2001年にファースト・リテイリング社は、年に2回だったと思うがフリースの回収を店頭で始めた。これはなかなか賢い選択だった。
圧倒的な量で世間に広まったフリース・ジャケット。ポリエステルで出来ているその衣料をゴミとして廃棄するのは環境への負荷になり、それに対しての環境保護団体の動きが気になっていた。
それに先手を打つように、環境への負荷を減らすためとしてリサイクルを行ったのである。回収された商品は、当初は燃料となったり工事用のシートなどに加工されていた。
その頃は、イトーヨーカドーなど大手のスーパーチェーンでもプライベート・ブランドのフリース・ジャケットが数多く販売されていたが、ユニクロが店頭で回収するのはあくまでも自社のものだけ。リサイクルのために古くなった商品を持って店頭に訪れてくれる客は、彼らにとっては大変いいお客さまである。
古いユニクロ商品をリサイクルのためにカウンターのスタッフに手渡した多くの客は、そこで何か買い物をしていったことだろう。
その後、同社のリサイクル・プログラムは、対象が全品に拡がり、時期も通年になった。回収された商品はリサイクル以外に、アフリカの難民の人らに送られるようにもなった。このことは、たいへん結構なことである。
ところで、同社のサイトを見ていて、リサイクル商品の回収数のグラフが気になった。2013年度の回収数がそれまでのトレンドより大きくかけ離れていて、前年の2012年に比べると2倍以上の数値になっている(下記の上の棒グラフ)。
気になって、その数値(1217万枚)の中身を同社広報室に問い合わせてみた。要領を得ないやり取りに繰り返し付き合わされた後、最終的に同社の広報室が僕に示した回答は「単純な計算ミスです」だった。
僕の指摘をきっかけに、同社がサイト上で訂正した2013年度の数字は802万枚で、つまり415万枚も「計算ミス」していたことになる(下の棒グラフ)。
http://www.fastretailing.com/jp/csr/environment/recycle.html
http://www.fastretailing.com/eng/csr/environment/recycle.html
■ 彼らに連絡する前にファースト・リテイリングのサイト上に掲載されていた回収数のグラフ |
■ 連絡後、いつの間にか訂正された回収数のグラフ |
「単純な計算ミス」を責めるつもりはないが、外部から指摘があるまでこれほどの数値の大きな変動について疑問を抱かなかった同社の広報部門は鈍い。グラフを見れば誰でも「あれっ?」と感じるはず。
僕が連絡をした時は、こちらの身元や質問の意図を何度も何度もファースト・リテイリング側は聞いてきた。そして最後に、彼らは「計算ミスです」と素っ気なく返答した。それはこちらがもし報道機関だったら、もう少しまともな回答を寄こしたということだろう。
その後、彼らのサイトを確認したら、数字とグラフがいつの間にか変更されていた。
常識で考えると、「ご指摘ありがとうございました」の一言もあってしかるべきだと思うんだけれど、このダンマリの姿勢はどうなのかね。
同社のサイト上には、以前の表示(数字)が間違っていたという「訂正のお知らせ」などは一切ない。それは、自分たちにマズいことはさっさと書き換えて知らん顔すれば済むと考えているから。企業体質がよく出ている。印刷物と違ってネットは便利だねえ〜。
たまたま僕は、彼らが修正する前のグラフをスクリーンショットで保存していた。英語のサイトだけだけど、内容はもとの日本語サイトと同じだ。
こうした可能性があることすら想像しなかったファースト・リテイリング社担当者のお粗末さを笑う。フリースの製品はよくできてるんだけどね。