2012年10月26日

コンサルティング102

ビジネススクールで Consulting 102という授業に参加させてもらった。米国の大学ではすべての科目に3桁の番号が付けられていて、それで基本科目なのか応用(発展)科目なのか位置づけが分かるようになっている。101は最も初歩の科目だ。科目名そのものに102と付けたのは「基本の次だよ」というメッセージだが、しゃれっ気がある。

担当教員は、元ブーズアレン&ハミルトンのニューヨーク事務所でシニアVPをしていたコンサルタント。90分x2コマの連続授業で、前半は彼のレクチャー、後半はブーズアレンのCEOがゲストとして講義した。後半の内容は、ほとんど自社のPRのようなものだった。

その夜、コロンビア・ビジネススクールの学生と飲んでる時に聞いたのは、ビジネススクールの学生たちが好むのはビジネスの生の実態を紹介してくれる、(正規教授ではなく)外部の経営者やコンサルタントが客員の立場で教えているものだということ。実務を離れてフルタイムの学生をやっている彼らは、理論よりも現場の話の方に引かれるのだろう。

ただ気を付けねばならないのは、現場の事はその現場にいなければ本当の事は分からないということ。教室の中で、もう終わってしまったこと(その大半は「珍しく」大成功した話)を、さらに話し手のフィルターを通して聞いても学習効果には限界がある。そこから多くを学ぶ学生も中にはいるが、たいていはテレビの番組かYouTubeで何か見たというくらいのものしか残らない。

実際、教室(レクチャーシアター)の最上段からクラスを眺めていると、学生がどうしているかよく分かるのだけど、ノートを取っている学生はごくごく少数である。ノートを取る必要がないと思っているのか、すべてを記憶する自信があるのか、面倒くさいのか、ただその習慣がないのか。いずれにせよ、日本の学生とはこの点は、ずいずん異なる(日本の教室でもノートをまったく取らない学生は結構いる)。

研究者である専任教授は必修科目で基本的な理論や考え方を教え、一方で選択科目では外部の実務家講師が学生と実際のコンサルティング・プロジェクトに取り組むような授業も多いと聞いた。教える方には、優秀な学生を見つけて自分の会社に誘いたいという意図がある。

現在、コロンビア・ビジネススクールの修了生の約7割は、投資銀行かコンサル会社に就職している。ニューヨークという場所の特徴もあるのだろうが、高い授業料を回収するために手っ取り早く稼げるこの2業種に人気があるというのもある。その結果(それとも原因?)、これらに関連する科目で外部講師が多いようだ。