2014年5月26日

やらせレビュー

5月22日号の週刊文春で紹介されていた記事だが、飲食店を紹介しているサイト「食べログ」の評価点数について疑問を持った記者がいた。ある店の評価で、口コミの評価は5.0、5.0、4.0、4.0と高い評価が並んでいるにもかかわらず、なぜか総合評価は3.1となっている。

そこで、彼はサイトを運営するカカクコムにその疑問を投げかけた。すると、総合点は利用者がつけた評価を単純に足しあげて平均したものではなく、特定のレビュアーが高い評価を付けないと総合評価が上がらない仕掛けが施されていると。そして、「低得点に甘んじているという飲食店様においては、まだ点数への影響力が高い複数のレビュアー様が高得点をつけられていないという状況ではないかと考えられます」と彼が受けた説明が続く。

ということは、先の店の評価については「影響力の高いレビュアー」による評価が悪かったからということになる。

店の関係者やサクラによるヨイショ評価を避けるために、一般利用者の評価ウェイトを低くし、信頼のおける良質なレビュアーの評価が総合点に大きく影響するようにしているということなら、なるほど納得がいく説明ではある。

しかし、その記事によれば、複数の飲食店経営者が次のような証言をしているという。「毎週1回は代理店から『食べログに広告を出せば、影響力の大きいレビュアーが来店する可能性が高くなりますよ』と営業電話がかかってくる」

これは何を意味するのか。広告をサイトに出してくれたら、影響力が大きい(つまりサイト上での店の評価を左右する)レビュアーを送りこみますよ、そして総合評価が上がりますよ、ということ。つまりその場合、味やサービスには関係無く、ということであろう。

一見、「みんなの声がもとになってるんだよー」という、いい人の顔を見せていながら、自分たちの都合に合わせて裏側で操作しているのが気持ちわるい。

他にもこうした一般の利用者から分からないところで恣意的な仕組みがなされているものは多い。ただ、多くの利用者がそうしたことを気付かないまま情報操作されている事実について、僕たちはもっとよく考える必要がある。

若い人たちにとっては、こうしたことは「当たり前のこと」であって特別気にするような問題じゃないのかもしれない。学生たちからは「別にいいじゃん」とか笑われることかもしれないが、僕はこの件に疑問を持ち、そしてその疑問を解こうとアクションを取った記者におおいに共感する。

そんなことを考えてたら、今日の読売新聞の読者投稿欄に洋食店を経営する神戸の方が、以下のような投稿をされてたのを目にした。


新聞にしろ雑誌にしろ、広告か記事かの区分けについて注意しなければ混同してしまいがちだ。インフォマーシャルというinformationとcommercialをくっつけた造語も一般的になっている。

日本では、それらはマスメディアでは「PR」や「お知らせ」と表記されることが多い。それが消費者にとって十分な配慮かどうかの議論はあるが、報道機関ではないネットではそもそも事実と広告を区分けしようとする考えすら希薄である。