米国ではガザ地区でのイスラエルによる攻撃、女性や子どもを含む一般市民の惨殺に反対するデモ行動が広がっている。その活動の舞台の一つが大学のキャンパスで、その数はいまも広がっている。
それらの活動に対し、2日、米国のバイデン大統領は演説で "There's the right to protest, but not the right to cause chaos" と語り、大学の敷地の一部を占拠する学生たちを非難した。
だが学生らは火焔瓶を投げているわけでもなく、建物を破壊しているわけでもない。キャンパスの中庭にテントを張り、反戦の訴えを続けているだけだ。こうした状況を<カオス>と考えるセンスってどうなのかね。
カオスはキャンパス内の出来事ではなく、ガザ地域で起こっている数々の殺戮のことなのだよ、ジョー。
悲しいかな、これでは学生たちの行動は収まらない。学生らは、突如実力行使に出て大学内にテントを張り、声を上げ始めたのではなく、その前からイスラエルによるパレスチナ自治区でのジェノサイドに反対の声を上げていた。その延長上にこれらの占拠行為はあった。
そうした学生たちの声を知ってか知らずか、バイデンは演説で陳腐な表現で学生たちの行動を非難したのだ。大統領選を控え、またバイデンは若者層の支持を失った。
一方、ニュージャージー州にあるラトガース大学では、大学側が「中東情勢の研究を強化する」「抗議活動への参加者を処分しない」ことで学生らと合意し、その後、学生らが大学内に張ったテントなどを撤収したという。バイデン大統領のいかにも為政者然とした上からの視線と対照的だ。