2022年12月4日

ロッテルダムでもよかった

映画『アムステルダム』は、錯綜するストーリーを負うだけでも大変だった。原作は1933年に米国で発覚した実際の政治陰謀事件を題材にしているとはいえ、日本では満州事変の勃発から2年後という90年ほど前の時代であり、正直言ってそうした背景にリアリティを持てなかった。

人種問題や富豪の腐敗、忍びこむファシズムの空気などを現代に結びつけて提示しようという意図もありそうだが、いかんせん話が入り組んでいる。重要な役回りの退役軍人の集まりなんてのも、日本とは状況が違う。

戦場で目を負傷して義眼をいれた主人公のクリスチャン・ベールは真面目に演じているのか、コメディタッチでやっているのか。全体的にエンターテイメント色を醸し出そうとしながらも入り組んだストーリーラインを観客に追わすことで、笑いが表から引けてしまっていた。

マイク・マイヤーズが出ているのを見られたのが収穫。