雑誌「AERA」が、10月30日号でこれまで自分たちがジャニーズ事務所のタレントをどう扱い、同事務所とどう付き合ってきたかを振り返っている。特集内で編集長が書いた「本誌はなぜ沈黙してしまったのか」という記事はそのひとつだ。
同誌はジャニーズ・タレントを頻繁に表紙写真に利用してきた。昨年度は18回、一昨年度は17回にわたり表紙にジャニーズのタレントを起用していて、それは今年3月にBBCが元社長の喜多川とジャニーズ事務所を取り上げたドキュメンタリーを放送してからも変わらなかった。
やっと今になって、メディアとしての自らの落ち度と節操のなさを反省しようというわけか。既にジャニー喜多川はなくなっているし、株式会社ジャニーズ事務所の名前が10月18日に変更になり、公にはその名が会社名として消えてから腰を上げたというタイミングである。
特集内の記事によれば、彼らはジャニーズ事務所を退所したタレントについては、同事務所から不満の声が上がるのを怖れ、あるいは忖度して起用を差し控えていた。「他部署を含めお世話になっているので、なるべくハレーションを起こさないように」したというから呆れる。
「お世話になっている」→「慎重に対応する」という文化がこの会社にはこびりついているのだろう。もちろんこれは、ジャニーズの性被害についてのことだけではないはず。同誌は、あらゆる事に関してそのやり方でやっている。
今回、正直と言えば正直に編集長が気持ちの内を記事で語ったわけだが、タイミングが遅すぎだ。そもそも、記事のタイトルの主語がなぜ<本誌>なのか。意思決定するのは雑誌ではない。人がするのである。