予想していたとおり、星野リゾート運営の高額旅館が営業を停止することになった。
これは、彼らが全国に展開しようとしている旅館の大分にあるプロパティでのはなしだ。
1人あたりの一泊料金を、税込みか税抜きか知らないが最低で5万5千円に設定している。海が見えるわけでもなく、歴史的な建物というわけでもなく、ただ山の中に設けた旅館がこうした価格をいつまでも客にまともだと思わせておくことは到底無理だった。
人それぞれ好き好きだろうが、そもそも旅館という宿泊形態は京都などで長い歴史を持ち、独特の風格を感じさせるようなところ以外、続いていくとは思えない。
夕食時、テーブルいっぱいに並べられるお造りや煮物や焼き物・・・、それらを何時間もかけて食べるのは時間の無駄としか思えないのだ。かつて日本全体が貧しかった頃、旅先の旅館に泊まること自体が極めて非日常的な「ハレ」だったから客も喜んだが、いまでは日本のどこでも美味しいものが日常的に食べられる。
しかも、旅館側の都合で食事の時間が大方決められてしまう。日常を離れてのんびりするために来たというのに、その拘束感は実に不愉快だ。
そうした意味で、旅館の夕食は明らかに過去の遺物といえる。そのことを理解しようとせず、豪勢な料理をドーンと出せば客が驚き喜ぶと思い、それで高額な金額を請求できると考えているのは今やお粗末な勘違いである。
| 自慢の露天風呂だというが・・・ |
旅館は、やがて小中学校の修学旅行での宿泊場所以外の役割を失っていくだろう。
