2014年5月27日

炎上マーケティング

昨日の新聞で、ある若い社会学者が書いた文章のなかに「炎上マーケティング」という言葉があった。

炎上マーケティングとは、「わざと非難されるような極端な発言をして注目を集め、議論を喚起することで結果的に話題の中心になったり、自分のことを宣伝したりする」ことらしい。

漫画『美味しんぼ』で福島を訪ねた主人公が鼻血を出すという、放射線被害を連想させる描写が「売り上げ目当ての炎上マーケティングだったのではないかとの指摘もある」と書いているが、それはまずないだろう。連載を始めたばかりの漫画ならともかく、30年以上の連載実績を持つこの漫画がそうしたことで今さら話題性をひこうと画策する理由はない。

いずれにせよ、本来、売らんがために話題を振りまくこと狙っただけの活動を「マーケティング」とは呼ばない。

つねづね思っていたことではあるが、「マーケティング」はほとほと融通無碍な概念として捉えられている。その証拠に、一見、どんな言葉だってマーケティングの前につけることができる。ほとんど無限の接頭辞が「マーケティング」には可能であり、それらしく聞こえてしまうから始末が悪い。

「炎上マーケティング」でマーケティングが意味するところは「売り込む手法」である。もちろん、マーケティングは一方的な売り込みではないし、その点でステマなどと呼ばれているステルス・マーケティングといった考え方もマーケティングではない。