東京電力の旧経営陣で、今回株主らから裁判で責任を問われた被告について調べたら、実に似通った4人組だった。
元会長・勝俣恒久
元副社長・清水正孝
元副社長・武黒一郎
元副社長・武藤栄
これら4人はいずれも年配の日本人男性。東電への入社は4人のうち3人(勝俣、清水、武黒)が1960年代、1人が70年代前半。概ね同世代である。出身校は4人のうち3人(勝俣、武黒、武藤)が東京大学、1人が慶応大学。それぞれが上記の役職に就いたのは3人(勝俣、清水、武黒)が2008年、1人が2010年。4人とも新卒入社で東電一筋のキャリア。
これだけでも、彼らが極めてホモソーシャルな集団であることが分かる。そうした同質性の高いグループは、一般的に米国の社会心理学者 A・ジャニスがいうところの集団思考に陥りやすい。そして、集団思考という思考停止の結果、組織は失敗する。
ホモソーシャルなだけではない。4人の中には明確な上下関係(入社年度)があり、そのなかで各自が保身のために生きていた。
そのような集団では合理的かつ独自の判断は求められない。既存の秩序とルールを決して乱さないこと、全体の流れから逸れないこと、そのために「変化」を起こさないことが最良の生存戦略になる。
目は組織の内部にしか向いておらず、自分たちの事業が兼ね備えているはずのリスク、たとえそれが人々の命にかかわることであっても「本気で」考えることなど及びもつかない現状維持バイアスで脳みその大半が埋め尽くされたサラリーマン経営者たち。
このことは当時の東電だけではなく、多くの日本の大企業が今も同じである。