2012年1月24日
2012年1月22日
2012年1月20日
GM、4年ぶりに首位
全米科学アカデミーは、2009年から2010年にかけて発生したとされた電子制御システムが原因とする予期せぬ急加速問題についてシステムの問題はなかったと結論づけた。つまり、それに先だって報告された、ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えたという米運輸省の調査結果をアカデミーが認めたわけで、一貫して電子スロットルに欠陥はないと主張していたトヨタの主張が正しかったことが証明されたわけである。
この問題発生時、トヨタの対応のまずさは確かにあった。しかし、ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違いから派生した事故を、ここまでメーカーがなぜ問われなければならなかったのか。米国で公聴会が開かれていた時期、僕は大学からの派遣で米国に滞在していた。日々、ニュース報道のトップはトヨタ問題一色だった。テレビでは豊田章二社長がなぶり者にされている場面が繰り返し繰り返し放映された。
そもそもこの一連のでき事の背景にあったのは、事故や電子制御システムといったテクニカルな問題だけではなく、経済問題が大きかった。トヨタはそれに翻弄され、もてあそばれて、米自動車メーカーと米国民のうっぷん晴らしの対象にされてしまった。
2012年1月18日
大学の9月入学は何のためにやるか
実際、今の学期の組まれ方は教育的効果の観点から疑問がある。例えば、僕が担当しているある授業は12月20日で一旦冬休みにはいった。その授業を大学の暦にしたがって再開したのは昨日(1月17日)である。ほぼ一ヵ月が宙ぶらりんで空いてしまった。そして、来週(24日)で授業は終了する。教わる方も、教える方も気が抜けてしまう。
9月というタイミングは日本の社会に合わないとか、入学時は桜の季節であって欲しいとか、つまらない反論も多々あるようだが、早く大学はコンセンサスを取り、実行に移すべきだろう。
2012年1月15日
新宿ベルク
この店は以前、大家(JR東日本)からファッションビル(ルミネ)に似合わないからと立ち退きを迫られたことがある。その時、店は立ち退き反対の署名運動をやって1万人の署名を集めた。僕も署名したひとりだ。個人経営の小さな店だが、大きな力に容易に屈しないところがいい。
迫川尚子『食の職』は、そこの副店長である女性が店で提供する「食」のこだわりを綴った本である。でも料理本じゃなくて、食と、それを生業とする職業や生き方に関する本だ。15坪ほどのこの店には、一日1500人のお客さんが来るという。どうやってそれだけのお客を集め続けられているのか、15坪のスペースをどんなオペレーションで回しているのか。そんなことがたくさん書かれている。
最初、ネット書店から届いたこの本をめくって、思わずにやっとしてしまった。たいしたことじゃないんだけど、ページの間にこの店で使っているペーパーナプキンが挟んであったからだ。この店らしいセンス。
書かれている内容で関心したことの一つは、「言葉と絵で味を伝える」ということ。実際、彼女はビールを納入している先の人に、絵でビールの味の変化を伝えている。決して上手い絵ではないけど、言葉だけでは伝えきれないことを伝えるために絵を描いて相手に見せる。絵の巧拙ではない。伝えたいという意志が込められている。そして相手もプロだから、コミュニケートできる。
15坪で毎日1500人というのはすごいが、広さ1坪で40年間客足が途切れるどころか、毎日行列ができるという「小ざさ」も立派。『1坪の奇跡』(ダイヤモンド社)で描かれているその店で扱う商品は、羊羹と最中だけ。特に羊羹は一日150本限定。別に希少価値を狙っているのではなく、最高の味を守った羊羹を作るのは釜の関係でそれだけしか無理だから。
「ベルク」の副店長は1年のうち364日出勤し(大晦日だか元旦は、店が入っているビル全体が休み)、小ざさは365日開店している。
2012年1月14日
あえてできない方を選ぶ
先日、あるホテルで昼食をとったときのこと。メニューはバイキングのみ。料理はすばらしい。各国の料理がそろい、前菜からメイン、デザートまで手のかかった品が用意されていた。しかし、人が一度の食事で食べられるのは大した量ではない。ずらりと並べられても、大半は味わうことはできず見て楽しむしかない。だからバイキングは本当は嫌いなのだ。
