三菱重工業のサーバーが外部から侵入された。同社の潜水艦やミサイル、原子力プラントを製造している工場などのサーバーとパソコンが狙われ、報道では「サイバー攻撃」という言葉が使われている。
侵入によって情報を抜き取られた痕跡が確認されているらしい。機密性の高い国家レベルの情報が盗み取られている可能性もある。
侵入によって見つかったウイルスは8〜10種類で、それらを分析したところ、そこには中国語簡体字が含まれていた。
それに対して中国外交部の報道官は記者会見で、「中国政府は一貫してハッカー攻撃に反対している。中国も国外からのハッカー攻撃を受けている主要な被害国であり、中国がハッカー攻撃を仕掛ける拠点との見解は根拠がない」などと述べ、中国の関与を否定したと報じられている。実に素早い反応。
しかし、こうしたことへの正しい反証は、実は大変難しいのだ。仮に中国の関与が「ある」ことの証明ならば、一例を示せばすむ。しかし、中国の関与が「ない」ことを証明するのは、あの広大な国土で13億人の国民すべてを管理し完全にモニターしていないとできない話だからだ。
それとも、中国は自分たちはつねに13億人の国民を常時モニターしているんだぞと言いたいのかネ。
そもそも「中国政府は一貫してハッカー攻撃に反対している」とか、「中国も国外からのハッカー攻撃を受けている主要な被害国」ということと、今回、中国関係機関がサイバー攻撃を行ったのではないという主張は論理的一貫性がない話。きわめて単純な理屈だが、それが分かっていない。