2009年10月21日

顧客深耕によるCRM

昨日の「顧客関係性マネジメント論」は、PwCの中本さんに来ていただいて、顧客深耕によるリテンションマネジメントのテーマで話をしてもらった。

やはり有効なCRM政策の基本には、しっかりとしたセグメンテーション(分析力)と、それをもとにした組織的展開力(実行力)が不可欠だと痛感。ちょっと気になったのは、一連のそうした作業を統括管理するアカウント・マネジャーをどう育成するのかという点である。

最初はコンサルティング会社などの手を借りて、CRMの発想と手法、システムを組織に組み込み、プロジェクトをスタートすることができたとしても、いずれは自社内で回していかなければならない。そのとき、そのために必要なマーケティング・マインドと分析力、リーダーシップを兼ね備えた人材がいるかどうかがカギになる。人の育成が欠かせない所以である。

2009年10月17日

車中コーヒー禁止令

仕事の帰り、たいていは山手線から途中で私鉄に乗り換える。

熱いコーヒーが旨い季節になった。そのせいか、電車にスターバックスなどのカップを手に乗り込んでくる人が増えた。本人はこれからの帰宅途中、コーヒーでも啜りながら時間をやり過ごしたいのだろう。

だが僕はそうした連中がいると、いささかビクッとする。もし電車が揺れた拍子に、周りの人に熱いコーヒーをかけたらどうするのかと考えてしまうからだ。

電車の中で缶ビールやコップ酒を呑んで酔っぱらっているおじさんもどうかと思うが、個人的にはそうした連中はあまり気にならない。しかし、電車で座席に座っている時、自分の目の前に立っている若い女性にコーヒーカップを片手に携帯メールなどやられた分には、気が気じゃない。

マナーの問題なのだろうが、電鉄会社がなんらかの注意を呼びかけてもいいかもしれない。

2009年10月16日

マックを買った

アップルストアでマックを買ってきた。

思い起こしてみると、初めてコンピュータを買ったのは1989年のことだから、ちょうど20年前。Macintosh Plusという最高にかわいいモデルだった。外付けの20MB(GBではなく)のHDDとプリンターを一緒に買って60万円以上したはず。でも、その後、仕事の場がウインドウズだったために、自宅でもそれを使うことになって十数年。

久しぶりに買ったマックは、当時のものとはまったく違うが、でも同じ。遥か昔の同級生にあったような感じとでもいおうか。やはりマックは、マック。そこが凄い。

そもそも、なぜ今マックを買ったのか。一つの理由は、昔からマイクロソフトがどうも好きではないこと。そして、昨年読んだ本のなかの一冊『最後の授業』で、著者(講演者)であるランディ・パウシュがマックに改宗したと語っていたことだ。その最後の授業は本に付いているDVDで観ることができるし、またYouTubeでも公開されている。http://www.youtube.com/watch?v=nrFMRuB2lbA

なぜ彼が「改宗」したのか、その理由について彼は語ってはいない。が、たぶん、彼も本当はマックの方が好きなのに、周りとの関係(ネットワーク外部性)でウインドウズをしかたなく使い続けていたんじゃないかな。

2009年10月15日

顧客関係性マネジメント論 第2回

 

 

 

 

昨日は「顧客関係性マネジメント論」の第2回目の授業。元アクセンチュア株式会社パートナーの杉井さんに「これからの企業に求められるCRM戦略」のテーマで、アクセンチュア流の顧客評価の考え方を中心に話をしてもらった。この講座は寄附講座として開講されていて、毎回各分野の専門家に来てもらい、CRMについてそれぞれ語ってもらうという趣向である。

杉井さんが説明された、企業から見た顧客の貢献度評価の方法は、とても合理的で分かりやすい手法だった。しかし一方で、収益貢献度の低い顧客グループを良くも悪くも排除することにつながるアプローチに、学生たちからは異論もいくつか出てきた。単純に収益という数値評価だけで顧客の扱いをドラスティックに変えてよいのだろうかという問題提起だ。

どちらの見方が完全に正しいというものではない。そもそも、状況適応的に個別の現実に即して適切な顧客との関わり合い方を実現するのがCRMであり、それについて考えるのがこの講座の目的でもある。これからますます面白くなりそうである。