それにも増して困った(?)ことは、私は2本のスプーンが上手く使えない。サラダなど、大皿から取り分ける時に使う大ぶりの2本のことだ。他の客を見ていると、器用にスプーンの柄の部分を指に絡ませてまるで2本の箸で挟むかのように料理を自分の皿に運ぶ人がいて感心する。僕はといえば、そうした芸当は最初から諦めていて、両手に持ったスプーンで左右から挟み撃ちにするか、おとなしく1本のスプーンで何度もすくい取るしかない。
そうした自分を少しばかり情けなく思いつつも、なぜかそうしたことを上手にできるようになりたいとは思わないのだ。むしろ、できない方がいい、と思う。自分でも理由は分からないけど、あえてできない方を選ぶ。こうしたことって、他にもありそう・・・。
2012年1月8日
ドバイのスークでナチュラル・バイアグラ
開放感もあって、その日の夕方は時間を見つけてドバイの下町のスーク(市場)をいくつか巡った。スパイスを専門に扱うスーク、ゴールドやシルバーを扱うスーク、衣料品や食品などを扱うスーク、金物専門店の集まりなど、それぞれに特化していて特徴的でとても興味深い。
小振りながら薬品を扱う店が集中しているエリアもあった。店の入口に貼られた「Natural Viagra」に一瞬気持ちをそそられたが、何がナチュラルなのか分からなかったので結局手は伸ばさず。
ナチュラル・バイアグラ? |
2012年1月7日
ドバイのフィリピン人
また、ブルジュ・アル・アラブのSky View Bar で働いていたフィリピン人女性は、以前熊本のバーで働いたことがあると話してくれた。でも、そこは5ヵ月で辞めたらしい。ビザの関係か他の理由かは尋ねなかったけれど。一方、彼女はドバイではもう7年になるといっていた。いま働いているバーは、間違いなく世界のトップバーの一つ。彼女の給料がいくらかは知るよしもないが、熊本のバーよりこっちの方が働きがいがあるのだろう。
アラブ人の男性は思った以上にホスピタリティがある。一方、女性はあまりそうではない印象だ。何故か分からないが。推測だが、アジアからの働き手が多いのは、そうした背景もあるのかもしれない。
2012年1月6日
メルコジ
ところで、メルケル首相とサルコジ大統領が2人で立ち話をしているシーンをニュースでしばしば見るが、そうした時はどの言語を使っているのだろう。2人によると、メルケルは英語もフランス語もできない。そして、サルコジはドイツ語ができないらしい。ということは・・・。
2012年1月5日
学会でドバイへ
昨年の暮れに「ミッション・インポッシブル4」を観たこともあり、せっかくなので世界一の高さを誇るブルジュ・カリファの展望台(At the Top)にも登った(ガイドブックにはバージュ・ハリファと記されているが、現地の人はブルジュ・カリファと発音していた)。
集合場所がブルジュ・カリファとは離れたショッピングモールの1階であるうえ、展望台に登るエレベータが2基しかないからだ。しかも、12、3人ほどしか乗れない小振りのエレベータである。高速で昇降させるためにはその程度のサイズのものしか採用できなかったのかもしれないが、もしそうであれば台数を増やすべきだったろう。入場料金は、一人あたり日本円で3千円弱。事前の予約なしでチケットを買う場合は、その3倍以上の価格になる。
登った感想? 高い所から地上を見たければ、観光用のヘリに乗った方がいいかもしれない。展望フロアから降りる際にも30分ほど列に並ばされたこともあって、ちょっと辛口に。
2011年12月28日
SNSって、本当はどのくらい流行ってるんだろう
その数字を発表したICT総研という会社のサイトを読むと「国内の3大SNSと言われるモバゲー(運営会社DeNA)、グリー、ミクシィはそれぞれ2,500万〜3,000万件以上の登録者を保有しており、3社だけで約9,000万件近い登録者数となる」とある。
主要3社のそれぞれの登録者数が2500万〜3000万人とずいぶん大雑把なわりに、合計の利用者数が4,289万人と一万人単位まで出ているのが不思議である。また、年代や性別、居住地域の偏りも知りたいところだ。65歳以上が日本人口に占める割合は約23%だが、その年代の何割がSNSをやっているんだろう。15歳未満(全体の13%)では?
