先週、南太平洋にあるフランス領ニューカレドニアで、選挙制度をめぐって暴動が起きた。
背景には、政府に対する先住民の長年の不満や南太平洋で影響力を高める中国の存在があるとされている。
暴動で空港は閉鎖され、夜間外出禁止令が出された。フランス政府は「緊急事態宣言」を発令したと言うからただ事ではない。
このニュース、日本で報道されるときには決まって「あの、天国にいちばん近い国であるニューカレドニアで・・・」と語られている。
『天国にいちばん近い島』は、作家の森村桂がニューカレドニアを旅したときの経験をもとに書いた旅行記で1966年に出版されている。1980年代、原田知世主演で同名の映画が公開されたが、内容は別ものである。
200万部を超えるベストセラーになった森村の本で「ニューカレドニア」という島を知った日本人は多かったはずだが、いまだにニューカレドニアをメディアが語るときに「天国にいちばん近い島」と形容するとは。
一度付いてしまったイメージというのは、時間が経っても引き剥がせないものである。
それにしても、この本のタイトルの副題は「地球の先っぽにある土人島での物語」とある。土人の島ときたもんだ。今なら無理だろう。まさに時代を感じる。
jal.co.jpのサイトから |