2009年10月8日

今学期初めてのゼミ

10月7日は、秋学期初めてのゼミ。

いつもの活動の後、小一時間ほどのブレイクを取り、その後仕事帰りに早稲田に寄ってくれた9月修了生の猪狩くんが、在学生たちに「修士論文作成にあたって」と題したプレゼンをしてくれた。

学生が修士論文の研究を進めていく上で有益な彼なりの様々な工夫や経験談は、在学生たちに新鮮だったに違いない。われわれ教員が学生に研究はこうしろ、ああしろと言うより、自分たちの知っている先輩が体験を熱く語ってくれるのが、彼らには一番の動機づけになるうようだ。

終わりに、みんなで記念写真をパチリ。この写真の中に5カ国のメンバーがいる。

2009年10月6日

京都 山田松香木店

日曜日のお昼前、烏丸通りの大垣書店で本を何冊か買ったあと、京都御所の西隣にある山田松香木店を訪ねた。江戸寛政年間から続く200年を超える歴史を持つ香木の専門店だ。

清潔な店内にかすかな香りが漂っていて、ゆったりとした気分になる。

この会社の9代目である山田洋平君は、2008年春にWBSを修了したMBA。休日の突然の訪店だったにもかかわらず、2人のお嬢さんたちを連れてかけつけてくれた。経営者としてこれまでの伝統を守りつつ、50年先を見据えた新たなチャンレンジにも期待している。

今回はあまり時間がなかったけど、次回はゆっくり聞香でも体験したい。

2009年10月4日

大覚寺観月会

10月3日は中秋の名月。京都嵐山にある大覚寺、大沢池の観月会に出かけた。

午後2時に京都駅到着。2008年3月に大学院を修了した鬼頭君と奥さんの真里奈さんが駅まで来てくれたので、隣接するホテルで再会。2人ともすこぶる元気。

夕方からは京福電鉄(通称、嵐電(あらでん)というらしい)で嵐山まで。そこから大覚寺へは地図を見ながら徒歩で。散策を兼ね、ちょうど良いくらいの距離。

やはり名所だけあってそれなりのにぎわいと人混みだった。既に舟席券はすべて売り切れだったが、大沢池周辺をのんびり歩きながら名月を観賞した。池面に移った満月が静かに揺れている。

池の周辺にはみたらし団子やたこ焼き、おでん、焼きそばなどの模擬店が。なぜか一番人気は、たこ焼き。べったら漬けを売っている店などもあって、月明かりに照らされ、全体的にほんわかした雰囲気だった。

2009年10月3日

『松下で呆れ、アップルで仰天したこと』

竹内一正『松下で呆れ、アップルで仰天したこと』日本実業出版社、2003

昭和32年生まれのビジネスマンで、
松下電器産業とアップルコンピュータを経験した著者によって、極めて日本的な松下電産と、アメリカ的、というより、その中でもとりわけ自由で創造的な組織であるアップルが対比されている。社会人として松下で育った著者が、アップルという全くの異文化、別世界で出会った驚きや戸惑いの数々が読んでいて楽しい。

阪神タイガースファンとアップルファンの共通点には唸った。
阪神球団幹部は誰一人として、阪神が優勝するために何をすべきか、何が問題なのかを真剣に考えていない。それを日頃から考えているのは、阪神ファンだけだというのだ。そして、アップルはというと、その企業としての行く末を真剣に心配しているのは、アップル社の経営陣ではなく、アップルファンだけだという。まあ、そんなこともないだろうが、でもいかにもと思わせられる。これが、本物のブランド・ロイヤルティというものだ。

著者がアップルジャパンで働いている日本人を2軸で4分類してい
る。第1の軸は、アップルジャパンに入る前の企業が日本系企業が外資系か。第2の軸は、アップルでの仕事の営業かマーケティングかある。もっとも日本的なのが、元日本系企業出身で、現在営業部門につとめている人。仕事は国内での付き合いがほとんどのため、外資系といっても英語を使うことはほとんどなく、人間関係も対日本人である。その対抗が、もともと外資系で、現在マーケティング部門で働いている連中。外資系のドライな環境に慣れていて、本社との英語でのやりとりが求められる。外国で教育を受け、普通の日本人とは幾分精神構造が異なっている。