アンケート調査をもとにした集計とあったので、調査元にその調査概要を教えてくれるようにメールしてみた。返答は「なぜ知りたいのか?何が知りたいのか?が分かりかねるので、どの情報を提供すべきか判断に困るのですが、調査概要について、無償で公開している情報は、弊社ホームページに公開しているもののみです。詳細の情報については、有料で販売しているレポートに記載しておりますので、ご検討いただければと思います」とのこと。調査結果のトップラインをリリースするのであれば、調査対象者や調査期間など基本的な調査概要も公表すべきだと思うのだが、なぜ隠すのだろう。
2011年12月27日
思い違いだった
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK069111220111221
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE7BQ02P20111227
にわかに信じがたいことが起こった。「間違ってこのメールを受信した方はただちに・・・」という注意書きをメール末尾に添えることはあながち杞憂ではないということだ。
2011年12月26日
2011年12月25日
バックパッカーは死んだか
駅のホームもたくさんの人で溢れている。その中に、キャリーバックを引いている人が結構いる。見たところ、旅行者やビジネスマンではない。週末に買い物にでも出かけてきた風体だ。そうしたゴロゴロを引いているのは、若い女性が多い。カバンを手に持ったり、肩に掛けるよりラクだからだろう。でも、人混みでのキャリーバッグは、どう見ても周りに迷惑である。ぶつかる、足を引かれる、、、
僕も2,3日の出張にはそれを使うし、研究室に多量の本など重い荷物を一度に運ばなければならないときは重宝する。だが、そうした時は駅などが人で混む時間帯を避けて移動するようにしている。
12月24日の深夜、年に一度沢木耕太郎がラジオのDJを務めている。昨夜も布団の中でラジオの耳を傾ける。昨年まで彼は旅に出る時はバックパックを担いでいたらしい。でもその彼も、バックパックからキャリーバッグに替えたと語っていたのが印象的だった。確かに便利だもんな、と思いつつ、昼間の街の風景を思い出した。キャリーバッグは出張や旅行には便利だ。だけど、それはもう旅ではない。
2011年12月22日
Money Ball
原作はビジネス書としての評価も高く、多くのビジネスマンなどにも読まれているらしい。予算の乏しい弱小チームが試合に勝つために、統計データの独自な分析とそこから導いた理論をもとにチームを立て直したやり方が企業の経営にも役立てたいということだろう。なるほど、独自のKPIに基づいた「マネーボール理論」は斬新で有効だった。少なくとも映画の中で描かれているところでは。だけど、実際はレッドソックスなど大手がすぐに同様の発想を取り入れて優勝をさらった。アスレチックが採用したゲリラ戦略はすぐさま模倣され、長続きはしなかった。
主役のブラッド・ピッドははまり役である。「テルマ&ルイーズ」から20年、いい役者になった。アスレチックスの監督をまだ40代前半のフィリップ・シーモア・ホフマンが演じていたのが意外だったけど、本作の監督が「カポーティ」のベネット・ミラーと知って納得。
2011年12月19日
何か勘違いしている
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内容の転送・コピー・プリント等 取り扱いには十分ご注意下さい。
また、このメールを間違って受信された場合は、直ちに送信者まで
お知らせいただき、受信されたメールを削除下さい。
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この電子メールおよび添付書類は、名宛人のための特別な秘密情報を含んでおります。
万が一、
郵便であれば、集合住宅への配達の際に間違って隣の郵便受けに入れてしまうこともあるかもしれない。だが、メールが間違って届いたら、それは発信者のミスと云うことだろう。「何らかの誤りにより」というのはヘンな感じだ。また、直ちに連絡せよとか、削除せよとか、苦笑してしまうのは僕だけだろうか。
会社からのメール送信の際は、自動的にメール本文末尾に付くようになっているんだろうね。でも、私用のメールを送信する時はそんな無粋極まりないものは消してから送ってくればいいのに。
2011年12月3日
Are you a terrorist?
Q. Are you a member or representative of a terrorist organization?
A. Yes No
Yesにマークをつけたらどうなるか、ちょっと気をそそられたが、ここは真面目に答えておいた。
2011年11月27日
驚くべき若きテノール
その時は3曲披露したが、とりわけ最後に歌ったプッチーニ作曲のトゥーランドットより「誰も寝てはならぬ」は、ポール・ポッツが英国のオーディション番組Britain's Got Talentに初めて登場して同曲を歌ったシーンを思い起こさせた。
2011年11月25日
グレン・グールドについての映画
フィルムで見るその人物像は思っていたより普通で、一般の人とは少しずれていても(芸術家とはそういうもの)決して破綻などしてはない。むしろその人懐っこい人柄が分かった。それにしても50歳で脳卒中で急逝とは。
一つ印象的だったのは、バーンスタインがコンサートの場でこう聴衆に語ったシーン。「私は、今晩演奏するブラームスのグールド氏の解釈には賛同できません。 しかし、グールド氏の資質と才能を認めるからこそ、私は今日指揮棒を振ります」
