友人から勧められていた「Food Inc.」を観た。2008年に製作された映画で当時日本でも公開されたようなのだが、僕は覚えていない。
ここで描かれて食品を巡る話の数々は、なんとなく知ってはいた知識ではあるけど、映像とともに詳しく説明されると理解の中身が異なってくる。穀物資源の行く末が一握りの数の企業によって支配されているということ、加工食品がほんとうはあまり食べたくない食物であること、ファースト・フードがわれわれの生命にまで深く影響を与えていること、清涼飲料水が見せるおもての「さわやかさ」とその実態など。
米国では圧倒的な量のとうもろこしが遺伝子操作されていることは以前から知られていたが、それがコーンスターチとしてほとんどといっていいほどの加工食品(ケチャップやマヨネーズ、マーガリンなどの多くの調味料も含む)に含まれていること。また、家畜用の牛は、いまでは牧草ではなくそうしたとうもろしを与えられていること。それは、やがて牛肉として人間の体に入る。
食肉加工品の製造現場は、工業製品の製造現場とまったく変わりない。しかも残念なことに、そこにある食肉解体場は米国への不法移民者の働き口の役割も果たしている。そのことを法的に、道徳的に、人道的に、環境的に、そして現実的にわれわれはどう理解するべきなのか。