単純な分類ではあるが、
この4分類は僕が知る限りでも確かにしっかりと類型化できる。自分はというと、もともとは結構ベタな日本企業で社会人としての基本を叩き込まれた後、外資系企業のドライな世界をいくつか渡り歩いてきた。どちらの良さ、悪さも知っているつもりだが、最初が日本系企業でよかったとつくづく思うことがある。

2009年10月2日

短時間「制」社員

台所で鍋を磨いていたら、後ろで「タンジカンセイシャイン」という言葉が聞こえた。どこかで聞いた言葉。学生時代のことだから、もう30年近く昔のことだ。僕も「タンジカンセイシャイン」だった。

勤務先は、東京国際電話局、今のKDDIである。月水金の週3日、夜8時から深夜0時まで、新宿のKDDビル(当時)の中で国際電話のオペレータの仕事をやっていた。アルバイトみたいな勤務体系だけど、ちゃんとした正社員で組合にも入れられ、会社の健康保険証ももらっていた。

当時はまだ国際ダイヤル通話がそれほど一般的でなく、KDDのオペレータを経由しての指名通話が一般的だった。宛先は世界各国だったけど、多いのは米国と韓国と台湾あたりだった。3分間の基本料金が3600円という、今では信じられない値段だった。

KDDとしては、一般の正社員に深夜勤務をさせることがコスト高だったのか、大学生をトレーニングし、社員として雇って使っていた訳である。その頃のKDDは、まだ国際電信電話株式会社法に則って運営されている半官半民の企業だった。

夜だけで、しかも毎日行かなくても良かったのは僕ら学生にとっては有り難かった。通常の勤務形態とは異なるから、短時間制社員と呼ばれていた。昨年だったか、KDDIは交換手経由の国際通話サービスを完全に止めたので、もうこうしたかたちで働いている人はいないんだろう。

さきのテレビのビジネス番組の特集は「新しい働き方」で、そこで紹介されていたのは短時間正社員だった。昔は「制」だったが、ここでは「正」だ。つまり、正社員に重きが置かれているわけで、この背景には短時間勤務の労働者、すなわちアルバイト、パート、非正規雇用という考えがある。
 
人の働き方(働かせられ方)から、その時代が見える。

2009年9月28日

人に会いに行くということ

ゼミの学生が修士論文作成のために、企業へのインタビューを計画していて、そのための依頼状を書いたので見て欲しいと言ってきた。独りよがりなところや分かりづらい点を修正。うまく、相手企業が協力してくれるといいと願いつつ。

マーケティングや経営関係の研究にはインタビューがつきものだ。文献だけをもとにした理論研究や、実証研究でもアンケート等による定量調査ももちろん大切だが、現場感を擬似的にでも掴むためにはインタビューや取材が重要だと考えている。つまり、社会科学分野の研究者は、ある意味でジャーナリスティックな面を持っていないと現実に対応できる研究ができないというのが僕の持論だ。

共同通信社の記者だった斎藤茂男さんがこんなことを書いていた。狙った相手に取材を受け手もらうために「恥をかく、いやな思いをする。そういう”税金”を納めなくては、よい仕事はできないぞ、と自分に言い聞かせながら歩くのだが、なかなか慣れるものではない」。ベテランの名記者をして、こうだ。僕たちは彼らのように日常的に取材やインタビューをするわけではないし、また彼らほどハードな取材も通常は求められない。でも、人から思いもしなかった事実などを聞き出すことの楽しさや興奮は、ジャーナリストだけのものではないはず。

2009年9月27日

前を向いて歩け

この夏、米国へ出張で出掛けた。わずか2週間ばかりだったが、日本に帰った時にまず気になったのは、電車のなかで多くの乗客がケータイをながめていることだった。宇多田ヒカルの歌じゃないが、おとうさんも、おかあさんも、お兄さんも、お姉さんも、みんなケータイのちっちゃな画面に目をこらしている風景は、ちょっと異様に感じた。

電車の中はまだいい。困るのは、駅のホームや階段を歩く時までケータイを眺めていることだ。ちゃんと前を向いて歩かないから、人にぶつかる、足を踏む。本当に迷惑だ。

もう3年ほど前になるが、ゼミ生の一人が駅の階段から落ちてケガをした。何をやってたのか尋ねたら、「階段を下りてたら、上から人が落ちてきたんです」と言う。ヒールの高い靴を履いた娘がケータイを扱いながら階段を下りていて、足を踏み外したらしい。つまり、彼は巻き添えを食ったわけである。これって傷害罪に問えるかどうか分からないが、いずれにせよいい迷惑である。