グールドには関係ないが、スクリーンの大写しになるアシュケナージが昨年亡くなった役者のレスリー・ニールセンに似ていることを発見。
この映画とは関係無いが、グールドは夏目漱石の『草枕』を愛読していたらしい。
2011年11月20日
小水力発電
中小河川や農業用水路を利用した小規模水力発電が注目され始めている。水力発電は、その発電量の変動が天候に左右されやすい太陽光や風力発電より少なく安定している。
水車を回して発電する小規模水力発電に利用可能とされる場所は、日本全国に約2万カ所も。発電時に二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーとして注目されているが、初期導入コストや工事費の高さが障壁になっている。
近くで見つけた超超小規模水力発電。プラスチックのカップを使った水車が小川の流れで回ると、上の橋桁に設置されたカッパの目玉が光る。それだけのことで、もちろん実用性はないが、こうした簡単な仕組みで電気が作れることを通りがかりの人は知ることができる。なによも見ていて楽しい。
2011年11月19日
2011年11月18日
夏が終わってから、大学へ
3月に卒業、4月に入学というのに、教育面からの明確な理由づけはない。春夏秋冬と呼ぶように、日本の季節は春から始まることになっていることから、企業も役所も学校も4月に新年度が始まるようになっているのだろう。だが考えてみれば、4月から大学生を開始するためには1月〜3月に大学入学試験を行わなければならず、その時期に入試を行うことの不合理性はもっと議論されてもいい。というのは、この時期、受験生は風邪やインフルエンザに悩まされながら受験をしなければならないし、積雪のために試験会場に行くのも一苦労という地域も多々ある。確かに桜の季節の入学式はすばらしいが、それだけだ。秋に入学するのなら、4月に入ってからの入試試験で大丈夫だ。
ところで、新聞の報道で読んだのだが、ある教育情報会社が大学を対象に秋入学への移行についてアンケート調査を行った。対象は4年生大学576校で、263校が回答した(回答率45.7%)。秋入学へ肯定的な回答を寄こしたのは43%、否定派は39.5%、どちらともとれないのは10.7%となっている。
否定派でもっとも多かった理由は、「ブランクが生じる」で46%。また、移行に伴って生まれる約半年の猶予期間の活用法を尋ねたらしく、「入学に向けた学習」62.7%、「社会体験」58.2%、「ボランティア」47.9%という数字が記事中に紹介されている。これらは、受験生が「自分は入学までの時間をこう過ごす」と言ったのではない。大学が「こう過ごして欲しい」と言っているわけだが、そもそもこれほど大きなお世話はないだろう。何を意図してこうした設問を設けたのだろう。そして、回答した大学関係者の、その時の頭の中はどうだったのか・・・不思議だ。
大学入学まで時間的ゆとりがあるのは大変よい。春から夏にかけてゆっくり方々を旅するなり、学費を稼ぐためのバイトをするなり、好きにすればいい。大学がこうして欲しいなんて言ってるのは、はなから無視すりゃいい。
2011年11月13日
モダン・アート、アメリカン
そのなかに、一点だけだが国吉康雄の作品があった。彼は20世紀初頭にアメリカに渡り、現地で絵を学び、画家としての活動を続けた。そして、20世紀前半のアメリカを代表する画家としての評価を得た。
今回、展示されていた絵は「メイン州の家族」。一緒にいた連れは「アダムズファミリーみたい」と言う。そういえば、子どもの顔がよく似てる。
ガンバレ、吉田
地震後に1号機が水素爆発してからの東電本社の経営者の責任回避、自己保身は万死に値するが、そのなかで最悪の事態をなんとか避けられたのは彼のような現場の優れたリーダーとそのチームがいたお陰だ。現場を知らず、現場を知ろうともせず、有楽町の本社で組織の内側だけを見て毎日過ごしているネクタイ族とは大違いだ。
2011年11月11日
マーケティングのパラダイムシフトって、何だ
年を取るにつれて、飲み屋にしてもなんにしても、立ち寄るところが次第に限定されてくる。馴染みの心地よさが優先されると云うわけだ。
そうした場所ではメニューなども分かっているから、何を頼んだらいいか迷うことはなく、その点でも楽だ。気がついたら、そうした店は自分以外の客もそうした「楽さ」を求める常連で占められていることに気づく。
マーケティングにおいて「パラダイム」といういささか大仰な言い方がされることがある。マーケティングの「取引パラダイム(transaction pradigm)」から「関係性パラダイム(relationship paradigm)」への転換というのがその代表例だ。
取引パラダイムというのは、経済学でいうところの「交換」をマーケティング上の目的とする考え方である。すなわち、財(商品やサービス)と通貨の交換をいかに実現させるか、そのための役割、機能としてマーケティングがあるという発想。
一方、関係性パラダイムと呼ばれているものは、法人、個人を問わず対象とする顧客との関係構築、維持、強化を通じて長期的、反復的な取引を実現するなかで顧客価値を高めていくという考えである。
これら2つは教科書ではなぜか対比的に紹介され、まるで「天動説」から「地動説」への転換のように、「取引」から「関係」への転換がさもありうるべき「真理」のように語られる。
本当にそうだろうか。僕の考えでは、マーケティングの目的はいずれにせよ取引の実現に他ならない。京都の祇園のお茶屋さんのように一見(いちげん)さんお断り、馴染み客だけでもっている店もあれば、繁華街のファストフード店や観光地の土産物屋のように通りすがりの客がほとんどの店もある。
