昨日、総務省が人口推計を発表した。それによれば日本の生産年齢人口は7400万人ほど。前年比、60万人減。減少は13年連続だ。
生産年齢人口とは、15歳から65歳未満の人口を意味する。「生産活動に就いている中核の労働力となるような年齢の人口」と定義されているが、現在、15〜18歳(高校就学年齢)で労働力となっている人たちはどのくらいるのだろう。
下記の総務省HP内のグラフでは、昭和25年(1950年)からのデータが集計されている。その頃は高校への進学率ですら半数を切っていた。つまり、高校に進学しない半分以上の人たちは確かに「生産」に携わることになる人口だった。
地方の中卒者を中心とする「集団就職」は1970年ごろまで続き、オリンピックのころには「金の卵」が流行語になった。
時代が時代、今とは隔世の感がある。いまも義務教育終了後、つまり中卒で働きに出るひともいるだろうが、全体の中での比率はかなり小さいだろう。
そうすると、正確には実生産年齢と言えない15から18歳を彼らを先の数字から減ずるのが正しい生産年齢人口であり、それが実生産年齢人口とも言える。
15から65歳というひとつの括りは、統計データの連続性からは保つべきだろうが、その名称(意味合い)は検討し直した方がいい。増加し続ける65歳以上の高齢者の数も、15年から20年後にはピークを迎える。その後は減少に転じていく。そして子供の数は、減り続ける一方だ。
ところで、日本では人口減少が問題だと言われ続けているが、1964年の東京オリンピックの頃は日本の人口は1億人に達していなかった。日本はこれから30年かけて、その頃と同じ人口に戻っていく。
ただ、そのときの顔ぶれ(年齢別構成比)は大きく変わっていることだけは間違いない。そこは、活力の失せた干からびた社会になってしまっているんだろう。
年齢別人口構成比からだけ見ると、65歳から74歳の層を生産年齢に入れるのが1つの解決策に思える。ほぼ日本の全人口が同じ(約1億人)である1964年とその90年後である2055年を比べてみると、1964年の生産年齢人口は6,744万人、生産年齢層を拡大した2055年の生産年齢人口は6.286万人。その枠内の人数の減少率は7%ほどになり、その程度は技術の進歩で埋め合わせできる。
後はその上の層、つまり75歳以上の高齢者を中心にした社会保障費をどう手当てするかである。防衛費をアメリカの言いなりになって盲目的に拡大している場合ではないということが分かる。