歩く時は、前を向いてあるくこと。これ、当たり前。

2009年9月25日

アカデミック・ガイダンス

昨日は9月入学生へのアカデミック・ガイダンス。修了要件などを中心に、40分ほど説明を行う。質問がまったくなかったのがちょっと心配。

2009年9月23日

新刊の書評(日経ビジネス)

この連休を使って読み残していた新聞や雑誌に目を通していたら、日経ビジネス誌2009年9月21日号の新刊紹介欄に、この夏に出した『実践CRM』が取り上げられているのを見つけた。
http://www2a.biglobe.ne.jp/~kkimura/tk2.jpg 

この本は、今秋開講の「顧客関係性マネジメント論」のテキストとして利用予定。

2009年9月22日

サービス・マーケティング研究のテキスト

僕の大学の所属は早稲田大学ビジネス・スクールなのだけど、3年ほど前から商学研究科一般コースというところでも教えていている。科目は「サービス・マーケティング研究」。

テキストはどれにしようか考えて、C. GronroosのService Management and Marketingを選んだ。ただ、日本では扱われていない。以前はアマゾンジャパンで購入できたのだが、最近は検索してもタイトルが現れない。僕の授業以外は需要がないみたいだ。

仕方がないので、大学生協に頼んで教科書指定で外国から取り寄せてもらうことにした。

2009年9月21日

9月生入学式

昨日の修了式に続いて、今日は9月生の入学式があった。

毎年、このタイミングでの入学者は留学生がほとんど。今回も8割ほどが海外からの留学生。みんなこれから勉強を頑張って欲しい。

2009年9月20日

学位授与式

今日、2009年度9月修了生の学位授与式(修了式)があった。僕のゼミからは、ソニーから企業派遣で来ていた猪狩君が優秀な成績で修了した。

彼の修士論文の研究タイトルは、「サービス品質の評価と顧客満足に関する研究 ~企業向け通信サービスの事例をもとに~」というもので、先行研究を基に新たな分析のための想定モデルを構築し、収集した定量データを多変量解析や構造方程式モデリングによって検証するというもの。結論として、今回の研究対象に対しての実務上の含意を提示してる意欲的な研究だ。

修了式後、彼と息子さん(小3)の勇樹君が研究室を訪ねてきてくれた。

2009年9月19日

新教室で

今春、僕たちのビジネススクールは19号館から新築の11号館へ引っ越した。その中にビジネススクールらしい、シアター形式の教室が2つある。今年の前期はその1つを使ってMarketing Managementの授業を行った。写真は、最終授業後の記念写真。

2009年9月18日

夏のゼミ合宿

 













9月のはじめ、ソウルにゼミ合宿で行ってきた。


ゼミ生以外の参加者が2名いて、その他にもゼミのOBや他ゼミの留学生たちが日替わりで加わり、連日賑やかだった。

前回韓国に行ったのは、約3年前。高麗大学で開催された学会に参加するためだったのだが、やはりガイドとして現地の人がいると動きがまったく違う。観光客では行けない場所もどんどん訪ねることができるので嬉しい。

マーケティング研究会9月定例会

17日、マーケティング研究会の9月定例会を汐留で開催。ゲストは凸版印刷株式会社取締役広報本部長の広村俊吾さん。先月下旬に研究会のメンバーで、小石川にある同社ビルを訪問し、印刷博物館やらショールームを見学していたので、それと併せて同社の事業や今後の展開などについて議論をする。

印刷博物館といえば、VRシアターが面白かった。特に江戸城とシスティーナ大聖堂のプログラムには息をのむ。
 
今の館長は、歴史学者(西洋中世史)の樺山紘一先生。大先生なのに気さくな方で「近くなので、いつでも早稲田の学生を連れてきてくださいね」とお願いされた。

2009年9月6日

天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)

昨日は国立劇場小劇場で「天変斯止嵐后晴」の初日を観る。

シェイクスピアの「テンペス」をもとに、舞台を中世日本に置き換え、浄瑠璃に翻案したもの。原作の世界との違いに最初は違和感があったが、見終わってみると、空を飛ぶ妖精や魔法が登場する不思議な世界は人形浄瑠璃の世界に結構フィットしていて十分楽しめた。