それを規定するのは、立地や店の位置づけなど店のタイプだ。決してどちらが商売として優れているというものでもない。
つまり、取引パラダイムか関係性パラダイムかという、学者が勝手に名付けた二項対立的な考え方は正しくない。
実際は「単なる取引(英語にすると simple transaction)」か「関係性を考慮した取引(relational transaction)」かという違いがあるだけだ。
2011年11月9日
松下の「綱領」
60年代以降の懐かしいテレビCMなどを紹介してもらい、松下のブランドとコミュニケーションの変遷、そして松下からパナソニックへの社名変更とその背景などを分かりやすく説明してもらった。10月にNHKで放映されたドラマ「神様の女房」を見た学生も結構いたことあり、松下に関する話にみんな熱心に耳を傾けていた。
そのなかで、松下の基本経営理念に触れた話があった。その後、ネットでちょっと調べてみたのだけど、松下幸之助はすでに昭和4年(1929年)に、自分たちの会社は人びとの暮らしを豊かにするだけでなく、社会に貢献することを目指すと謳っている。
このような高い志と社会性が、利益を生み出す装置・仕組みとして企業を考えがちな欧米企業と日本企業の経営の違いの一つだ。
2011年11月5日
菁桐の「碳場咖啡」で
台湾鉄道のローカル線、平渓線(ピンシーシエン)沿線を一日乗車券を手に訪ね歩く。
この沿線には、炭鉱跡が各地に残っている。最終地の菁桐(チントン)駅の近くにある「碳場咖啡(Coal Coffee)」という店には中国語でミルクティーという名の犬がいて、僕のような一人客の相手をしてくれる。
2011年11月4日
台北之家
アジアの国を訪ねた時、到着した飛行機からボーディングブリッジに一歩出た際に感じる、ちょっとむっとした熱気とまつわりつくような湿り気が好きだ。今日の台北の空港もそうだった。
ちょうど機上で読んでいた沢木耕太郎の新刊『ポーカー・フェイス』にも似たような記述があった。バリ島の空気について触れ「私は、たぶん、日本列島にやって来た先住民の中でも、北からではなく、南からやって来た者の子孫なのだろう。乾燥した空気より、湿気のある空気の方が心地よく感じられるのだ」と書いている。
夕方、ホテルにチェックインしてから、街へ出る。目的地は昨日知った「台北之家」という場所。実はあまりガイドブックの類を読まない僕はこの場所についてまったく知らなかったが、たまたま昨日送られてきた早稲田松竹のメールニュースにそこについて書いてあった。劇場のスタッフが台北を訪ねた際にここに寄ったらしい。
台北之家は、映画をテーマにした劇場とショップとカフェ、バーが集まった施設だ。チケット売場の兄ちゃんに聞いたら、台湾政府が運営しているらしい。それにしてはお洒落だ。センスもいい。全体の構成などに侯孝賢が関わっているらしい。
http://www.spot.org.tw/
1階のショップで、動物をモチーフにしたデザインのカップを2つ購入。その後、2階の紅氣球というバーでワインを軽くやった後、劇場へ。定員88人のミニシアターに18名のお客さん。もぎりのおじさんがいい人で、僕が台湾人じゃないと分かったのか、席について荷物を片付けていたところ近づいてきて「No English, OK? OK?」と尋ねてきた。OKと返答すると納得したようにもぎりの定位置に戻っていった。で、少しすると、また近寄ってきて劇場の後方にある扉の方をむいて指さし「トイレ、トイレ」と言う。親切だなあと感心し、謝謝と中国語で礼を述べる。
今日かかっていたのは「星空 Starry Starry Night」という台湾映画。13歳の少女が主人公のファンタジーだ。少女と彼女のおじいさんが約束事をする際、二人は小指を絡ませて指切りをしていた。へぇ〜、日本人だけじゃないんだ。それとも日本統治下の影響なのかな。
2011年10月29日
空っぽの世界
現地で彼女たちのフラを観たくなって出かけた。クルマを飛ばしたが午後1時半からのショーに間に合わず、今回観るのは諦めて北に進んだ。南相馬市と相馬市の海沿いを訪ねた。あの震災から7ヵ月ほど。目を覆うほどだっただろう瓦礫のほとんどは片付けられ、あとには広大な空間だけが拡がっていた。
空っぽの世界だ。
https://www.shutterfly.com/lightbox/view.sfly?fid=f16fa2ea23c3be806276141d224b0f78#1478348697079
2011年10月26日
北杜夫さん逝去
北杜夫さんが24日亡くなった。84歳。小学生の時、北さんにファンレターのようなものを書いて送ったことがある。すると、間もなく彼から返事が来た。僕は驚き、子ども心になんて律儀な人なのだろうと思った。そうした記憶は、人の考えや行動の底の部分で影響を与えている。合掌
今朝、出しなに玄関脇の鉢に目をやると朝顔が一輪咲いていた。何週間も前に枯れていたのに。
2011年10月9日
福田繁雄大回顧展
2009年に亡くなった福田繁雄さんの回顧展が、現在、川崎市民ミュージアムで開催されている。
グラフィック作品はもちろん、代表的な立体作品や柏木博さんによるインタビューの映像なども観ることができる大回顧展に相応しい展示がされていた。
ちょっとものの見方や発想を変えるだけで、そこに新鮮な感動が生まれる。でも僕たち凡人には、どれも見せられて初めて気づくユニークさだ。当たり前だが、観るのと創るのとでは、大違い。
2011年10月6日
Stay Hungry. Stay Foolish.
