2025-09-06

「バード ここから羽ばたく」

主人公は12歳の少女ベイリー(先日観たラッセ・ハルストレムの映画の主人公犬と同じ名前だ)。舞台は特定できないが、海が近くにあるイングランドのとある町。

彼女の父親は、今は離婚した女性との間に彼が14歳の時にベイリーをつくった。お気楽な不良上がりで定職にも就いていない。元の母親は幼子を抱えながら、これまたクズの男と暮らしている。

登場人物全員が金がなく、教育も受けておらず、感情の赴くまま荒れた日常をただ過ごしているように見える。そこにバードと名乗る奇妙な男が現れ、ベイリーは彼の親探しを手伝うようになる。

今の英国の一面を描いた社会派リアリズムの映画かと思って見ていたら、終盤になって一気に寓話の世界へストーリーが展開し驚いたが、それはそれで12歳という「これから何でもあり」のベイリーの未来を反映してるようだった。

映画には鳥はもちろん、馬や犬、猫、魚などの生き物が出てくる。どれも無垢な自然を象徴しているようだ。そして明日を思い煩わずに「今」を生きている存在として描かれている。

映画を見終わって劇場を出たあと、頭の中でずっとジョン・レノンの「フリー・アズ・ア・バード」が鳴っていたのはなぜだろう。