2019年4月23日

つまらない規則から若者を解き放つとき

経団連と大学側が話し合いを行い、大学生の就職活動の横並びを今後やめていくことで同意した。

春の新卒一括採用ではなく、これからは通年採用を拡大していくという。結構なことだが、何をいまさらという感じだ。実際、楽天やファーストリテーリングなどは、経団連のルールに合わせず通年採用を既に行っている。

現在の新卒採用は、経団連が定めるルールに沿って大学3年生の3月に企業が説明会を始め、4年生の6月に面接を解禁する日程で進む。なぜこうした規則のもとに、大学生が振り回されなければならないのか。

社会人と話していて、よく就職氷河期入社だとかバブル入社組といった言葉を聞くことがある。自分たちが卒業する年に、世の中の景気がどうだったかで、自分が希望していた仕事に就けたり就けなかったり。人生に運はついて回るものだが、それにしても理不尽だ。

トラック競技よろしく号砲とともに全員が一斉にスタートをする就職活動がほとんど人生一度きりのチャンスとなっているために、日本では容易には敗者復活戦が効かない。若者にとってはもちろん、企業にとっても望む優秀な人材を採用できない理由になっている。

既に大学を卒業して何年かたっている人間の中にだって、適性があり優秀な人間はたくさんいるはず。にもかかわらず、そうした人間はほとんど新卒の採用の対象にならない。こうしたトコロテン式で大学から企業へ直行させる、つまらない就職活動のもとになっている就職協定なるものは早くなくした方がよい。

ライフネット生命の創業者で、現在は立命館アジア太平洋大学の学長をしている出口治明さんの本にあったのだけど、彼がある日SNSを見ていたら「全員が日本人男性で最年少が60代。全員がサラリーマンで起業家はゼロ。大学卒業後、1つの会社で勤めあげた人ばかりで、転職経験も副業経験もゼロ。この組織は何?」と言う投稿があったらしい。その答えは何か・・・経団連である。

硬直的な組織の中で生きてきたこうした人たちが、若者の将来を左右する就職活動についてのルールを決めてきたことがそもそも大きな間違い。何かというと口先だけで多様性だとかほざく日本企業のおっさんたちほど多様性に欠けた存在はないのだから。