テレビのニュースでは、彼が2005年6月にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの一部が繰り返し流されている。http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html
そのスピーチの締めくくりで、彼は自分が若い頃に大きな影響を受けたという雑誌、The Whole Earth Catalog の最終号の裏表紙に書かれていた言葉を紹介している。学生たちへのはなむけとして送られたその言葉は、Stay Hungry. Stay Foolish.
日経など全国紙のいくつかが紙面でその言葉を「貪欲であれ、愚か者であれ」と紹介していたが、ジョブズは大学を卒業していく若者たちに「貪欲なる愚か者であれ」と語ったわけではない。これから社会人として「成長」していくはずの学生たちに「欠落感を失うな、愚か者とそしられるのを恐れるな」と言いたかったのである。
下は現在のアップルのサイト(http://www.apple.com/)である。彼以外に、亡くなった時にこうして企業サイトのトップページに掲載され、誰も不自然に思わない経営者が世界にどれだけいるだろう。
2011年9月21日
聞くな、見ろ
集めたデータを分析することだけでなく、小規模ながらも自分で調査プロジェクトを進めることが大きな学習につながる。インタビューなど定性でやるか、アンケートベースの定量でやるか。学生には、まずはその辺りからオープンに考えるよう勧めるようにしている。
ただ自分自身は、最近はあまり調査データを信用していない。特に、調査設計が分からないものは、意識的に信用しないようにしている。調査のやり方や分析の仕方をちょっと変えるだけで、簡単にバイアスをかけることができ、またそれをもっともらしく見せることができるから。世の中にそうした調査がいかに多いことか。
もともと人に、例えば「あなたはなぜこの商品を購入したのですか」などと聞いたところで、本当のことは出てこない。こちらのために、相手は「それらしく考えて」答えてくれるだけだ。言葉は信用できない、と思った方が良い。その代わりにリサーチャーがやらなければならないのが、観察である。対象者の行動を観察し、その意味を分析する。まるでシャーロック・ホームズが事件の謎解きをするかのように。
ノンフィクション作家の梯久美子さんが、新聞の文化欄に「インタビューの極意」という文章を書いていた。よいインタビューをするためのノウハウなどないそうだ。(当たり前だが)。ただ、彼女には、インタビューに向かう際に思い描く理想的なインタビューの光景がある。10年ほど前に新宿のビルの地下にある小さなロシア料理屋で1人で昼食をとっていたときに見た、近くのテーブルにいた若い2人の関係である。
賑やかなランチタイムのレストランで、そこだけ周囲と違った空気が流れていた。彼女はそう感じた。なぜ自分がそう感じたのか、彼女はしばらく観察を続けて、その意味が分かった。相手をじっと見つめるのではなく、幅のあるゆったりした視線で相手を見ている女性。そこには2人だけを包む繭のようなものが見えた気がしたそうだ。
以来、インタビューにのぞむ時、そうした繭を思い浮かべるようにしていると言う。
2011年9月20日
反証の仕方
見つかったウイルスは8〜10種類で、それらを分析したところ中国語簡体字が含まれているらしい。それに対して中国外交部の報道官は記者会見で、「中国政府は一貫してハッカー攻撃に反対している。中国も国外からのハッカー攻撃を受けている主要な被害国であり、中国がハッカー攻撃を仕掛ける拠点との見解は根拠がない」などと述べ、中国の関与を否定したと報じられている。実に素早い反応である。
しかし、こうしたことへの反証は、実は大変難しいのだ。仮に中国の関与が「ある」ことの証明ならば、一例を示せばできる。しかし、中国の関与が「ない」ことを証明するのは、あの広大な国土で13億人の国民すべてを管理しモニターしていないとできない話だからだ。
2011年9月19日
「IT革命は人類にとっては後退だと思う」
彼らが目を向ける成長のチャンスは、新興市場とインターネット(ソーシャル・メディア)のふたつ。
帰国後読んだ本の中で、建築家の安藤忠雄さんが「私はインターネットはやらないし、Eメールもしない」と語っているのを目にしてふと手を止めた。10年前の本ではない。昨年の11月に発行された本だ。
また彼はこうも述べる。「情報機器の発達で、急速な勢いでコンピュータ社会になっていますが、人間が歩むべき方向ではない。違うところに向かっているように思えてなりません。つまり、IT革命は人類にとっては後退だと思う」と。
確かに、IT革命は人類にとって後退をもたらすものかもしれない。そして、特定の目ざとい連中にとって莫大な利益をもたらすものである。
