2025-04-28
2025-04-26
顧客が強い不満を感じたサービスは何か
「あなたが強い不満を感じたサービス経験にはどういったことがありますか? 具体的な経験を教えてください」
というアンケートを行った。
回答者のなかでもっとも多かったサービスは病院(11%)だった。治療や検査の中身についてのコメントはなく、「予約を取っていたにもかかわらず待たされた」「後から来た人が先に診察を受けた」といった待合室での順番待ちに関することがほとんど。医療機関が患者(顧客)満足度を上げるポイントの一つはここにありそうだ。
次に多かったのは小売り(9%)、続いて飲食店(8%)。どちらも提供物(商品や品揃え、出された料理)についての不満のコメントはなく、レジスタッフの対応や店内での接客態度に強い不満感を示している。
続いて銀行(7%)。こちらも窓口での接客対応(長時間待たされる)や最近多くの銀行が始めた予約システムへ強い不満が出ている。宅配業者を挙げたのは6%。配達された時間が指定したのと違っていた、置き場所が指定の場所と異なっていた、など。
携帯通信業者は5%。料金プランとショップでの接客に関しての不満。JRも5%。駅内のスタッフの応対態度に関するものとみどりの窓口の縮小が指摘されている。
病院、小売り、飲食店、宅配業者、携帯通信業者は顧客接点でのサービス提供内容が標準化されていない点で問題が発生している。銀行とJRはそれに加えて、企業側の一方的なサービス提供の変更が一部の顧客に受け入れられていないことを示している。
顧客の意識や行動は、企業が思っている以上に変化は緩やかである。企業側が狙った単純なコストカットや効率化は、彼らが予想している以上のハレーションを顧客に起こしているようだ。
指導に足る専門性があるのかな
文部科学省は、私立大学の再編を目的に100校に対して「経営指導」を強化するという。現時点で対象としていたのは42校だった。
文科省が設置した「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」とやらが提案したプランはこうだ。不思議でしょうがないのは、文科省が大学に対して指導・助言を与えて、改善しない場合は大学を罰する(大学の規模縮小や撤退)という発想だ。
どうも自分たちが行う指導・助言は絶対的に「正しい」ものであるという前提でいるようだが、なぜそう思えるのか。逆に、上図内の「3〜5年間かけて指導・助言」の中身が現実離れしたトンチンカンなものだったために(そちらの方が大いにあり得る)状況のさらなる悪化を招いた、という場合はいったい誰が責任をとるのか。
これは、十分に考えられること。文科省の官僚は単なる役人で、大学での教育の専門家でも研究の専門家でもないのだ。
農林水産省の役人は、漁師にむかって上手な漁の仕方を指南したりはしないだろう。林業従事者に植林の仕方を教えたりしないし、農家に田んぼの耕し方を助言したりしない。自分たちは政策の立案・実施が仕事であって、現場のスペシャリストでないことを知っているから。
だが文科省の役人は、自分たちを教育の専門家だと思って平気で口だしする。そうした勘違いはどこから来るのだろう。たまたま自分たちが学校で勉強ができたという経験からか。それとも天下り先の確保か。
「大阪IR(カジノ)、行きたいですか?」
「万博会場の隣接地で5年後に開業が予定されているカジノに行ってみたいですか? 行ってみたくないですか? その理由も聞かせてください」
というアンケート調査を一般社団法人サービス総合研究所が行った。対象エリアは全国で、回答者の性別や年齢などの制限はなし。
結果は、行ってみたいと思わない95%、行ってみたい5%だった。
行ってみたいと思わない理由は、「カジノに興味がない」が圧倒的だった。他には「ギャンブルはきらい」「胴元に(賭けで)勝てるわけないのが分かっているから」「博打ごとは怖い」など。
行ってみたい理由は、「一度のぞいてみたい」「関西地域に住んでいるから」「カジノを経験してみたい」など。
5%のカジノ肯定者も決してレジャーとして認めているわけではなく、好奇心から一度くらいは、といった感じである。
国や大阪府は今からでも遅くない。カジノを中心に据えたIRの建設計画を根本から再検討するのが賢明な策である。
2025-04-25
カリフォルニア v. 日本
今朝のBBCの報道によれば、カリフォルニア州の2024年の経済規模(名目GDP)が4兆1000億円(米国全体の14%)で、日本の同時期の4兆200億円を抜いた。
https://www.bbc.com/news/articles/cly80zlk1lyo
カリフォルニアは国ではないが、GDPの順位で米国、中国、ドイツ、加州、日本となった。
カリフォルニア州の人口は3900万人だから、日本のおよそ三分の一。この数字だけを見るならば、日本人の生産性はカリフォルニア州民の三分の一しかないことになる。
その衰退ぶりに、わが国はすっかり世界から置いてけぼりをくい、経済の面で注目されることも急激に少なくなった。日本はこのままどこまで凋落を続けるのか。
