2022年2月7日

高校生たち、君らは何に夢中になってもいいけど、株には気を付けろ

「米国のウォルト・ディズニーカンパニーの株をおよそ30年前に買っていたら、今は何倍になっているでしょう。(1)2倍、(2)21倍、(3)119倍」――。21年12月、吉祥女子中学・高等学校(東京都武蔵野市)の教室で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社員が生徒たちに問いかけた。正解は(3)の119倍。「1万円のお年玉を投資していたら、30年あまりで100万円を超えました」という説明に約30人の生徒が驚きの表情を浮かべた。

という書き出しで始まる記事が、夕刊の一面トップに載っていた。
 
高校の学習指導要領が新しくなって、2022年度からは株式や投資信託などの資産形成を教えることが必修化されるらしい。
 
その是非はここではひとまずおいておくが、それにあわせて女子中高生(なぜ中学生まで集めているのかネ?)を対象にしたクラスで、証券会社の社員が出張授業をしたとか。
 


教室内での先の問いかけだが、学校関係者や取材していた記者はヘンだとは思わなかったのだろうか。
 
普通の感覚であれば、その証券会社の女性社員に対して「あなたは、あるいはあなたの知り合いか誰かで30年前にそのウォルト・ディズニーカンパニーの株を購入し、119倍になった株の含み益を保有している人がいるのですか?」という素朴な疑問がうかぶはずだ。

そうした人物がいれば大したものだが、どうだろう・・・。30年前に一般の日本人の個人投資家で外国株をやっていた人はごく僅かであり、もしその時にディズニーカンパニー株を購入した人がいたとしても、30年後の今も持ち続けているかどうか。

もちろんこの証券会社の社員が言ったのは「たとえば」の話だろうが、こうした極めて特殊な事例を株投資の知識を持ち合わせていない女子中高生にするのは適切ではないはず。それが分かっていてこうした話をしたとしたら、確信犯的でとても悪質だ。
 
国の定めで学校で必修化されたため、各地の多くの高校では投資や資産形成について誰がどう教えたらいいのか戸惑っている。それをいいことに、証券会社の社員らが出張授業や教材提供などの手段で教育の場にスルスルッと入り込み、今回のような子供だましの説明をして生徒たちをミスリードしていく。
 
学校の先生や教育委員会は、株投資に関して自分たちの知識が限られているから、手をこまねいてそれを放置するしかない。親や社会がしっかりしないとね。
 
そもそも「金融教育」とは、高校生に投資を推めることが本来の目的ではないはず。

ディズニー株で大もうけできたはずの話のあとは、株で大損こいて人生を破滅させた人の事例も当然中高生たちにお話してやったんだろうね、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社員さん。