2012年12月4日

Life of Pi

アン・リー監督の新作『LIFE of PI』は、今年50回目を迎えたNew York Film Festival でオープニング日のワールド・プレミアで公開された作品。その公開時に観ることができず、ずっと気になっていた。一般公開されたのを機に今晩観に行った。

 
原作はヤン・マーテルの小説。2002年に出版され、その年のブッカー賞を受賞している。日本語訳も出ている。タイトルは『パイの物語』。2004年に竹書房から出版されているが、単行本は絶版になっているようだ。日本ではあまり読まれていない本なんだろう。

マーテルという作家は1963年にスペインで生まれ、コスタリカ、フランス、メキシコ、アラスカで育ち、成人してからはイラン、トルコ、インドで暮らしてきたという。そのなかでもとりわけインドが彼に与えた影響が大きかったということか。

この映画は、アン・リー監督にとってはCGを本格的に使った初めての作品である。かつては特殊効果と呼ばれていたCG映像は、いまでは映画制作にとって不可欠なものになってきている。リーはその効果を自分なりに試そうとしたのだろう。先月観た『クラウド・アトラス』(★★☆)もそうだが、CGを屈指しなければ作れなかった物語が、どんどん映像化されていく。

この物語を題材に選んだところは、アン・リーらしい。SFや戦争ものではきっと発揮できなかった、彼ならではの映像センスをコンピュータの力を借りて実現している。

物語も映像も音楽もすばらしい! ★★★★☆

http://www.lifeofpimovie.com/