーグルのマーケティング統括部長・根来香里さんだ。コミュニケーションの領域を中心に、グーグルのマーケティング活動についてうかがった。

また彼女らが3/11後に立ち上げた東北被災地支援プロジェクトなどについても紹介してもらった。

お話の中で印象的だったことのひとつは、社員を採用する時の基準としてグーグルの精神を理解して共有できるかどうかという点がとても重要だということ。同じような匂いを発しているかどうかに、敏感に反応するらしい。



2014年6月9日

CSRと情報公開とユニクロ(ファースト・リテイリング)の企業体質

いまではもうずいぶん昔になってしまったが、2000年を迎える少し前、ユニクロのフリースジャケットが国内で爆発的に売れた。製品は軽くて保温性に富み、値段も手軽だった。

2001年にファーストリテイリングは、年に2回だったと思うがフリースの回収を店頭で始めた。これはなかなか賢い選択だった。

圧倒的な量で世間に広まったフリース・ジャケット。ポリエステルで出来ているその衣料をゴミとして廃棄するのは環境への負荷になり、それに対しての環境保護団体の動きが気になっていた。

それに先手を打つように、環境への負荷を減らすためとしてリサイクルを行ったのである。回収された商品は、当初は燃料となったり工事用のシートなどに加工されていた。

その頃は、イトーヨーカドーなど大手のスーパーチェーンでも同様のフリースジャケットが数多く販売されていたが、ユニクロが回収するのはあくまでも自社のものだけ。リサイクルのために古くなった商品を持って店頭に訪れてくれる客は、彼らにとっては大変いいお客さまである。

古いユニクロ商品をリサイクルのためにカウンターのスタッフに手渡した多くの客は、そこで何か買い物をしていったことだろう。

その後、同社のリサイクル・プログラムは、対象が全品に拡がり、時期も通年になった。回収された商品はリサイクル以外に、アフリカの難民の人らに送られるようにもなった。たいへん結構なことである。

ところで、同社のサイトを見ていて、リサイクル商品の回収数のグラフが気になった。2013年度の回収数がそれまでのトレンドより大きくかけ離れていて、前年の2012年に比べると2倍以上の数値になっている(下記の上図)。

気になって、その数値(1217万枚)の中身を同社広報室に問い合わせてみた。要領を得ないやり取りに繰り返し付き合わされた後、最終的に同社の広報室が僕に示した回答は「単純な計算ミスです」だった。

今回の指摘をきっかけに、同社が訂正した2013年度の数字は802万枚で、つまり415万枚も「計算ミス」していたことになる(下図)。
http://www.fastretailing.com/jp/csr/environment/recycle.html
http://www.fastretailing.com/eng/csr/environment/recycle.html

彼らに連絡する前に掲載されていたグラフ

連絡後、いつの間にか訂正された同サイト上のグラフ


CSR活動を積極的に行うことは好ましいと思っている。いまではこうした企業サイトにその活動内容や実績を載せるだけでなく、年次報告書以外にCSR報告書を作成してステークホルダーやメディアに配布している企業も多い。

「単純な計算ミス」を責めるつもりはないが、外部から指摘があるまでこれほどの数値の大きな変動について疑問を抱かなかった同社のCSR部門や広報部門は鈍い。自社サイト上の棒グラフを見れば誰でも「あれっ」と普通感じるはず。

数字を確かめるための連絡をした時は、こちらの身元や質問をする理由を何度も何度も何度もユニクロは聞いてきた。そして最後に、彼らは「計算ミスです」と素っ気なく返答した。

その後確認したら、彼らは自社サイト上の数字と表(上図)をさっさと修正していた。普通だったら「ご指摘ありがとうございました」の一言もあってしかるべきだと思うんだけれど、このダンマリの姿勢はどうなのかね。

同社のサイト上には、以前の表示(数字)が間違っていたという「訂正のお知らせ」などは一切ない。それは、自分たちにマズいことはさっさと書き換えて知らん顔していれば済むと考えているから。この企業の体質がよく出ている。

たまたま僕は、彼らが修正する前のグラフをスクリーンショットで保存していた。これは永遠に残る。英語のサイトだけだけど、内容はもとの日本語サイトと同じだ。

こうした可能性があることすら想像しなかったFR社担当者のお粗末さを笑う。製品はよくできてるんだけどね。

2014年6月5日

授業のち、打ち上げ

昨日は「マーケティング」クラスの最終日。

毎週水曜日は午後7時から3時間の授業があって、その後も学生たちの質問に答えたり、なんだかんだと用事を済ませていると大学を出るのは夜の10時半をまわる。

その時間を過ぎるといつも使っている西門が閉鎖されてしまうので、北門の通用口からグランド坂下に出て、すこし遠回りするかたちで早稲田通りに出る。そして帰宅は、いつも深夜0時頃だ。

昨日の最終授業は90分の予定だったので早く帰れるかと思ってたら、学生たちの打ち上げに誘われた。場所は大学近くの変な店。授業の打ち上げのために貸し切っていたらしい。

会には受講生のほぼ4分の3の学生が参加し、「やっと終わったぞ」とばかり、のびのびとした感じでグラスを重ねていた。

こうした場で、グラス片手に学生たちと話をするのはいい。大学の教室で授業の続きで話しているのと違って、彼らのプライベートな側面が垣間見えて、思わず話が弾む。

会の終わりに、残っていたメンバーでマーケティングのMを手文字で描いた記念写真を撮った。全7回のレポートを頑張ったヤツも、サボったヤツもみんなこういう時はいい顔をしている。


やっぱり帰宅は、午前0時過ぎだった。

2014年6月1日

警察の知能犯課にお世話になる

土曜の夜、阿呆な詐欺メールが届く。電話番号宛のショートメッセージだ。165万円のシャネルの商品を僕が買ったらしい

内容はもちろん、日本語も幼稚だ。発信人は、日本人以外だろう。人をバカにしたメールに、発信者を調べてもらおうと地元の警察に通報した。で、そのメールを転送しようと思ったら、それはできないと。警察のネットワークは、外部からアクセスできないようになっているらしい。

「こちら(警察署)へいらっしゃれませんか?」と電話口で訊ねられ、じゃあ行くかと麦わら帽子をかぶり出かけた。

応対に出てきたのは、まだ30歳くらいの若い警察官。知能犯課の所属だという。警察に知能犯課という部署があることを初めて知る。

彼は何枚も僕のスマホの画面に映ったメールをデジカメで撮影した後、基本的な対応の仕方を教えてくれた。

フィッシング詐欺やこうした詐欺メールの発信元は、そのかなりの部分が外国である。多くの場合、北米のサーバーをいくつも経由して発信元が分からないようにしてあるが、なんとか辿ってみると最終のサーバーは中国にあるというケースが圧倒的らしい。

問題は、サーバーが国内ではない場合、現状では日本の警察は手が出せないことだ。実に腹立たしい。

参考までと、URLを検索窓に入れるだけでサーバーの設置場所やプロバイダを確認できる以下のサイトを教えてくれた。ネットショップなどの場合、日本のサイトを装いつつサーバーが日本国内にないものは、ほぼインチキである。

IPひろば
aguse
cman