2017年1月14日

自由に生きて死ぬ

水木しげるさんは、人生の達人だった。自らを「水木さん」と呼ぶその独自のアイデンティティの持ち方と、肩肘張らない飄々としたもの言いに多くの人が影響を受けてきた。僕もその1人だ。

彼をインタビューした本『水木さんの「毎日を生きる」』のなか、東日本大震災の被災地で自殺者が増えているという話題になった。特に原発事故のあった福島県で自殺者が多く、深刻度をましている。

それに対する水木さん(彼は自分のことを水木さんと呼ぶ)の答えは、シンプルだ。
水木さんは、どんなときでも生きたかったから。自殺する人は、それが幸せだと思って死ぬんです。止める必要は無いんじゃないですか。
水木さんは、ニューギニアのラバウルに出征し、爆撃で左手を失う。戦場では、毎日毎日上官から不合理な理由でぶん殴られていた。最後、小隊の他の全員が亡くなった状況の中で、1人生き残って帰国した。そうした壮絶な体験は、実際に経験したことのないものには真のところは分からない。

そうした経験からの自殺に対する感想である。言われてみれば、その通りである。