2012年7月9日

石岡瑛子とMISHIMA(ミシマ)

今年の初め、アート・ディレクターの石岡瑛子さんがニューヨークで亡くなった。

アート・ディレクターと書いたが、それはまだ彼女が日本の広告業界にいた頃のはなしで、彼女はそうしたADの仕事もやりながら映画や舞台などの美術監督として世界で活躍していた。

ニューヨークに来る前から気になっていた映画「MISHIMA: A Life in Four Chapters」(1985)もその1つで、ダウンタウンのアートセンターで先日観る機会があった。三島由紀夫の生涯と作品を題材にしたものだ。石岡さんはこの映画で美術監督をつとめた。

 
この作品はコッポラとルーカスがプロデュースし、タクシー・ドライバーの脚本家としてその才能を世間に認めさせたポール・シュレイダーが監督。音楽はフィリップ・グラスだ。見応えのある映画作品に仕上がっている。クレジットを調べてはいないが、上のポスター・デザインはどう見ても横尾忠則っぽい。
 
映画はカンヌで賞をとった作品なのだが、三島由紀夫の遺族が反対しているために日本では公開できないままになっている。DVDの販売も、配信もできない。なんとも了見が狭い。海外ではオープンになっているのに。三島の変態ぶり(変態が悪いと言ってるのではない)が広く知られるからか。

映画の中で主役の三島を演じているのは緒方拳。そして、もう一つの主役が、石岡が担当したセットデザインである。斬新かつシンボリック、それだけでもこの映画を観る価値はある。