ハーレムにあるアポロ劇場では、毎週水曜日にアマチュアナイトと呼ばれるコンテストが開かれていて、大人気である。今日も全席予約売り切れだった。
2時間あまりのショーは2部の構成。第1部は年少者コースとでも云うか、文字通り若いタレントのコンペティションである。 そこにミレイという名の13歳の日本人少女が登場した。コンペティションの4組のなかのひとりとしてである。ホイットニー・ヒューストンの I Will Always Love You を歌い、会場から大喝采を受けた。歌が上手いし、それに選曲も良かった。あのアポロの舞台でまったく物怖じせず、歌を楽しんでいる彼女は日本人離れしていた。
その彼女、アメリカ育ちの日本人といったところかと思っていたが、実はそうではないらしい。彼女が今回の予選(その予選に出るだけでも大変らしい)の4組の中(彼女以外はすべて米国人)で断トツの評価でトップに選ばれたあと、舞台上で司会者のカポネに話しかけられるとちんぷんかんぷんだった。彼女が舞台袖に消えた後、彼は「Amazing! She can sing, but she can not speak English」とコメディアンらしくからかっていた。
彼女は実際に英語が分からないらしい。でも、彼女が歌ったホイットニーの曲は実に素晴らしく、米国人の観客たちから文字通りのスタンディング・オベーションを受けていたのは感動的だった。さて、彼女がアポロでどこまでいけるか・・・。