経済的な退潮であれば、人口減少や国民の老齢化という現実に即して、それは致し方ない面もあろう。ただ、そうした日本において、「経済波及効果」なんて嘘まみれの用語をかざしてカジノを作ろうという関西の一部政治家の脳天気ぶりにはつくづく呆れ果てるしかない。
巨額の税金使って建設・運営する予定なんだろうけど、ちょっとはマシなあたまの使い方はできないのか。
2025-04-24
2025-04-22
蔦重ならば平源か
俳優の山口崇さんが亡くなった。山口さんと言えば平賀源内である。安田顕扮する源内も悪くないが、やはり山口さんである。
ところで、「べらぼう」のなかで蔦屋重三郎は蔦重(つたじゅう)と呼ばれているが、であれば、平賀源内は平源(ひらげん)であろう。
2025-04-20
「経済効果」の数字は目くらまし
4月13日、大阪で万博が始まった。その2日後、4月15日付の日経新聞で「万博、経済効果3兆円 訪日客が消費押し上げ」という見出しの記事があった。
そこでは、えらく景気がいい話が踊っていた。関西万博は予想来場者数が2800万人(おかしな予想はよそうよ)で経済効果が2.9兆円。来場者一人あたりにすると、10万4千円となる。経済産業省が作った数字である。
20年の前の愛知万博は、来場者一人当たり12万7千円と試算している。こちらは博覧会協会自体が作った数字。博覧会協会によれば、広域のインフラ整備なども含めれば、その経済効果は7.7兆円に上ったと試算しているので、来場一人当たり35万円の経済効果だとか。
その記事のなか、大阪府のアルバイトとパートの平均時給が東京を上回る伸び率を示しているので「すでに効果が出始めている」としているが、それは経済効果というより、ただの短期的な需給逼迫だろう。
また4月5日の同紙でも関西万博の経済効果についての記事が掲載されていた。そこでは経産省が産業連関表を用いて推定した、大阪・関西万博の経済効果2.9兆円の内訳を示していた。
それらは(1)建設費用(2)運営・イベントにかかる費用(3)来場者が支出する支払う費用である。万博の成否がことさら来場客数の多寡にかかっているように報道されているが、(3)の来場者が支払う金額より(1)と(2)を足した方が大きいのに注目しておく必要がある。
しかも万博はまだ開幕したばかりだ。(3)の数字はあくまで「こうなったらいいなあ」という希望的観測値と考えるべきなのだが、それにもまして国民の視点からはヘンだと思ってしまうのが、土地の取得やパビリオンや各種会場内の施設・設備の建設にかかる費用、各種の運営費用が「経済効果」とされていることだ。
つまり、それらの費用がかさめばかさむほど、「経済効果」の数字は大きくなる。
例えば今回の万博の会場建設費は、当初予算では1250億円だった。それが途中で1850億円に修正され、最終的に2350億円と言われている。増加した建設費の補填をどこが負担するか、どう按分するかまだはっきりしていないが、われわれ国民の税金がそこに投入されるのは明らかだ。
そうした杜撰な予算作成もふくめ、費用が増せば増すほど、「経済効果」の数字は大きくなるなんて、そんなアホな、であろう。だが計算上はそうなのだ。
そもそも産業連関表が誤って用いられているのではないかーー。以前スタンフォード大で教えていて、今は東大の教授を務める経済学者の星岳雄さんは、先の記事の3日前の4月2日に同紙上で「経済波及効果の計算 産業連関表の誤用やめよ」と指摘している。
大阪・関西万博がもうすぐ開幕する。その経済波及効果は2兆円とも3兆円とも計算されているが、そのような大きな効果は実現しないだろう。計算の前提となる入場者数の予想などが外れるからではない。経済波及効果の計算方法そのものが間違っているからだ。
(中略)産業連関表を使った経済波及効果の計算は意味がない。さらに計算から導かれたありもしない経済効果が政策を正当化するように使われれば有害ですらある。様々な省庁で政策の経済波及効果を計算することが増えているようだが、無意味な計算はやめるべきである。政策がその政策目的を達成するために効果的かどうかの分析に集中すべきだ。(29面)
万博のような立地型建設物主導イベントは、土建屋に支払う費用が増せば増すほど「経済効果」があがると計算され、しかも全体を通じて「効果」にしか目が行っていない。
今回のように、大阪での万博会場建設のために建設資材も人手もそちらに取られてしまったため、地震被災地の能登地域の災害復旧に人も物も回らなくなってしまった「負の効果」のようなものは完全にネグられているのも気になるところだ。
今回の万博開催にとどまらず、先のオリンピックや日本各地での地域開発、インバウンド推進計画などの理由付けとして語られる「期待される経済効果」は、行政によるムダ使いを誤魔化すための言い訳である。
「経済効果」という耳障りのよい言葉に惑わされず、数字の実態とその背景にある国や政党、特定団体の思わくにしっかり目を向ける必要がある。
2025-04-18
食パン、何枚食べる?
