2019年4月27日

休めないニッポンがある

10連休が世の中で始まった。空港は混雑し、下りの新幹線はどれも満席。下りの高速道路も長い渋滞ができている。

それにしてもなぜ「一斉」なのか。調査によると、日本の企業などで働く人たちは他国の人に比べて多くの有給休暇を与えられている。しかし問題は、いやそもそも問題かどうかの判断すら難しいが、その半分ほどしか日本の労働者はそれを使っていないらしい。

いま僕が勤務している組織にはタイムカードがない代わり、有給休暇という制度もない。しかし20年ほど会社勤めをしていた80年代と90年代は1日たりとも有給休暇を残した年はなかった。そんなこと自慢するようなことじゃないけど。

国が先導してこうした連休、つまり国民の休日をやたら増やすのは問題だと思っている。同じ時にみんなが休めば、いろんな不合理が発生するのは誰でも分かる。交通機関も観光地も混雑し、ホテルや航空運賃など旅行代金はその間高騰する。

日本という国では仕事を休む日にちまで国が"指導"してくれる。そのうち、子供を産むタイミングや我々が死ぬ時期まで国が決定するようになるかもしれない。いや、冗談じゃなく。

連休中でも仕事柄休暇をカレンダー通り取ることができない人もたくさんいるだろう。また日本の被雇用者の4割近くを占める非正規で働く人たちは、休んだ分だけ収入が減ることになる。そうした個人だけでなく、中小企業のなかにも稼働日が減ることで売上がその分減少し経営に大きな影響を受けるところも多いだろう。

とすると、国が定めた大型連休をその通り享受できるのは、大企業かお役所に正規社員、正規職員として雇用されている人たちだけ。

国は連休を制度として制定することが国民に対するプレゼントのように考えているようだが、まったく大きなお世話である。