2025-05-27

事実か、認識か

内部告発をした元県民局長(昨年7月に自殺)の私的情報を元総務部長を通じて外部へ漏洩させた指示は、斎藤兵庫県知事(および元副知事)による可能性が高いと結論づけた調査報告書を第三者委員会が発表した。

それに対して、当事者の鉄面皮斎藤は「私としては、あらためて漏洩に関する指示はしていないという認識に変わりない」と語った。


どこまでもずる賢いなあ〜と感心する。「指示はしていない」と明言するのではなく、「指示はしていないという認識」についてしか語らない。

「指示はしていない」と言い切ったら、あとでウソがばれたときに言い訳ができない。だから、斎藤はあくまで「事実」ではなく「認識」にこだわり続ける。

つまり、これは「指示をした」という事実があることを含んでいるととれるのだが。

その時が来たら、この御仁、今度は「認識は事実に及ばず」とでも言い始めるのだろうか。 

◉ 認識(にんしき):人間が何かを知覚し、理解し、判断する心の動き。つまり「主観的な理解」
◉ 事実(じじつ):人間の認識とは無関係に実際に起きている現象や状態。つまり「客観的な現実」

今回、漏洩させたと証言を変えた元総務部長は「職責として正当業務を行ったに過ぎない」と述べているが、それもまた納得できるものではない。

彼の言の変遷は事態の流れを読んで計算した結果なのだろうが、個人のプライバシーに関わる情報の漏洩はどうやっても違法なわけで、私は上(知事)から言われたからやっただけです、では済まされない。

上から言われようが、やっちゃいけないことはしなきゃいい。

この総務部長は自分が停職処分に処せられたことに対し、「審査請求及び執行停止の申し立てを行い、正当性を主張したい」ともコメントしたという。正当性という言葉に首をかしげる。

元部長さん、そうした手続きも結構だが、まずは社会の常識を頭にたたき込むことだ。

兵庫県庁から退職する職員が増えているとの報道があった。一般的に、県庁職員や市役所職員ほど定年まで辞めることがないサラリーマンはいないのだから、こうした状況はよくよくのことなんだろう。

上が逆ロールモデルばかりの組織では、そこにいては自分も腐っていってしまうと考えるのは無理もない。つくづく残念な組織である。