先日亡くなった谷川俊太郎さんは、1982年に芸術選奨文部大臣賞に選ばれたが、辞退している。彼は民間からの賞はたくさん受けているが、国からの褒章は何も受けていない。
日本芸術院会員にも推されたけど、それも辞退した。そんなことを誰にも話さず、相談もせず、まるで通りがかったスーパーの試食コーナーでソーセージか何か勧められ「ぼくはいいよ」と断るように。たぶんね。
谷川さんのすがすがしさは、そうした決して国家に依らない、つねに自由で、すっと立っている姿にあった。
「お上」から褒章めいたものを目の前にぶら下げられると、それだけで嬉嬉として尻尾をふる人が世の中の大半だけど。