ロシアによるウクライナ侵攻は、長期化の様相を見せている。ウクライナは、自らの国家としての独立と誇りをかけて国を守り続けようとしているし、ロシアも諦めることなくしつこく攻め続けている。
プーチンがウクライナを併合したがっている理由の1つとして、ロシアの人口減少が指摘されている。かつてのソ連時代は2億人弱だった人口が、現在は1億4000万人。そして、ロシア人は他の先進諸国のなかで平均寿命が短い。人口が増えにくいのだ。
下図は、米国、EU、日本とロシアのそれぞれの国民の平均寿命の推移を示したものだ。2019年時点で日本が84歳、EUが81歳、米国が78歳に対して、ロシアは73歳である。
とりわけ寿命の短さは、ロシアの男性に著しい。ロシア人男性の平均寿命は68歳で、女性の78歳に比べて10歳も短い。理由はいろいろ考えられるのだろうが、ウォッカの飲酒が理由の1つだと聞いたことがある。
一方日本は、順調に平均寿命を延ばし、2019年のデータによると国別では世界一である(男女の性別で見ると男はスイスが世界一で、日本人男性は82歳で世界二位)。 われわれ日本人男性は、ロシア人男性よりなんと14歳も平均寿命で長生きしている。
今さらながらだが、こんな幸せなことがあるだろうか。メディアなどで人生100年時代と語られる際には、どうやってわれわれはそこまで「生きながらえるか」という悲壮感や不安感が裏側に貼り付いているが、考えるまでもなく、短命より長命である方が幸せに決まっている。
幸せとは心の状態。金銭的な豊かさや肩書きとは関係ない。そもそも歳をとると、肩書きにしがみついていることほどみっともないことはないし、金はあればあったで困りはしないが、なければないで仕方ないと思うしかない。
気分を高く持ち、幸せな気持ちを保ちながら生きていくことができれば、日本人は世界でもっとも恵まれた、ほかの国が憧れる国になることができる。
そのために必要なこと。それはとにかく社会的な不安感を払拭すること。そして個人が、競争だけでなく助け合いや分け合いの意義を理解し優先していく気持ちを普通に持てるようになること。それしかないと思っている。