比較分析は、研究法の基本中の基本である。だから正しく行わなければならない。
先日、このブログで僕が食する場合のご飯一杯の値段を示した。
今日のNHKのニュースが同様のデータを示していた。「三菱総合研究所調べ」とかなんとか言っていたが、小学生でも調べられるだろうに。無駄にもったい付けてて笑える。
比較を行う際にやってはいけない典型例がこうしたものである。というのは、ここではごはん茶碗一杯分と6枚切り食パン1枚を等価と考えているが、その根拠が分からないから。
カロリーが違えば、質量も違う、食べ方も違う。茶碗一杯のご飯と6枚切り食パン1枚を代替可能としている理由が分からない。ご飯は朝でも夜でも食べるが、食パンは朝食べる事があっても夜食べることは通常ない。
食パンを食べるときに、普通、バターとかジャムとかはちみつなどを塗って食べる人が多いのではないか。それらスプレッドの類のコストは無視されているのも気になる。
そもそも大人の男が6枚切り食パン1枚で食事を済ますだろうか。番組では米飯が高くなったと言いたいのだろうけど、食パン2枚と比較したら、いまもそっちの方が高いことは一目瞭然。
こんな恣意的な(ばかばかしい)比較はやってはいけない、という見本である。
2025-04-17
2025-04-14
米の値段は本当に高いのか
米の小売価格が上がり、「高い高い」という声がテレビなどから聞こえてくる。街の声として「おいしいお米を安く食べたいのに」と訴える主婦などの声が。
だけどね、おいしいものは高いのだよ。当たり前じゃないのか。それは米だけでなく、肉だって野菜だって魚だってそうだろう。それなのに、米だけがおいしくて、しかも安くて当然という考えがおかしい。
小売店で米が2キロいくらとか、5キロいくらでどれだけ値上がりしたかが取りだたされているが、あらためて言うが、そんなに高いだろうか。
以前から買っているあるブランド米は、これまでと同じ店舗で5キロで1000円ほど値上がりした。試しに自分が食しているのが、一食分でいくらほどか計算してみたら100円ほどだった。1日2食の生活をしているのを割り引けば、普通の食生活ではもっと安い計算になる。
安いもんだと思うヨ。外国から日本に帰ってきて、自宅でご飯を炊いて食べるとその旨さに感激する。アジアの各国にいたときは現地で炊かれたライスを普通に食べていたが、それに比べて日本のご飯は格段においしいと思う。
ただ、もっとバリエーションはあってもいいかもしれない。多少味や香りが劣っても価格が安い品種などだ。肉や魚、その他のほとんどの食品に高価な物から廉価なものまであるように、米にももっと価格差が欲しい。
農水省が長年にわたって作付面積を減らすように仕向けてきた政策は、いい加減方向転換が必要だろう。穫れすぎると価格が下がるから、という理屈だが、穫れすぎた分は海外に輸出したり、人の食料以外の用途(酒や麺などの加工食など)に用いればいい。頭をちょっと使えば解決できる類のことばかりだ。
あとはJA全中が自分たちのあり方を見直すとともに、農業(米作)を志す人たちの扉を閉ざすようなことは止めること。自民党の票田として異常に保護され、政策によって改革が遅れに遅れた分野である。この機会に、そろそろ解き放ってもらいたい。
2025-04-13
観光黒字がデジタル赤字を越えた?
