ついうっかりしていた。手帳を開いて、今日がタイガー立石の展覧会「大・タイガー立石展」最終日だと気づいた。
雨が降っている。でも見逃すと、次の開催地へ遠路出かけなきゃならなくなる。そう思い、急いで千葉市美術館へ向かった。
タイガー立石。1941年生まれ、1998年に56歳で亡くなっている。本名、立石紘一。その後、名前をタイガー立石と変え、またその後に立石大河亞と名前を変えた。
絵画だけでなく、イラスト、マンガ、立体、絵本、陶芸、掛け軸、巻物まで、さまざまなものを対象にして奇想天外な表現を続けた。
彼の作品のアイコンのひとつは、頭の上にひらめき電球をのせた緑色の虎。時に、その手にコーラのボトルをしかと握っている。それは、シュールな独特なキャラクターを数々描いた杉浦茂をどこかで彷彿とさせる。
デ・キリコやダリ、アンリ・ルソーなんかの影響もたくさん受けている。歌川国芳の作風を拝借したレコードジャケットなんかもあったりして。見ててほんと飽きない。
展示会場では「新型コロナ感染防止のため、会話はお控えください」というプラカードを係の人が持っているのだが、方々でクスクスと笑い声が漏れ聞こえてくる。僕もタイガーの絵に何度も思わず笑ってしまった。