2019年4月1日

広告に一番たいせつなのは「らしさ」

本日、新しい元号が発表された。その名は令和だという。典拠は万葉集。初めて日本の書物から採ったというのが、いかにも現政権らしい。


ところで、今日の新聞の全面見開き広告にこんな広告が載っていた。小渕恵三よろしく、香川照之がキンチョールと書かれた額を思いっきり神妙なおもむきで掲げている。これを見た誰もがニヤッとしたことだろう。

なかなかのアイデア。キンチョーらしい。たぶん社内でも、こんな季節外れに何千万円もかけて殺虫剤の広告を出したって商品が売れるわけない、と反対の意見も多かったに違いない。それにもかかわらず、「エイプリル・フールだし、やっちゃえ」とばかりに殺虫剤の広告を出したのが清々しい。
それはそうとして、どうしてこのアイデアを他の企業では思いつかなかったのだろう。何十年に1度できるかどうかのチャンスである。その機会を逃した広告マンたちの多くは、このキンチョーの広告を見て今頃歯ぎしりをしているだろう。
広告媒体の中で、インターネットに押されて印刷媒体の肌色はよくない。実際、出稿量からみた広告主にとっての重要性は減少をたどる一方だけど、その紙面の大きさを活かしてアイデア次第でこんな事ができるんだということを示した広告主企業の宣伝部と広告クリエイターに拍手だ。