横浜市の議会で、カジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致するための費用2億6,000万円を盛り込んだ補正予算が可決、成立した。自民党や無所属の会、公明党の投票による賛成多数によってだ。
林文子市長は、本当にこうしたカジノを含む統合型リゾートが市にプラスになると思っているのだろうか。彼女と直接話したことはないが、それなりに冷静で地に足の着いた政策を決め実行してきた人のように思っていたのだが。
以前、横浜商工会議所が、IRの誘致を求める理由として、その大きな投資効果を数字を挙げて説明をしていた。彼らの計算によれば、カジノの売り上げは年間1,400億円、来場者数は2,100万人。その金額は、カジノからの上がりで、宿泊代や食事代などを含む経済効果は年間5,595億円から6,710億円で、実際にはそれ以上の経済波及効果があると述べていた。
つまり、横浜のIRを訪れた1人あたりが2万7千円〜3万2千円を消費するとの前提に立っている。だが、そもそもカジノに年間2,100万人が集まるという根拠はどこにあるのか分からない。しかし、彼らはそれを示そうとはしない。
あの東京ディズニーランドが入場者数で2,000万人を超えるまでに、オープンしてから10年以上の時間を要した。ディズニーという世界的なブランドを持ち、子供からお年寄りまでを対象に日本全国から集客してそれだけかかったのだ。しかもTDLが開業したのは1983年。日本の人口は、いまよりずっと多かった。
推進派が挙げている数字はそもそもが算定根拠に欠けているだけでなく、冷静に考えればどう見てもあり得ないものにしか見えない。なんでデータとファクトを元にした論理的な議論ができないのだろう。
賭博の上がりを元に徴収した税金というのは確かに再分配のひとつではあるが、人がすった金で住民サービスを充実させて何が嬉しいのかも理解に苦しむところだ。
本当にカジノなんかができたら、僕は他の街に引越しをしようと思う。