例の兵庫県知事選では、わけのわからない中傷誹謗メールが飛び交った。それが現在の兵庫県知事選出に結びついているわけだが、今年9月の沖縄県知事選においても事実無根の動画がYouTubeに多数アップされ、またXにも玉城前知事を貶める書き込みが多数なされた。
そうした動画や書き込みの多くは、選挙が行われる県以外からの発信のものであることが分かっている。
そうした行為がなされる理由の1つは、いや、最大の理由は政治的な意図を表明することではなく、ただ単に注目を集めて再生回数を上げること。それによって金を稼ぐことにある。
そこで気になるのは、誰がその金を負担しているのかだが、それはと言うと・・・・広告主である。
広告主は通常、自分たちの企業や商品、サービスの宣伝や販売を目的として広告活動を行う。自社のブランドを構築するために広告費を払って広告メッセージを作成し、媒体を選び、広告を流す。
どういった媒体に自社の広告メッセージが流すかということは、広告主にとっては重要なこと。なぜなら、掲載される媒体によって、視聴者や読者が自社のブランドに抱くイメージが変わるからだ。
兵庫県知事選や沖縄県知事選でみられたように、明らかにデタラメな内容の動画に広告が掲載され、その後ろに広告費を支払っている(おめでたい)広告主企業がいるということが不思議だ。マス媒体の場合、広告主が広告を掲載する個別の媒体が具体的に何であるか知らないなどありえない。
ところが、ネット広告の場合はまったく状況が異なる。広告主は、例えばGoogleなどに金を払っていながら、自分たちの広告がどういった動画コンテンツに関係付けられて流されるか、ほとんど知らない。いや知ることができない仕組みになっている。
これは本来、広告主にとって致命的なことだ。なぜならば、繰り返しになるが、自分たちが知恵を絞って広告計画を立案し、広告表現を作成し、そして広告費を支払って、それがとんでもないような、自社の製品やサービスのブランドを毀損するとしか考えられないような形で露出されてしまうかもしれないからだ。
ネット上では、なぜこんなことがいつまでも行われているのか。YouTubeやXはただトラフィックが増えればそれでいい。それで売り上げが増えるから。中身は関係ないのだ。一応自社ルールを設定してるが見るからに形だけだ。モラルの欠片もない。
しかし、広告主の考えは本来は違っているはずだ。ただ露出が多ければいいというものではないはず。ユーザーがどのように自社の広告に接するのか、そうしたもっとも基本的なことに立ち返って金を使うようすべきだと思うのだが。
これって広告の、いやマーケティングの基本中の基本なんだけどね。
選挙に便乗した候補者相手の中傷誹謗だけでなく、災害時のデマ情報のネット拡散も毎度のことになってしまっている。「外国人犯罪が被災地で頻発している」「地震は人工的に起こされた」「ライオンが逃げた」など、ただアテンションを集めるためだけのウソが災害のたびに流される。
情報が流通するプラットフォームへの倫理規程の適用が必要だ。それらの多くは外国にあるだけに思うようにいかない面もあるのだろうが、そこは法務省にしっかりやってもらうしかない。
ネットでの中傷などに対する慰謝料や罰金が低額すぎて、抑止力になっていないこともある。
いまのばかげた状況を放置すべきではなく、広告主の気づきと法整備の両面から取り組んでいくしかないのが現状だろう。