今年、3年おきに開催される瀬戸内国際芸術祭の第6回目となる催しが香川県の直島を中心に開催されている。
https://setouchi-artfest.jp/
直島にはいまでは世界中から現代アートのファンが訪れる。アメリカ、フランス、イギリス、オランダ、トルコ、ニュージーランド、韓国、中国、香港、タイ、スペイン、モロッコなどなど、僕が現地で知り合った人たちだけでもその国籍は数えきれないくらい。
先日、NHKの看板番組のひとつがその島を取り上げた。番組の冒頭、現地を訪れた同局のキャスターである
は「直島は、岡山県と香川県の間にある島です」と紹介した。んっ? 直島はまぎれもなく香川県の島。そもそも、岡山県と香川県の間には島などない。何かあるとしたら(目には見えない)県境のラインだけだ。
まあ、よくある言い間違いといえばそうなのだが、その番組は生放送ではなく、収録したものを編集して制作した50分のゴールデンタイムの全国放送番組である。
放送前には何人ものNHKの人間が試写を見ているはずなのに、どうしてこうした日本語の初歩的な誤用に誰も気づかないのだろうか。
ところで、この番組では瀬戸内海の島々が「アートによって甦った」というテーマを据えていたが、かつて瀬戸内海が公害に汚染されていたという死んだ魚の映像がとってつけたものだった。
死んだ魚たちが岸辺の波間に漂う映像だったが、クレジットが何もなかったのでその撮影年と場所を問うてみた。すると、1970年に水島コンビナート付近で撮影された映像だという。55年前のものだ。
瀬戸内国際芸術祭の第1回が開催されたのは2010年。40年間にわたり瀬戸内海が腐った海であったわけではないし、それほど長きにわたって酷い風評被害を受け続けたわけでもない。
番組内容にはそれ以外にもおかしな点がいくつかあり、今回の番組の製作・著作だったNHK岡山局に話を聞こうと連絡したところ、「担当ディレクターは現在休暇をとってヨーロッパに行っており、1か月以上先にならないと帰ってこず、それまで連絡はとれません」と言われた。
失笑するしかない。