放送作家として第一線で活躍するだけでなく、自ら番組に数多く出ていた人物Sが51歳で引退を宣言。
彼がメディアからの取材に応えたなかで、旧ジャニーズ事務所を舞台としたジャニー喜多川の性加害問題についてこう語っていた。
本当はそんなことないだろうな、触れてはいけないな、とか。魔法にかかっていた感じ。すべてが噂で、具体的には何も聞いていない。結果的に見て見ぬ振りをしてきたということだから、僕はみんなと同じ立場。共同責任だと感じています。
笑っちゃったよ。共同責任といいながら、彼はその後何か責任をとったのか。取っちゃいない。つまり、彼にとっての「共同責任」とは「責任がない」ことと同義。
ジャニーズの件は、一部のメディアを除いてほぼすべての日本のメディアが見て見ぬを続けていたが、英BBCによるドキュメント番組によって世界に知られたとたん、国内でも蜂の巣をつついたような騒ぎになった。結果、多くのメディアやジャーナリストが自己批判を行わざるを得なかった。
そしてその後、それに続くエンタメ・興行界の悪弊が明らかにされただろうか。そうしたものは、ほとんど聞こえてこない。ジャニー喜多川の所業は、その世界で今も行われている「見て見ぬを続けられていた」多くの悪行の一つに過ぎなかったはず。
共同責任であろうが、団体責任であろうが、責任者の一端であることに変わりはない。だったら、少しは責任者らしいことをしたらどうなんだろう。