先日、日経のニュースで「デジタル赤字、訪日客で取り返す」という見出しの記事があった。インバウンド(訪日外国人観光客)の増加による収支の黒字拡大のおかげで、デジタル赤字が相殺されるまでになったというのだ。
新型コロナウイルス禍後の訪日客の回復を受け、24年10月以降の旅行収支は6,000億円(月額)前後の黒字で推移しているという。一方、2024年のデジタル赤字は約6.6兆円(財務省データ)だから、確かに数字を比べればその通りだ。
だが、だからといって安心するのは間違っている。訪日外国人が日本国内で消費するもの、たとえば宿泊、飲食、ショッピング、移動に使う支払いと、日本人のクラウドサービスやNetflixなどのストリーミング・エンターテイメントに対する支払いは性格が異なる。
違いはいろいろあるが、ここではその最大のものとして社会的費用を指摘しておく。われわれが毎月クレジットカードから課金される米IT企業への支払いは、そのまま限界利益として彼らの収入になる。すべて実体のない、デジタル上の取引だからだ。
ところが、観光客には実体がある。当たり前だ。だからその出と入りを上手くコントロールしないとオーバーツーリズムをはじめとする各種問題が発生する。たとえば、観光地で住民の人たちが日常の足として使っているバスからはじき出されたり、周辺にゴミを散らかされたり、深夜に騒音に悩まされたり、場合によっては物理的な被害(破壊や犯罪)にあうことすらある。
こうした観光地を中心とした数々の生活環境の悪化、住民らのストレスの増大をどう見るか。インバウンドによる国の収支を語るとき、こうした社会的コストは計算に入れられていない。訪日外国人観光客数の増加を無邪気に喜ぶだけでは、社会の中にひずみが増していっているだけだ。
このままでは間違いなく、「冗談じゃない、何が観光立国だ」という反発がさらに強まるのは必至だろう。
2025-04-07
沈没する日経225
世界各国で株価が続落している。主な理由はもちろん米国の関税政策だ。トランプは「経済を正常な状態に戻すための『薬』だ」などと言っているが、そんなわけはない。
それにしてもトランプの大統領就任からの世界の株価推移を指数で比較すると、日本(日経225)の値がもっとも落ち込みが激しい。
この理由をどう解釈するか。
トランプ就任以来の株価市場動向
それはそうと、ジェームズ・オースティン・ジョンソンが扮するトランプが各国に課する関税について説明していた。そこでトランプが唱えるのは、MAGDAだ。そう、Make America Great Depression Again である。これは、先週末のS.N.Lでのはなし。
やることなすこと、まるでマンガの世界をそのまま行っている現在のトランプだが、アメリカのコメディ界は怯むことなくやり返そうとしている。
2025-04-01
フジテレビ男子の言語感覚が示すもの
タレントの(元タレントと言うべきか)中居正広の行為にまつわる一連のフジテレビの対応に関して、第三者委員会による調査報告があった。
報告書を読んでいるわけではないが、見聞きしようとしなくても報告書が指摘した内容が方々から飛び込んでくる。
たとえば「喜び組」や「スイートルーム会」といった、みっともないキーワードだ。どちらも、その局の若い女性のアナウンサーが主要なキャストとして関係させられた所業を思い起こさせる。
こうした言葉を使う感覚をもった人たちが運営している放送局があるという情けなさ。免許制によって守られたぬるま湯で全身茹でカエル化した経営者たち、編成局や制作局の幹部社員らのみすぼらしさ。
もう完全に終わっているし、建て直しなど無理だろう。過去に起こしたテラスハウス問題、ジャニー喜多川問題、松本人志問題、これらからフジは何も学んでいないという報告書の指摘は重い。国は放送免許を取り上げて、フジテレビをなくした方がいい。
そもそも日本には、ネットワークを持ったキー局といわれているテレビ局が5局もある(テレビ東京も入れれば)。多過ぎる。アメリカだって、ケーブルニュース局をのぞけばABC、CBS、NBC、FOXの4つしかないんだから。
それはそうと、ここまで歪んだ組織なのに、どうしてこんな会社に入社したがる若者が大勢いるのだろう。入社倍率はウン百倍とか言われていているみたいだ。
実態が外部に知られていないからか、それとも高給や見せかけのステイタス故に実態が分かっていて承知で入社したいのか。
やっぱり、この局ともう一局くらい、この機になくした方がいい。われわれ視聴者は何も困ることがない。