2023年1月3日

ミルトン・グレイザーのイラストレーションが出てきた

最近では音楽を配信サービスで聴くことが多くなったが、毎年正月の休みにはレコードを聴いて過ごすことにしている。

むかしは当たり前のことで何でもなかった、ターンテーブルを操作したり、レコードを裏返したりするのがなんとなく面倒で、普段はなかなかその気にならないからだ。

もう忘れていたようなLPを棚から取り出し、ターンテーブルに載せ、ライナーノーツに目を走らせる。ときどき意外な発見があり、得した気分になる。Bob Dylan's Greatest Hits を聴いていたとき、ジャケットに付録として挟まれていたミルトン・グレイザーが描くディランのイラストを発見した。イラスト面を内側に折りたたまれて収納されていたので、これまで気がつかなかった。

出てきたミルトン・グレーザーのイラストレーション
 
このレコードが米国で発売されたのは1967年のこと。その日本版を手に入れたのは、僕が高校生だったときだろうか。

ディランの初めてのベスト・アルバム。
グラミー賞(デザイン部門)を受賞したLPジャケット
 
ミルトン・グレイザーは2020年に91歳で亡くなっているが、間違いなく「超」がつく優れたグラフィック・デザイナーでイラストレーターだった。いわば、アメリカの和田誠。彼の仕事で誰もが知っているものが、以下のロゴマーク。


このアイデア、彼がマンハッタンのなかをタクシーで移動しているときに頭に浮かんだものだという。彼のそのときのスケッチはこんなものだった。


この手書きのスケッチがもとになって、上の4文字のタイポグラフィと文字組みがデザインされた。


これがボブ・ディランをモチーフとした、グレイザーのもとのイラスト。アールヌーボー風でカラフルに色分けされたディランの髪は、いくつもの才能を発揮する彼の多彩さを表現しているんだろう。そして右下のDYLANの書体が、当時のポップ・カルチャーの雰囲気を感じさせる。