映画「SISU」は、不死身の男と呼ばれた老兵を主人公にしたフィンランドの活劇だ。時は第二次世界大戦の末期、北欧ラップランドの地で彼はナチスの一群と対決する。
彼に武器は無い、手にするのはツルハシとナイフ。戦いの仲間はいない、一緒にいるのは愛犬1匹。彼は何も喋らない、自らの知恵と経験と不屈の体力でドイツ軍の戦車や飛行機に立ち向かう。
スタローンが演じた「ランボー」は、弓とナイフで戦った。「ダイハード」のジョン・マクレーンはロサンゼルス市警らしく拳銃で敵を倒す。
一方、 一人で金塊探しをしていたこの老人は穴掘りに使っていたツルハシで敵を倒していく。その豪快さと爽快さ。荒唐無稽と嗤うなかれ。
ちなみにフィンランド語「Sisu」は、フィンランド人の国民性を説明する際にしばしば使われる概念で、氷点下の気候や歴史的に厳しい環境の中で生き抜いてきた背景と結びつけられるらしい。
それは単なる「勇気」や「根性」ではなく、困難に直面したときに最後までやり抜く「胆力」「意地」「不屈の闘志あるいは根性」「ガッツ」「最後までやり抜く力」のニュアンスを合わせたような言葉だ。