「誰がどこからいくらもらっているかが分からないと、是非も評価できない」と、議論の前提を提供することを目的に、一人の民間人が政治家の収支報告書のデータベースを構築した。https://political-finance-database.com/
政治家の名前を入れるだけで、受け取った企業献金の支払い元や金額などが分かる。企業名からの検索もできるし、寿司とか商品券といったキーワード検索も可能。一覧表で見ることができる。
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現状、国の対応はどうなっているか。報告書自体はネットで公開されてはいるが、紙をPDFにしてあるだけなので一覧性がない。これは調べる方からすると手間がかかり過ぎて致命的。
また、議員による報告書の提出先は、総務省と都道府県の選管に分かれているため、それぞれのサイトから探さなければならない。しかも、議員が複数の政治団体を持っている場合(そうしたケースが多い)、関係の団体名を調べるのだけでも大変である。
つまり形式的には政治家は報告書を提出し、それはサイト上で見ることはできるが、それらは利用価値が低く(というか、それを狙ったものとしか思えなくて)機能しているとは言いがたい。
それらへの不満や強い改善要求をもとに昨年末の政治資金規正法改正で、国もやっと2027年から報告書のデータベース化をすることが決まった。ただし、データベース化に取りかかるのが27年中だとすると、国民がそれを使えるのはもっと先ということになる。
今回、西田さんという人がデータベースを作成した。これならジャーナリストや研究者などはもちろん、一般の人たちも簡単に政治資金収支の内容を知ることができる。政治の議論が高まり、監視の目が強まると同時に本来あるべき政治に少しでも近づいていけるかもしれない。
以前ほど耳にすることはなくなったが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が盛んにささやかれた時期が合った。デジタルならではの特性を利用して効率性を急速に高めたり、問題解決に進むための考えだ。
DXというのであれば、これこそがそのお手本だ。
ただ、データベース構築に当たっては、もとのデータが紙(PDF)なのでそれを専用のOCRで読み込んで作成している。国や自治体は、さっさと議員の報告書の提出を紙ではなく、デジタルによるものにすべきだ。
なぜ今も政治家に紙で提出させているのか。デジタル庁は足下のそうした状況を当然知っていながら、見て見ぬふりをしてきた。政治家のご都合主義。