昨日、横浜市長選挙があり、午後8時の投票終了とともに出口調査の結果をもとに山中竹春氏の当選が確定した。彼は48歳の元横浜市立大学の教授だ。
今回の市長選の投票率は、前回の市長選と比べて12%も高かった。市民の今後の市政に向けた関心の高さがこの数字から伺える。
今回は8名もの立候補者が立った混戦模様で、そのなかで現職の林市長を含む2名が今回の最大の争点であるカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の推進派、残りの6名がその誘致に対して反対の意見を打ち出していた。
当初、反対の声を上げる6名で票を食い合うのではないか、その結果、得票数では少ないIR推進派の現市長が4選されるのではないかと心配されたが、今回はなんとかそうした選挙の罠に陥らずうまくいった。
横浜市では、昨年カジノの誘致を巡って市民の間で多くの反対意見が出てきた。その一つの表明が、IR誘致の是非を問う住民投票条例の制定を求めての市民運動であり、そこには19万筆を超える署名が集まった。僕も微力ながら、署名簿を手に知り合いを回った。
ところが、本年1月の横浜市議会で「住民投票で民意を問う段階には至っていない」などという自民党および公明党両会派の反対で条例案は否決された。
IRを誘致するかどうかを直接問う議論ではない。そこに地元の横浜市民の意見を入れるための住民投票を行えるようにするかどうかという、その条例を求めての議案だったにもかかわらずだ。
それに対して、この両党が反対をして否決に持ち込んだ。そしてあろうことか、その後、林文子現横浜市長の下でカジノの運営事業者を募集するなどIR事業は具体化に向けて舵が切られた。
そうしたやり方に対する市民の怒りは、両党の市議会議員らが思う以上に大きかった。それが今回、IR誘致反対の先頭に立つ候補を押し上げた最大の要因だったように思う。
今回の横浜市長選の結果について、総理大臣の菅義偉が「残念だ」とコメントしていたが、当選者は他でもない有権者らによって正統な選挙で選ばれている。それを尊重するどころか、自分の意向に沿わない結果だからって「残念だ」と言うのはおかしいだろう。明らかに市民軽視である。