2011年9月18日
英語人格
3日間の会議開催中には多くの人と知り合ったが、日本人で英語をしゃべると人格が変わったように見える人が結構いる。日本人同士、日本語で話していると普通なのだが、彼が外国人相手に英語で喋り始めると、これが同一人物かと思われるほどアグレッシブになり、いきなり身振り手振り混じりになり、また顔の表情も10倍くらい派手になる。
なぜかほとんどが男性だ。何故だろう。
2011年9月16日
2011年9月15日
Industry visit in Dalian
少し残念だったのは、訪問地はどこもお仕着せの見学コースのみ。説明も型どおりといった感じだ。当たり前だが、とにかくよくコントロールされている。見せたいものと見せたくないもの、聞かせたいことと聞かせたくないこと、それらが独自の基準ではっきり線引きされているのだろう。
かつての日本のつくば学園都市に似た都市開発が、つくばの時とはまったく異なる時間軸の中で推し進められている。そのスピードと勢い、また計画自体の思い切りのよさには目を見張る。
2011年9月14日
2011年9月13日
夏季ダボス参加のため大連へ
街もきれい(会議が開催されるため、前の週に街をあげて清掃したという話を現地の日本人から聞いた)。街のあちこちで高層ビルが建設中である。天候のせいかもしれないが、空気はかすみ、少し淀んでいる。青空はない。
さっそく街を歩き回る。ホテルのコンシアージュに中山広場までどう行くのか尋ねると、歩くには遠すぎるからタクシーを使えと本気で勧める。だが、歩く。
大連駅の近くを歩いていたら、真っ黒のバスが。S.W.A.T、特警とある。
2011年9月4日
「最悪の事態は避けられた」
2011年8月28日
聞き苦しい「させていただく」
日本名で生活している人なので、外国人だと気がつかなかったとしても不思議ではない。気になったのは、「返金させていただいた」という言い方だ。なぜ「返金した」とスッキリ言えないのだろうか。こういう言い回しをする人は、思考がスッキリしていないのだろう。
2011年8月23日
携帯電話と公衆電話
彼女だって電話をしないわけではないので、利用するのは自宅の固定電話と公衆電話になる。ある日彼女のご主人(僕の高校の後輩)が携帯を外でなくしたとか。その携帯自体は拾ってくれた親切な人が電話帳の「自宅」に連絡してくれ、最寄り駅に届けてくれたらしい。
肝心の彼にそれを伝えようにも、本人から連絡がない。やきもきしながら電話機のあるリビングから一歩も出ずに3時間ほど待ったらしい。やっと「携帯なくしちゃった、どうしよう」と電話してきた彼。公衆電話が見つからなかったらしい。そうなんだよな。
つい先日、引き出しの中を掻き回してたらNTTのテレカが5枚ほど出てきた。2500円分也。もちろん公衆電話で使えるわけだが、そのために街なかでわざわざ公衆電話を探すのはばからしいと思い、ゴミ箱に捨てた。そうした人って、結構いるに違いない。
2011年8月21日
コーヒー豆の等級について
コーヒーについてもいろいろと教えてもらった。コーヒー豆のグレードには4つあるそうだ。上から、スペシャルティ、プレミアム、コモディティ、そしてローグレード。コーヒー好きの人にとっては当然かもしれないが、僕はそうしたことは知らなかった。
スターバックスが買っている豆はプレミアムクラスで、マックはコモディティクラス。缶コーヒーは、CMでは「引き立つ香りと味わい」だとか言っているが、原料の豆はどれも一番安価なローグレードだそうだ。
2011年8月16日
バフェットの見識
80年代、90年代は金持ちにはそれなりの課税がなされていたが、ブッシュ政権以来はそうではないらしい。株の売買益や配当益にも正当な課税をすべきだと彼は述べている。
以下の彼のコメントが100%真実かは測りかねるが、こうしたことを少なくとも経済的には最も不利益を被ることになるバフェット本人が明言しているところに感銘を受ける。
I know well many of the mega-rich and, by and large, they are very decent people. They love America and appreciate the opportunity this country has given them. Many have joined the Giving Pledge, promising to give most of their wealth to philanthropy. Most wouldn’t mind being told to pay more in taxes as well, particularly when so many of their fellow citizens are truly suffering.
