リニア中央新幹線の開業は、今から5年後の2027年が予定されているらしい。
地下トンネル工事を進めるにあたり、まだ地権者や住民の理解は完全に得られていないらしいが、これができると品川駅=名古屋駅間はノンストップ運行の場合、40分で結ばれるらしい。
ただし、リニア中央新幹線が走る品川駅から名古屋駅まで、途中の神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県それぞれの県に新しく設けられる新幹線駅に止まるリニアの場合、品川駅から名古屋までは約1時間かかる。
東京駅を出発地とした場合、品川駅までは一区間だが東海道新幹線で移動するとしたとしよう。品川駅で降りてリニアへの乗り換えを行うとそこまでで20分程度の時間がかかるので、東京駅から名古屋駅まではリニア中央新幹線を使っても1時間20分程度という計算になる。
現在、東京駅から名古屋まで新幹線のぞみで1時間半だから、驚くような違いがあるとは思えない。
また、料金がどうなのか知らないが、7兆円を超える費用がかかっていることを考えれば、リニア中央新幹線は現在の東海道新幹線よりかなり料金が上乗せされるに違いない。そうしなければ費用の回収はできないのだから。
つまり、区間が品川駅から名古屋駅までという限られた移動手段であることに加えて、利用料金は増す。考えれば、それほど速くないだけではなく、品川駅が起点という事は既存の新幹線に比べて利便性は劣る。
さらに僕が個人的に気になるのは、リニアは路線の7割以上は地下を走るために車窓の景色を望むことはできないことだ。地下深く、真っ暗なチューブの中を走るわけだが、こんな移動が楽しいかネ?
そして忘れてはいけないのが、地震大国であるこの国で、もし地下深く走行しているときに大地震が起こったら、ということ。線区によるが、リニア新幹線は地下40メートルあたりを走るらしい。そんなところで地震が原因で新幹線が止まると、どこにも逃げ場がない。想像しただけで気が狂いそうになる。
リニア新幹線が走る箇所は、ちょうど南海トラフ大地震の発生が予想されているエリアと重なる。この地震は、30年以内の発生確率が87%と予想されているのに。
一旦計画し、作り始めてしまったから途中で止むにやまれず工事を今も続けているということだろう。かつての政治家と経営者が残した、まさに偉大なる負の遺産。慣性で人も組織も動いている。それを誰もリーダーが修正できない。
繰り返すが、品川から名古屋という限られた区間の移動に大工事を行い、7兆円もの費用を注ぎ込み、そしていくらかの移動時間の節約があるからといってそこにどれほどのメリットがあるのだろう。
静岡県知事が、自然環境への影響を理由にある区間の工事を県として認めていないが、それとは別の理由でリニアはいくら今さらと言われようが見直しを真剣に考えた方がいいと思う。
リモートワークになれてきた僕たちが、いまさらリニア新幹線を使っていかなきゃいけない必要性をどれだけ感じるかだ。