夕食前に近くを散策しようと思い出かけた。ホテルの守衛にゲートを開けてくれと行ったら、部屋番号を聞かれた。ゲートを出てすぐさま、さっきまで守衛と立ち話をしていた男が駆け寄ってきて、買い物か、女か、としつこく聞く。ただの散歩だと言って出かけた。
この辺りはリゾートホテルが並ぶジャマイカでも有数の観光地のはずだが、ほとんど人通りがない。いても、地元の人か、土産物屋の店員だ。通りに並ぶ店自体がまだ7時だというのに多くがシャッターを下ろし、明かりを消している。レストランとバーの前だけが煌々と明るい。
歩いていると、「こんばんはー」とか「おっにいさん」とジャマイカのお兄さんたちから日本語で話しかけられる。無視して歩き続けると後ろを付いてきて「いい女、紹介するよ」とこれまた日本語で話しかけてくる。
こちらに来てから、これまでタクシーの運転手や店の店員などから、たいていは「お前は中国人か」と聞かれてきた。スペイン人と間違えられたことも何度かある(本当だ、笑)。
そうしたなか、ポン引きの兄ちゃんたちだけは、うす暗闇の中でもこちらが日本人だとよく判るものだと感心する。(それがなぜかということを考察すると論文一本分くらいになるので、ここでは書かない)。ホテルの守衛が、出掛けしなにこちらに見せたちょっと意味深な表情は、これに関係していたのかもしれない。
日がすっかり暮れたのでダウンタウンまで行くのを止め、途中からホテルに引き返すことにした。来る途中は気がつかなかったが、人気のほとんどない道ばたの方々に警察官が立っている。なるほど夜はそういう場所なのかと思いつつホテルへ戻った。