日本でも3・11の大震災を受けて多額の金を寄附した起業家が話題になったが、黙ってやればよいものをマスコミにニュース・リリースを出すあたりが「なんだかなあ」と思わせる。それに比べて、その構想力や社会性の面で彼此の違いを感じる。
2011年8月11日
那須での夏合宿
那須の地も3・11以来、観光客の足が遠のきホテルも営業を縮小していたらしいが、この時期にはほぼ通常の営業に戻していた。夏休みらしく、子供連れの家族が多かった。
合宿後はそのまま2日間ほど那須にある仕事場にとどまり、のんびりすることができた。ここでは普段はほとんど観光地へ行くことはないのだけど、今回はロープウェイで那須岳へ登ったり、今年宮内庁から環境省へ移管された御用地(全体の半分ほど)を少し散策した。自然が守られたまま残っているすばらしい場所だ。
大正時代に後の昭和天皇の避暑の場所として御用地になって以来、一般人は立ち入ることすらできなかった。もっと早く開放してくれればよかったのに。
2011年7月31日
アンナさん、そんな無節操な
以前、電事連(電気事業連合会)の広告に出て、同じ文春で原発を持ち上げていたのに。そんなことはもう誰も覚えていないとでも思っているのだろうか。
検索窓に「東京電力 荻野アンナ」と入れてみれば、彼女が原発文化人と云われる連中の代表的な一人であることが容易に分かる。どの面(つら)下げて、こうしたメッセージが出せるのか。また、広告主の真意を疑う。
2011年7月29日
ホワイトハウスと首相官邸
舞台であるホワイトハウスや大統領選挙戦の様子が事実とどれだけ同じでどれだけ演出上のものなのか僕には判断がつかないが、ドラマ上で大統領や次期大統領候補者を取り巻く連中がすばらしいのに感銘を受けた。国の最高意思決定者は、最高の能力と強いスピリットを持った多くのスタッフに支えられて初めてよい仕事ができる。
これは国という巨大な組織を動かすために不可欠なシステムである。日本はそうしたシステム作りが下手なのだろう。かつては官僚組織というシステムがそうした役割をそれなりに果たしていたのだろう。しかし、それはもういらない。そして問題は、トップマネジメントを支える今日的なそうしたシステムがないことだ。その事は、今の官邸の様子からうかがうことができる。
首相個人も問題だが、現在の状況は「システム」の問題でもある。
2011年7月25日
節電ファッショ
彼はこうも発言している。「今はネクタイを締めて客先を訪れたら、逆にしかられる」。こういうのって、何か連想させないだろうか。戦時中、他人と違う装いをしたり行動をすると「非国民」と非難された「あれ」だ。
同社ではスーパークールビズ定着を狙って、アパレル会社を呼んで「社内ファッション・ショー」を行い、モデルを社員に務めさせたとか。社員の皆さん、楽しかったですか。ゴクローサン。
2011年7月22日
厚生労働省って、ものを考えているのか
で、その理由は大学の学科構成や教える内容が社会とずれているからだと分析している。どうしてそういう分析になるんだろう? そもそも今時、大学進学率の上昇、イコール若者の高学歴化と直線的に(すなおに)考えているところからしてはずしている。
大学卒業後に就職も進学もしていない人を学部別にみると理系より文系が多いことから、「大学の学科構成は社会のニーズにあっていない」とか。大学というのは、殖産興業のための装置でもなければ、就職の予備校でもないのだよ。
景気後退期に企業が雇用を抑えるのは当然の行動である。また、文系と理系の学生比率と企業の採用活動の間には、直接の関係はない。ほとんどの企業は、あらかじめ策定した採用計画に沿って採用者数を決めているのであって、「今年の入社希望者で理系の学生の割合が少なかったから、また学生が学んでいる科目が当社が期待している内容ではなかった結果、採用者数を手控えた」なんてことがあると思っているのだろうか。